「田園調布」は、区画整備された美しい景観も魅力的な街並みであり、大豪邸が立ち並“びます。現在も高いステータスを保ち続ける伝統的な住宅街として全国区の知名度を誇ります。

その歴史は古く、100年ほど昔の1920年代にさかのぼります。イギリス発祥の開発手法「田園都市構想」を元に、当時の財界の大物・渋沢栄一によって計画され、1923（大正12）年より分譲が開始されました。パリの凱旋門周辺を参考にしたといわれる、駅を中心に放射状に延びる特徴的な街区は今も健在です。「住宅と庭園の街づくり」を理想としただけあり、整備されたイチョウ並木をはじめ、街並みの美しさは見事の一言です。

田園調布の一部地区では、町会が独自に制定した「田園調布憲章」や地区計画によって、敷地面積の最低限度や建物の高さなどが厳しく規制されています。これによって乱開発が防止されており、今後も良好な住環境が維持されると期待されています。

また、この界隈には各界の著名人の邸宅も多く、そのことがさらに知名度とステータスを高める結果となっています。

田園調布は交通アクセスの利便性も魅力の一つです。「田園調布」駅には東急東横線と東急目黒線の2路線が乗り入れています。東急東横線を利用すれば、「渋谷」駅をはじめ、「代官山」駅や「中目黒」駅、「横浜」駅、「元町・中華街」駅など人気のショッピングタウンにダイレクトアクセス可能です。

2013（平成25）年からは「渋谷」駅から東京メトロ副都心線への直通運転もはじまり、原宿エリア最寄りの「明治神宮前」駅や「新宿伊勢丹」最寄りの「新宿三丁目」駅にもダイレクトアクセスできるようになりました。また「中目黒」駅では同一ホームで東京メトロ日比谷線に乗り換えることができ、「恵比寿」駅や「六本木」駅、「銀座」駅方面へのアクセスもスムーズです。

一方、東急目黒線は「目黒」駅から東京メトロ南北線と都営地下鉄三田線に直通しているため、「溜池山王」駅や「永田町」駅、「日比谷」駅や「大手町」駅などのオフィス街へ乗り換えなしで移動できます。

また、2023（令和5）年3月には「日吉」駅から先に「相鉄･東急直通線（新横浜線）」が開業したことで、「新横浜」駅をはじめ神奈川方面へのアクセスも大幅に向上しています。

立川市を起点に、多摩川の流れが作り上げた崖が延びる「国分寺崖線」は、ここ田園調布付近が終点となっています。他の地域と同様、田園調布の崖線周辺には緑のスポットが充実しています。

多摩川に面した高台と崖から構成される「多摩川台公園」には、武蔵野の名残である自然林が豊かに残っています。園内には広場やあじさい園とともに、6世紀から7世紀に作られたといわれる「多摩川台古墳群」があります。また崖の上にあるため、河川部分との高低差がかなりあり、展望台からの眺めは抜群です。

「多摩川台公園」の東側にある「田園調布せせらぎ公園」は、元々「多摩川園」という遊園地があった場所に、2008（平成20）年4月にオープンした公園です。崖線の起伏を取り込んだ美しい公園として地元住民に親しまれています。

田園調布せせらぎ公園をはじめ、崖下には湧水スポットが点在しており、湧水を集めた「六郷用水」は鯉が泳ぐ美しいせせらぎとなっています。用水周辺は散策路として整備されており、湧水スポット3カ所が「東京の名湧水57選」に指定されています。崖線上には坂道も点在しており、「急坂」というそのままの名前のものや、福山雅治さんの曲で有名になった「桜坂」などがあります。

このように田園調布は、気品と風格漂う街並みをはじめ、緑と潤いあふれる自然環境、静かでゆったりとした起伏ある街の風景、都心への交通アクセスの良さなど多彩な魅力を併せ持った街であり、憧れの住宅地として今後も多くの人々に愛され続けることでしょう。