近年、都心部では大規模なまちづくりに伴う形で、新しい駅や交通システムが誕生しています。

2020（令和2）年3月には、JR山手線の「田町」駅と「品川」駅の間に「高輪ゲートウェイ」駅が暫定開業しました。隈研吾氏が設計した駅舎内には、AIを活用したロボットやQRコードに対応した改札機などの導入、駅ナカ無人店舗の設置など、最新の技術が生かされており、注目が集まりました。駅の本開業は2024（令和6）年度の予定です。

駅周辺では、「田町」駅から「高輪ゲートウェイ」駅にかけて超高層ビル4棟を含む5棟の建設が計画される「品川開発プロジェクト」が進行しており、駅の本開業時期に合わせたまちびらきが予定されています。

また、「品川」駅は2027（令和9）年の開業を目指すリニア中央新幹線の始発駅ともなります。「品川」駅から「名古屋」駅までわずか約40分、「大阪」駅には最速約67分で結ぶリニア新幹線の開業に合わせ、京急線の「品川」駅をJR線と同じ地平に移し高輪口に大規模な連絡デッキを設けるなど改良工事も行われます。

「田町」駅付近から「羽田空港」へ向かう羽田空港アクセス線（仮称）の構想も、2021（令和3）年1月に鉄道事業認可が許可され動き出しています。

この「羽田空港アクセス線（仮称）」は、宇都宮線・高崎線・常磐線方面と羽田空港新駅（仮称）を結ぶもので、今回新たに事業認可が許可されたのは、東京貨物ターミナルから羽田空港新駅（仮称）までの5kmの区間です。運行開始時期は2029（令和11）年度を予定しており、完成すれば品川エリアは国際化時代を迎えた東京の玄関口にふさわしい駅に生まれ変わります。

開発が続く虎ノ門エリアに新たに誕生したのが、東京メトロ日比谷線の「虎ノ門ヒルズ」駅です。新駅は、「虎ノ門ヒルズ 森タワー」の西側、桜田通りの地下に2020（令和2）年6月に供用が開始されており、2022（令和4）年度には最終完成を迎える予定です。

「虎ノ門ヒルズ」駅は「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」との一体開発を行っており、地下通路で「虎ノ門ヒルズ 森タワー」、「虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー」、そして東京メトロ銀座線「虎ノ門」駅と直結しており、各ビルをはじめ、エリアを訪れる人々の利便性が大幅に向上しました。

さらに、「虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー」の1階には大規模なバスターミナルが設けられ、都心から臨海部を結ぶBRT（バス高速輸送システム）が発着しているほか、「羽田空港」などに向かう直行バスのターミナルにもなります。

虎ノ門のバスターミナルから発着する「東京BRT」は、「新橋」駅から「勝どき」駅を経由して、晴海三丁目や「豊洲」駅に向かうバスで、2020（令和2）年10月にプレ運行を開始しました。2022（令和4）年以降に予定されている本格運行では「国際展示場」駅への乗り入れが開始されるほか、東京オリンピック後の選手村跡地の再開発エリアにも乗り入れる予定になっています。

所要時間は「新橋」駅から「勝どき」駅まで約10分以下、「国際展示場」駅まで約25分以下にすることを目標としており、臨海部へのスピーディーな移動が実現しつつあります。

東京都内から神奈川県方面へ向かう鉄道路線の整備も進められています。2019（令和元）年11月には「西谷」駅から「羽沢横浜国大」駅間を結ぶ相鉄・JR連絡線が開通し、相鉄線から「新宿」駅方面への直通電車の運行が始まりました。これまで「二俣川」駅から「新宿」駅へは約59分かかっていますが、開通後は最速約44分と約15分短縮され、乗り換えも不要になります。

2023（令和5）年度には「羽沢横浜国大」駅から「日吉」駅間の相鉄・東急連絡線である東急新横浜線も開通を予定しており、相鉄線と東急東横線、東急目黒線との直通運転が行われます。相鉄・東急直通線の開通により「二俣川」駅から「目黒」駅間の所要時間は約16分短縮され約38分になります。相鉄・東急連絡線には「新横浜」駅も設けられ、都心方面への直結効果に加え、相鉄線方面から東海道新幹線への乗り換えが便利になるメリットももたらされます。

また、新たに開通する東急新横浜線には綱島地区にも新たに「新綱島」駅が開業します。この「新綱島」駅の開業によって東急東横線「綱島」駅周辺の再開発が活発化するなど、交通網の整備により、周辺エリアの利便性向上にも影響を与えています。

ますます利便性が高まる東京周辺の交通アクセス。新路線の早期の開通が期待されますね。