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住宅ローンコラム 知っておきたい!住宅ローンテクニック

人生100年時代に備え50代で点検!住プランと住宅ローンの返し方

2019年07月03日

人生を100年とするなら、50代はまだ折り返し地点。もし、100年生きるとしたら資産寿命を延ばす努力をしていく必要があります。50代以降の住プランと住宅ローンの返し方は、どのように行えばよいのでしょうか。

50代になったら今後の「住プラン」の点検を!

人生100年とすると50代は折り返し地点。今後の「住プラン」について、1度点検をしてみませんか。50代は子どもがいれば教育資金に追われ、場合によっては親の介護問題などに直面している年代かもしれません。しかし、この先の自分自身の人生設計においても重要な年代です。

50代で考えておきたいものの1つが、今後40~50年の「住プラン」です。現在、持ち家で、今の家に住み続ける場合は、住まいの寿命なども考慮しつつ、リフォームや建て替え、住みかえの必要性も考えて資金の準備をしておく必要があります。しかも、元気な時期だけではなく、自分自身の要介護期の過ごし方をイメージしつつ、資金的な余力なども残しておくことが大事です。

住みかえも、親の介護などもあって実家にUターンする、将来の要介護期に備えて地方中核都市に移住するなど、目的もいろいろあるかもしれません。新たな家を購入するのか、賃貸か。持ち家だった場合、元の家を売却するのか、人に貸すのか。必要な資金面の準備も手を打っておかなければなりません。

これまで賃貸派で来た方も、今後もずっと賃貸でいくのか、これから住宅を購入するのか。資金の準備を行うためにも、よく考えてみましょう。

「子どもが巣立ったら小さなマンションに住みかえる」「夫婦が1人になったら、家を売って有料老人ホームに入る」「死ぬまでマイホームに住み続けたいので介護資金をしっかり用意しておく」など、中長期の「住プラン」のイメージを持つことが大事です。

下記で、あなた自身の「住プラン」のアタリを付け、資金的な課題をチェックしてみてください。これ以外の選択肢がある場合はご自身で書き足してみてください。

あなたはどうする?今後の「住プラン」

□現在、持ち家
 □今の家に住み続ける
  □リフォームをする(資金の準備、住宅の寿命は?)
  □建て替えをする(資金の準備)
 □住みかえる
  □新たに購入する(資金の準備)
  □賃貸住宅へ(長期的な家賃の準備)
   □元の家を売却して家賃を捻出
   □元の家を人に貸して家賃を捻出
  □サービス付き高齢者向け住宅へ(長期的な家賃の準備)
  □住宅型有料老人ホームへ(入居金や長期費用を準備)

□現在、賃貸
 □このまま賃貸(長期的な家賃の準備)
 □住宅を購入(資金の準備)
 □サービス付き高齢者向け住宅へ(長期的な家賃の準備)
 □住宅型有料老人ホームへ(入居金や長期費用を準備)

*サービス付き高齢者向け住宅=バリアフリー住宅で、少なくとも見守りサービスと生活相談サービスがついています。施設によっては食事や家事、介護がついているタイプもあります。要介護になったときは、介護事業所が併設ないしは地域にあれば、在宅介護のような形で介護サービスも受けられます。

自分の介護期のイメージも持つ

前述の住プランの先には、要介護期の過ごし方のイメージも持つ必要があるでしょう。介護は今や老後資金同様、自己責任の時代です。「家族が何とかしてくれるはず」と人任せにせず、資金的にも自分で準備をしておく必要があります。

「要介護状態になったら特別養護老人ホーム(特養)に入る」と簡単に考えている人もいますが、費用が安めで頼みの綱となる公的な施設である特養は、エリアによっては要介護4と認定された方でも入居待ちが発生している状態です。要介護状態になったときは、介護付き有料老人ホームに一時的に入居して、特養に空きができるのを待つという方法もあります。

資金的にゆとりがあれば、介護付き有料老人ホームを利用するのも1つの方法です。看取りまでしてくれる施設を選べば、亡くなるまでいることができます。以前、視察に伺った介護付き有料老人ホーム(中くらいのクラス)で10年間入居したとして試算したところ、合計で約3500万円近くかかるとわかり衝撃を受けました。

どのような介護を考えていて、それはどれくらいの費用がかかりそうか。その準備をするためにも、50代から介護期まで見据えた住プランを考えることは大切です。

住宅ローンの完済時期の見込みは?

50代以降は「住プラン」とともに把握しておきたいのが、住宅ローンの完済時期の見込みです。なぜなら、住宅ローンを完済することも老後資金準備の一端と考えられるからです。住宅ローンが終われば、老後資金や介護資金を貯める時間を残すことができます。

しかし、定年後も住宅ローンが残るケースも少なくありません。その場合はどうするか、考えておく必要があります。次のようにいくつかの対処法があります。

定年後も住宅ローンが残る場合はどうする?

□退職金などで繰上返済を行う
  ⇒繰上返済の試算(額軽減型)
  ⇒繰上返済の試算(期間短縮型)*

□資金はあっても金利が低い期間はあえて繰上返済をしない
  □資金の一部で運用をすることで住宅ローンの金利以上の収益を目指す
  □団体信用生命保険があるため、保障として残す
  □効果が見込めるなら借換えをする
   ⇒借換えの試算

□繰上返済をする資金がない
  □住宅ローンを返し続ける(≒働き続ける)
  □リバースモーゲージを活用して住宅ローンの返済をなくす

定年で退職金が入ってくる予定だったり、資金的に余力があれば、繰上返済(期間短縮型)を行って完済してしまう方法もあります。どれくらいメリットがあるかは試算をして確かめてみるといいでしょう。

しかし、退職金など資金はあっても、あえて繰上返済を行わないという選択もあります。資金の一部で運用を行い住宅ローンの金利以上の収益を目指す場合や、あるいは、住宅ローンに付いている団体信用生命保険を「保障」として残したい場合に有効です。

一方、借換えは、今借りている住宅ローンをより条件のいい別の住宅ローンに乗換えることをいいます。残債額などによっては、金利差が0.1%程度であってもメリットが出る場合もあるので、借換え前後の返済総額を試算して比較してみましょう。借換え手数料(登記費用や保証料、事務手数料なども含む)以上のプラスがあれば借換えを実行しましょう。

繰上返済をする資金がない場合は、住宅ローンを返し続ける、または、リバースモーゲージ(後述)が利用できるなら住宅ローンの返済をなくすのも1つの方法です。

あなたのマイホームは老後・介護の支えになる?

老後資金について金融資産の寿命を延ばすことが提言されることがありますが、それだけでは十分ではなく、マイホーム資産も老後資金の一部と捉える必要がある時代だと思います。

金融広報中央委員会のデータによると、60代・70代以降の貯蓄額の中央値は1500万円(金融資産保有世帯のみ)で、老後の生活にはやや心もとない感じです。一方、8割強の方は持ち家ですので、これを上手に活用していくかが重要です。

金融資産と持ち家割合(2人以上世帯)
年代金融資産保有額(保有世帯のみ)持ち家割合
平均中央値
50代 1,828万円 1,186万円 75.9%
60代 2,415万円 1,500万円 82.6%
70代以上 2,565万円 1,500万円 82.4%
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(2018年)」より筆者作成

あなたのマイホームは老後・介護の支えになりそうかについてもチェックをしておきましょう。具体的には次のような点を確認しておきましょう。

□【ココをチェック!】売却したらいくらになる?
マイホームを売却して、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などへ入居する資金を作るのも1つの方法です。あなたのマイホームは売却して換金することができそうでしょうか。その場合、いくらくらいで売れそうでしょうか。実際に売却をするのは5年後、10年後かもしれませんが、そのときでも売却できそうでしょうか。

□【ココをチェック!】リバースモーゲージは可能?
「リバースモーゲージ」とはマイホームに住み続けながら、マイホームを担保にして生活費や一時金を借りられる仕組みです。担保評価額の5~7割程度が借入額の上限です。金融機関が取り扱うほか、社会福祉協議会でも扱っています。

民間金融機関の場合、エリアや不動産の種類、築年数、最低評価額が制限されています。設定した契約期間が満了したり、利用者が亡くなると、マイホームを売却して借入を返済します。

□【ココをチェック!】貸したら賃料はいくら?
老後資金・介護資金作りの方法として、「人に貸し出す」という選択肢もあります。貸した場合の賃料はいくらくらいになりそうかなどについても知っておくとよいでしょう。

まとめ

人生100年時代、マイホームは今や老後資金・介護資金の一部と捉えられるようになってきました。マイホーム資産を含めた資産寿命を延ばす努力が必要です。50代からの「住プラン」をどのように考えるか、住宅ローンをどう返していくかは、重要な問題となってきそうです。

執筆者:豊田 真弓(とよだ まゆみ)

ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー
FPラウンジ ばっくすてーじ代表。経済誌・女性誌等のライターを経て94年よりFPとして独立。「家計の永続性」をテーマに、個人相談や講演・研修、雑誌や新聞、サイトへの寄稿、監修などを行う。「住宅ローン賢い人はこう借りる」(PHP研究所)、「50代家計見直し術」(実務教育出版)など著書多数。座右の銘は「今日も未来もハッピーに」。

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