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2019.07.31

Kantei eye マンション年代記(近畿圏)

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新築マンションの供給立地は経済要因や背景とともに大きく変化してきた
90年代「郊外拡散」→00年代「都心回帰・都心集中」→10年代「投資適地集中傾向」

近畿圏の新築分譲マンション供給立地の変遷

1990年~1993年(バブルによるスプロール期)

近畿圏では、バブル高騰期における供給は大きく減少し、ドットはまさしく"点在"という形になっている。バブル型供給の影響が色濃く残っている立地分布となっていて、滋賀県や奈良県、和歌山県といった"郊外エリア"での供給が多い状態である。

その一方で大阪市、神戸市、京都市への集中度合いは弱まっており、地価の大きな変動期には都市中心部でのプロジェクトは困難であったことがわかる。

一方、神戸市垂水区以西や神戸市北区や西区、淡路島、大阪府南部まで広い領域に分布が見られ、これらの分譲もまた困難であったことは想像に難くない。比較的価格の安い兵庫県尼崎市周辺に供給が集中する様子も併せて表れている。

2004年~2006年(人気エリア集中型供給期)

この年代の近畿圏のマンション分譲は人気エリアへの供給集中が見られる。価格はまだ上昇する前の時期で、近畿圏の当時の景況感は良くなく、デフレ経済が継続していたために特に製造業の大拠点都市圏である近畿圏は大きなマンションプロジェクトに乏しい状況に陥っていた。

また北摂を代表する大プロジェクトであった「千里ニュータウン」が建て替えの時期を迎えたこともあり、北摂エリアにおける供給が少なくなっている。京都市、大阪市、神戸市の中心部に一定の供給は見られるものの、阪神間にも根強い供給集中が継続して起こっている。

この年代に関しては首都圏とは異なりマンション市場に過熱感は感じられない動きとなっている。ちょうどこの時期は政策金利の上昇時期とも重なっており、住宅ローンの金利も上昇していたことが多少なりとも影響していると考えられる。

2016年~2018年(投資適地供給型期)

この直近の年代は近畿圏の供給量のさらなる減少があり、全体的に落ちているドットの数は少ない。また立地も大阪市と京都市、神戸市といった大都市の中心部に集中する形で分布しており、投資効率重視型の分譲パターンがより進んだいる。

北摂エリアでの分譲は2004年~2006年の頃と比較しても大きな減少ぶりで、これらの居住ニーズはオフィス街に近接した大阪市中央区や西区、浪速区などのタワーマンションに奪われた形となっている。

滋賀県や奈良県には僅かながら供給があるが、大阪市のオフィスへの通勤圏という発想はなく、概ね地元のニーズや地元の大手企業に勤め、一戸建て住宅を保有している人のセカンドハウスとして専ら駅前物件が人気となっている影響である。

90年バブル期の価格上昇

三大都市圏の平均坪単価推移を見ると、1990年はバブル経済化におけるマンション価格のピークとなった。既に日経株価は1990年年頭から下落に入っていたが、マンションや土地には株式投資から引き揚げた資金が流入することでさらに高騰した。

国土法の厳格運用で1989年にはそれまでの伸びが一旦は鈍化したものの、その効果は長続きせず、1990年には首都圏で前年比+20.6%上昇(平均坪単価343.5万円)、近畿圏は+27.1%上昇(241.2万円)、中部圏では+28.9%(201.5万円)と各圏域で大きな伸びを示した。

大都市部においても上昇率は大きく、東京23区は+14.0%(517.9万円)、大阪市+34.6%(373.6万円)、名古屋市+36.1%(238.2万円)とさらに押し上がった。

<h32000年代前期底打ち後の新築マンション平均坪単価の連続上昇

マンションの価格は概ね2002年に底打ちした。首都圏は2001年に182.3万円で、東京23区は2000年に229.5万円で早くも底を打っている。このマンション価格の底打ちは不動産の資産性、特に企業や富裕層、投資家の心理に大きな影響をもたらした。

地価が上昇するのは、まだかなり先であるがマンションの実勢価値や資産価値の上昇は、それまで「失われた10年」の間に不動産に一定の距離を保っていた人たちの資産としての興味を再び不動産に向けさせる効果を生じさせたのである。

重要なのはその後のマンション価格の動きである。三大都市圏のマンション価格は著しく価格が上昇した翌年の調整などの要因を除けば、ほぼ断続的に上昇していると言っても良い。

首都圏では底打ち以降では2005年、2010年この2年に前年比で下落した以外は上昇が続いている。近畿圏は2001年に137.7万円で底打ちした。その後は2011年と2012年に2年連続下落しただけで、あとは上昇している(2009年は横ばい)。中部圏は2002年に110.3万円で底を打った。

2003年の上昇の反動から、2004年に下落したが、後は上昇が続き、前年比で下落となったのは2010年と2016年のみで、2004年を加えても3年だけである。このような傾向は都市中心部において顕著である。

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提供:東京カンテイ
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