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2018.09.28

気になるマンションの寿命、何年くらい住み続けられる?

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築年数の古いマンション、どうしても気になるのは「長く住み続けられるの?」「寿命はどのくらいあるの?」という点。よくいわれる「寿命30年」は本当なのでしょうか?マンションの寿命について考えてみました。

マンションの寿命は何年?

「築30年」を超える中古マンションの取引が年々増加しています。2017年には、成約件数の25%に達しました(図1参照)。毎年いくつものマンションが完成し、ストックとして蓄積されていくため、築年数の古い物件の取引が増えるのは当然といえば当然です。しかし、単に量が増えているだけでなく、購入する人も、築年の古さに対して昔ほど抵抗を感じていないように思います。

その一方で、築30年のマンションに「あと何年くらい住み続けられるの?」「マンションの寿命はどのくらい?」といった疑問を持つ人も多いでしょう。

日本の住宅の平均寿命は30年程度といわれてきました。ただ、この30年という数字は、構造や種類を問わず、ある期間に取り壊された住宅の、その時点での築年数の単純平均です。それらは、必ずしも建物の「寿命」で取り壊されたわけではありません。

住宅の寿命が次第に伸びている理由、一つはイノベーション

住宅の平均寿命が伸びている理由の一つは、使われている材料のレベルアップや施工技術の進歩、つまりイノベーションです。たとえば、マンションの主要構造部である鉄筋コンクリートの耐用年数は、90年代頃までは60年といわれていました。2000年頃から「100年コンクリート」という用語が新築マンションのパンフレットに載り始め、10年ほど前から「200年住宅」という言葉も登場しています。

もちろん、コンクリートが100年もっても、住宅として同じ期間にわたって機能し続けるとは限りません。住宅は、耐久性の異なる部材、設備や内外装仕上げが複雑に組み合わされてできあがっています。これらの使い方、維持管理の仕方によって、実際の住まいの寿命は変わってくるわけです。

二つ目の理由は、ストック型社会への転換

また、住宅の平均寿命が伸びているもう一つの背景として、「フローからストックへ」という時代の変化があると思われます。90年代、「日本の住宅の寿命は30年」といわれていた当時に築30年前後の建物といえば、戦後復興期から高度成長期にかけて建築されたものということになります。スクラップ&ビルドで、新しい技術を盛り込んだ、きれいな建物へ建て替えることが求められた時代でした。

ところが、バブルが崩壊してデフレ時代に入ると、簡単に建て替えや買いかえができなくなりました。また、建築技術もある程度成熟し、目立った進化は見られなくなります。新しいものが一番という価値観から、古い建物の良さを味わい、リフォームやリノベーションをしながら長く大切に住んでいく、という意識を持つ人が増えてきたのです。

かつては一戸建てへのステップ、あるいは"仮住まい"的なイメージが強かったマンションにも「永住志向」が芽生えてきました。永住に堪える広さ、ライフスタイルの変化に応じた間取りの可変性など、プラン面の配慮も住宅の長寿命化につながっています。

市場で売れない住宅は、そろそろ寿命?

住宅の寿命を左右する要素は、物理的、機能的な面だけではありません。「中古住宅のマーケットで流通するかどうか」が、住宅の寿命を大きく変えてしまいます。

たとえば、郊外の住宅地などでは、空き家のまま放置された住宅を見かけます。物理的、機能的にはまだまだ現役の立派な一戸建てに見えても、誰も使わない空き家というのは急速に老朽化します。いずれ解体されるのを待つだけの状態にあるとすれば、実質的には寿命が来ているといえるかもしれません。

一方、都心のヴィンテージ・マンションは築30年を過ぎても、問題なく流通しています。立地が良いのはもちろん、快適な住環境や資産価値を守ろうという住まい手側の意識が高く、きちんと維持管理されているため、「ここに住んでみたい」という購入希望者が後を絶たないのです。

このような中古マンションは、今後、築40年、50年になっても住み継がれていくでしょう。中古市場における流通性、言い換えると資産価値の高さが住まいの寿命を伸ばし、それがまた資産価値の高さにつながっています。

安全でないマンションは既に寿命が尽きている?

最後に、寿命を考える上で見逃せないポイントを指摘しておきましょう。「安心・安全」に住み続けられるかどうかという点です。

いくら耐久性の高い素材を使っていたとしても、大地震に耐えられる構造設計が行われていなければ、倒壊して人命にかかわる恐れがあります。現在想定される震度6強から7程度の大地震に耐えられない疑いがあるのは、1981年5月までに建築確認を受けた旧耐震基準の住宅です。

国は、「危険又は有害な状況にあるマンションの建替えの促進のため」に、2002年に「マンション建替円滑化法」を制定して、旧耐震基準のマンションの建替えを後押しする政策を進め、2014年には、さらに建替えを円滑に進められるよう同法を改正しました。

注意して欲しいのは、旧耐震基準=「危険又は有害」ではないということです。
1981年以前にできた旧耐震基準時代のマンションでも、耐震診断を行って耐震性があることを証明できれば問題ありません。また、倒壊の危険があると診断されても、耐震改修工事を行って耐震性を高めることもできます。

東京都の分譲マンション約5万3,000棟のうち、2割強の約1万2,000棟が旧耐震基準です(東京都「マンション実態調査結果」2013年3月公表」)。また、都が実施した調査に対して回答した旧耐震基準のマンションのうち、耐震診断を実施したマンションは、わずか17%。しかも、その診断結果として、「大地震に対して倒壊または崩壊する危険性が低い」ことを意味する「Is値(耐震指標)≧0.6」は約3分の1でした。

マンションが本格的に普及してから50年程度のため、その「寿命」について明確な答えは出ていません。20年ほど前まで30年と言われていたのが、どうやら建物としては60年程もちそうだということが分かってきました。住みたいマンションの寿命をただ心配するだけでなく、ここまで説明してきた内容を参考に、判断してみてください。

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