認知症・相続対策

認知症対策

認知症は介護認定要因では第一位(※1)であり、認知症患者の推計値では65歳以上で約5人に1人(※2)になると言われています。 認知症を発症すると、銀行口座が凍結され預金の引き出しができなくなることや、不動産売買契約が無効となることで自宅を売却できなくなるなど金銭面で大きな支障が出る可能性があります。また、相続対策や遺産分割協議もできなくなるため事前に対策をとっておくことが重要です。

介護が必要となった主な原因の構成割合(※1)

65歳以上の認知症推定有病率(※2)

(※1)厚生労働省 「国民生活基礎調査」/2022年 (※2)厚生労働省 日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」(平成26年度厚生労働科学研究費補助金特別研究事業)より算出

財産凍結とは?

認知症を発症することで判断能力が低下し法律行為ができなくなるため、財産の管理や処分ができなくなってしまいます。

預貯金
  • 預貯金の引き出し
  • 定期預金の解約 など
不動産
  • 売却
  • 賃貸
  • リフォーム
  • 建替え
  • 大規模修繕
  • 借入 など
有価証券
  • 投資信託の売却
  • 株式の売却 など

何も対策をしなかったら・・・

様々なケースで支障をきたす可能性があります。

  • 銀行口座凍結によりお金が下せなくなり生活費などが払えない
  • 老人ホーム入居のために不動産を売却したくても売買契約は無効となってしまう
  • 証券口座凍結により株の売買ができないまま株価が下落してしまう
  • 家族のために遺言を書いても無効となってしまう

認知症による財産凍結リスク対策に有効な生命保険

介護保険 指定代理請求

認知症による銀行口座凍結対策の一つは、介護保険等の保険契約に指定代理請求人を設定しておくことです。
指定代理請求人とは本人が何らかの事情により保険金・給付金の請求ができない場合に、本人に代わって保険金・給付金を請求できる人のことをいいます。 お子様や兄弟などを指定代理請求人に設定しておくことで、本人に代わり保険金の請求ができ、指定代理請求人の銀行口座に振り込んでもらうことも可能です。本人の口座は凍結されても、指定代理請求人が受け取った保険金で本人の介護費などに充てることができるようになります。

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相続対策

相続時に遺産分割協議がまとまらず調停までもつれた件数は相続財産が5,000万円以下の方で全体の約8割を占めています。
相続財産の多くが自宅(不動産)である場合、自宅(不動産)を相続人間で公平に分割することが困難となるため、遺産分割協議がまとまらずに"争族"となってしまったことが要因の一つに考えられます。 また、相続税の課税価格・納税額はともに増加傾向となっています。不動産価格の上昇や相続時のマンション評価の算出方法が変わったことで、今後も相続税が課税される世帯は増加していくことが想定されます。
まずは「相続人の数」や「相続財産の内容・金額」を確認し、「本人の想いを踏まえた相続財産の分け方」や「納税資金準備」などを事前に対策することが重要です。

遺産分割 認容・調停成立件数

裁判所 令和2年度遺産分割事件のうち認容・調停成立件数(「分割をしない」を除く)

相続税の課税価格及び税額の推移

国税庁 令和4年分相続税の申告事績の概要より作成
(注)1「課税価格」は、相続財産価額に相続時精算課税適用財産価額を加え、被相続人の債務・葬式費用を控除し、相続開始前3年以内の被相続人から相続人等への生前贈与財産価額を加えたものである。
2 上記の計数は、相続税額のある申告書(修正申告書を除く。)データに基づき作成 している。

財産凍結とは?

円滑な相続手続きを行うための対策は以下の4つがあります。

遺産分割対策

先述の通り、遺産分割協議がまとまらず期限までに申告できないと、相続税の特例が使えず多くの税金を払ったり相続人同士も不仲となったりと、最悪のケースとなってしまいます。そうならないために、遺言作成や代償交付金準備などの対策が必要です。

相続税対策

相続税法には特例があり、相続税の計算をする上で財産の評価を下げることができる制度があります。また、配偶者や未成年者などの控除制度もあります。特例を適用して相続税を適正に減らしたうえで、期限までに申告・納税するための対策が有効です。

納税資金対策

相続財産のほとんどが不動産で金融資産が少ない場合、相続人が納税するための現金がないという問題が発生します。せっかく相続した不動産を売却せざるを得なくならないようにするために、納税資金を生み出す対策が必要です。

認知症対策

先述の通り、認知症を発症すると銀行口座や不動産などあらゆる資産が凍結されてしまう可能性があります。さらに遺言はもちろん、他の相続対策が全くできなくなるため、そのような事態に陥って後々の相続の時に揉めたりしないためにも事前の対策が重要です。

何も対策をしなかったら・・・

相続税の納税申告期限までに間に合わず余計な税金を払ってしまうことや、遺産分割を巡り家族が不仲になってしまう可能性があります。

  • 相続人が不仲や疎遠で話し合いができず、相続の手続きが進まない
  • 相続財産を分け合うのに親兄弟の話し合いの際、各々の主張でまとまらずに揉めてしまう
  • 不動産などいつまで経っても分け方が決まらず空き家になってしまう
  • 手続きに時間を要したために相続税の申告・納税に間に合わず多くの税金を納めなければならない
  • 相続財産の受け取り方しだいでは相続税を納めるための現金がなく、借入をして納めなければならない

相続対策に有効な生命保険

生命保険は相続対策で最も検討されている方法です。

  • メリット1

    指定の人に遺す(受取人固有の財産)

    生命保険金は民法上受取人固有の財産と定められており、生命保険契約で設定した保険金受取人は他の相続人と分け合うことなく死亡保険金を受け取ることができます(相続放棄しても生命保険金を受け取ることが可能です)。例えば晩年に身の回りの面倒を見てくれた相続人に多く遺してあげたいという当人の気持ちを生命保険で叶えることが可能です。

  • メリット2

    代償分割

    自宅やアパートなどの不動産は複数の相続人間で公平に分けるのが難しい財産であると言えます。
    相続人間で公平に相続財産を遺してあげたい場合は生命保険の活用が有効です。支払った保険料(コスト)よりも高い保険金となるような生命保険に加入することで現金資産を生み出すことができ、相続人間で偏った相続財産を公平に分けることができます。

  • メリット3

    納税資金

    メリット2の通り、支払った保険料よりも高い保険金となるような生命保険に加入することで相続税の申告期限までに納税資金を確実に捻出することができます。また、保険請求による書類の提出後、不備がなければ数日で支払われるため、早期に現金が手元に来る点も有効と言われています。

  • メリット4

    遺留分対策

    遺産の分割上、様々な事情で相続人間で不公平が生じることがあります。その場合、一定の相続人に保障される最低限の相続財産を受け取れる権利を遺留分と言います。もし遺留分を請求された場合は原則現金で支払うため、請求された時に負担がないよう生命保険に加入しておくことで、万一遺留分を請求された場合でも保険金(現金)で支払うことができます。

  • メリット5

    非課税枠の活用

    相続人が受け取った生命保険金及び死亡退職金は、相続税法上一定の計算式により、それぞれ相続財産から控除することができます。

    生命保険(死亡退職金(※1))の非課税限度額 = 500万円×法定相続人の数(※2)

    ※1会社が加入した生命保険は死亡退職金として、上記の生命保険とは別に同様の額の非課税枠を控除できます。

    ※2相続人の中で放棄した人がいても法定相続人の数に含みます。放棄した人や相続権を失った人は非課税枠の適用はありません。養子は実子の数により法定相続人は一人または二人の計算となります。

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