投資用・事業用不動産サイト「ノムコム・プロ」 > 投資用・事業用不動産の査定・売却 > プロに聞く「収益物件」売却術 > 不動産投資市場、2017年前半を「売り時」とみる3つの要因
不動産投資では、購入物件の選び方も大切ですが、それ以上に「いつどのように売却するか」という「出口戦略」も重要です。売却のタイミングと「売り時」の判断の考え方についてご紹介いたします。
公開日:2017年1月20日
※内容、担当者の所属・部署名等は公開日時点のものです
2016年の不動産投資市場は、金融機関の不動産への積極的な融資姿勢を背景に好調な滑り出しでした。夏頃に不動産価格の高止まりが続き、投資家の様子見感が漂いましたが、11月後半から好調さを取り戻しています。不動産投資サイト「ノムコム・プロ」の売却査定件数は、2016年11月には同年8月比で1.4倍、購入反響件数は、1.3倍に増加しています。
市場の変化要因はドナルド・トランプ氏が米大統領選挙に勝利し、円安・株高が進んでいることが挙げられます。きっかけ・起爆剤があると、市場での売買は活性化します。売主の価格設定に購入検討者が付いてこられるマーケットに転じていると言え、「ノムコム・プロ」掲載中の売り出し物件平均価格も直近で上昇しています。例えば2016年11月の「ノムコム・プロ」掲載の売りアパート平均売り出し価格は、この2年で約40%の上昇をみせています。(図1)。
当社でも、5年程前に約7億円でご購入頂いた都心のビルを約12億円で売却できたという高値売却の事例がありました。円安・株高が進む中、保有資金を不動産に投じていこうという投資家が増えているのです。
昨年1年を見ても市場に波はありましたが、全般的には堅調なマーケットと言え、投資意欲が強い背景の一つには、前述した金融機関の積極的な融資姿勢が挙げられます。物件評価や融資金利など貸し出し基準に違いはあるものの、金融機関の収益用不動産に対する融資姿勢は一様に積極的です。数年前は3~4%だった金利はその後格段に低くなり、最近では1%を切る金利で貸し出しする事例も複数あります。また、金利だけでなく、貸出期間も長くなり、新築なら35年、中古でも物件の状況や買主の属性によっては30年の例もみられます。
2016年秋口以降、金融機関の審査基準がやや厳しくなったという見方も出ていますが、融資金利や貸出期間などは数年前と比べはるかに柔軟であると言えます。例えば、築40年・鉄骨造ビルのような法定耐用年数を超過した収益不動産は、極めて融資ハードルが高いと思われますが、貸出期間30年・融資金利2%弱というローンを組むことができた例もみられます。
もう一つの背景は、安定収益が見込める不動産への投資が、一段と注目されるようになってきた点です。マイナス金利政策により、金融商品の利回り低下、経済情勢の変化による株価乱高下で憂き目を見た方々が不動産投資に目を向けています。株価と異なり、賃料は一気に下がることがなく、安定収入を得られます。それでいて市況が良ければ、購入した価格以上で売却することも可能です。そのため、最近は、前述した金融機関の積極的な融資スタンスも相まって、若いうちからリタイア後に備えようという年収700万~800万円程のサラリーマン投資家が増えています。
3つ目の背景としては、相続対策の必要性が広まっているということが挙げられます。相続税制が改正され、相続税の基礎控除額が引き下げになったことで、大都市圏の一戸建て所有者は影響を受けると言われており、相続対策を検討する層が広がっています。超高齢化社会になっている現在、リタイアした世代の富裕層や資産家などは資産運用で安定収入を得ながら生活し、将来的にはそれらの資産をできるだけ子どもたちに残したいと望んでいます。そこで、相続税の課税評価上有利といわれている収益用不動産の保有を選択しているのです。
不動産投資と言うと、富裕層や資産家がするものを思われがちですが、会社経営者や医師、弁護士、税理士などのライセンサーはもちろんのこと、今では、年収700万円~800万円のサラリーマンから、金融機関や商社、外資系企業などに勤務する高年収のハッピーリタイア志望者まで、多くの方が不動産投資に目を向けています。
金融機関の積極的な融資姿勢、不動産投資家層のすそ野の広がり、超高齢化社会での相続対策の選択肢、この3つの要因によって、収益用不動産の購入を検討する方が増加しています。現在、不動産価格の上昇によって利回りが低下し、投資家の購入意欲が下がっていると思われがちですが、そんなことはありません。融資金利が低く、貸出期間が長いことから、年間支出を一定程度に抑えられ、キャッシュフローを生み出すことができているからです。
リーマンショック後、収益用不動産の投資利回りは首都圏でも7~9%と今より高い利回りでしたが、その分、金融機関の融資金利も3~4%台と高めでした。現在、「ノムコム・プロ」掲載中の収益用不動産投資利回りの平均は、東京23区で5.5%(2016年12月データ)となっておりますが、融資金利の低下×貸出期間の長期化で投資利回りが下がっても黒字化が成り立つ構図になっています。
不動産投資市場では、例年2・3月は企業決算や確定申告を前に収益不動産を購入しようとする動きが活発化します。現在は、トランプ政権の経済政策への期待感から円安・株高が進み、前述の通り、不動産投資市場には勢いがあります。一方、トランプ政権誕生から数ヶ月経った頃、世界経済にその影響が出始め、日本の不動産市場にも影響が及んでくるでしょう。確実なことは言えませんが、少なくとも2017年前半までは2016年11月以降の市況が継続し、収益用不動産の売却にプラスの状況が見込めるのではないかと予想されます。
いまこそ、売却の好機です。
~事例紹介(10)~ 事業承継に伴う法人所有の「難あり」不動産を独自のコネクションを駆使して売却
~事例紹介(9)~ 築古のビジネスホテルを収益物件として捉え直し、売却に成功
~事例紹介(8)~ 収益不動産を開発事業者の視点で捉え直し、1億円アップに成功
~事例紹介(7)~ 関係の悪化した所有者同士の意見を調整し、早期かつ高値で売却
現状は「売り」優先。2019年は外国人・戦略特区・開発を注視
~事例紹介(6)~ 権利関係が複雑なマンション17室を高値で一括売却
~事例紹介(5)~ 都心立地以外の築古物件でも、1ヵ月半の早期売却に成功
2018年前半は待ったなし。主役の変わった不動産市場で取るべき戦略
2017年後半を「売り時」とみる理由と、有効な出口戦略
~事例紹介(4)~ 親の不動産が売却できない!? 相続の前に潜む落とし穴
~事例紹介(3)~「争続」回避の売却は、プラスαの提案こそ重要
~事例紹介(2)~ターゲットを見定め、お客様の希望価格を実現
~事例紹介(1)~お客様の希望を上回る金額での高値取引を実現
不動産投資市場、2017年前半を「売り時」とみる3つの要因