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#住宅購入#資金計画

2019.04.19

気になるタワーマンションの管理費と修繕積立金の秘密

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根強い人気のタワーマンション。「管理費って安いの?高いの?」「積立金が大幅に値上がりするって本当?」と心配する人も多いようです。そこで今回は、タワーマンションの管理費と修繕積立金について考えてみました。

戸数が増えるほど管理費が減る。高層は例外?

マンションの管理費は、総戸数が多いほど「スケールメリット」が働き、一戸当たりの負担は安くなると言われていますが、実際はどうなのでしょうか。

管理費にスケールメリットがあるのは確かなようですが、管理費が最も高く、総戸数も多いタワーマンションに関しては、他の影響がより大きいと考えられます。

具体的には、500戸を超えるような"メガ・マンション"のニーズがあるのは人口密集地、つまり都心寄りですので、分譲価格も高めとなり、共用部分の仕様やサービスも充実したマンションが多く、その結果、管理費が全国平均より高めになっていると考えられます。

ただし、単純に高いか安いかを比較するのは、あまり意味がありません。金額に見合った価値があるかどうかで判断するべきで、ハード・ソフトの充実度を考えれば「むしろ割安」と捉えることもできます。

また、管理サービスの範囲や内容についても考慮しておきましょう。グループ会社が分譲したマンションについては「駆け付けサービス」を無料で提供するなど、付加価値的なサービスを提供している場合もありますので、よく確認して判断することが大切です。

大規模タワーマンションの修繕積立金が一番高い理由

中長期的な計画修繕に使うために準備する「修繕積立金」についても、大規模なタワーマンションの修繕積立金は、他の条件のマンションよりも高めの設定になっています。

その理由は、中高層マンションにはない共用設備がタワーマンションには必要で、それらの設備・施設の修繕に備えた積立金が必要になるからです。たとえば、エレベーターは本数が多く、高速タイプの群管理システムを採用しているケースが珍しくありません。防災面で設置が義務付けられている非常用エレベーター、非常用発電機、スプリンクラーや、変わったところでは航空障害灯、ヘリコプターのホバリング・スペースなどがあるマンションもあります。これらの設備・施設の修繕に備えた積立金が必要になるわけです。

また、外壁修繕でも超高層ならではの困難さがあります。上層階まで仮設の枠組み足場を立てることができないため、屋上から吊ったゴンドラで劣化点検や修繕を行う必要があり、修繕の期間も長くなりがちです。こうした点を考慮し、当初から修繕積立金が高めに設定されています。

とはいえ、4~5階建ての中層マンションと、その5倍以上の高さがあるタワーマンションとの差は月額3,000円程度のようですので、スケールメリットによる負担軽減効果が出ている部分もあるといえるでしょう。

管理費に影響する駐車場稼働率。負担の大小は管理運営の腕次第?

今後、タワーマンションの管理費や修繕積立金がどうなっていくのかを考えてみましょう。

マンション分譲時の初期設定管理費は、戸数規模や階数に関わらず5~10%程度値上がりしているところもあるようです。これは、消費税率の引き上げ、物価上昇などの影響を受けているためです。

ただし、管理費の値上げは、管理組合総会の議決で決まりますから、管理内容の仕様を変更することによって負担を少なくしたり、値上げを防いだりすることができます。

注意したいのは、駐車場の稼働率です。ほとんどのマンションで、駐車場利用料は管理費や修繕積立金に充当されています。駐車場の空きが多くなると利用料収入が減り、想定の充当額に足りなくなるおそれが出てきます。その結果、管理費や修繕積立金を値上げせざるを得なくなるケースもあるでしょう。

対策として、メンテナンス費用のかさむ機械式駐車場を撤去して平置きにしたり、駐輪場・バイク置き場に変更したり、空いているスペースを時間貸しやカーシェアリングで外部に貸すことによって、副収入を得るマンションもあります。

こうした管理に関する「経営努力」をしているマンションかどうかによって、管理費は変わってくるといえるでしょう。

タワーマンションも大規模修繕の事例が登場。修繕技術の進化に期待

震災復興需要の影響や東京五輪開催に向けた建築ラッシュで建築費が上がり、特にプールや温浴施設など、特に維持コストの高い共用施設が併設されるマンションでは修繕積立金の額が上昇気味です。月々の修繕積立金額を抑えるため、分譲時に一括で納める修繕積立基金の金額を増やす傾向もあるようです。

イメージ(本文とは直接関係ありません)

タワーマンションは、2000年前後の比較的新しい物件が多く、まだ大規模修繕を経験した物件が少ないため、修繕費の高騰を過度に危惧する声もあります。ただし、先例がないわけではありません。黎明期にできたタワーマンションは既に何度かの大規模修繕を経験しており、そこでは、補修工法の進化で1回目よりも2回目のほうがスムーズに進んだ例もあるそうです。今後もロボットの活用など、大規模修繕の技術革新とそれにともなうコストダウンは期待できるしょう。

もちろん、想定外の理由でコストが膨らむリスクもあり得ます。しかし、最近のマンションは、販売時に30年程度の長期修繕計画が作成され、修繕積立金が段階的に引き上げられる予定になっていることがほとんどなので、知らない間に極端な値上げをされるということは考えにくいのです。

中古マンションの購入においては、買ってすぐに修繕積立金が値上げされたとか、一時金が徴収されたという声を聞くことがありますが、それは事前に調べることである程度防ぐことが可能です。物件選びの際に、過去の修繕履歴や長期修繕計画の内容、修繕積立金の見直し状況、現状の積立残高などを確認しておけば、購入した後に驚くことはないでしょう。

こうした修繕にかかわる書類が整っていないマンションがあるとすれば、それは要注意です。「マンション総合調査」によると、割合は少ないものの、長期修繕計画のないマンションも存在します。20階建て以上のタワーマンションの場合は、長期修繕計画の実施率が100%です。一般のマンションに比べて、タワーマンションのほうが大規模修繕問題に向き合っているといえるかもしれません。

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