江戸時代の五反田・大崎周辺には大名屋敷や幕府の施設が集まり、明治以後は西郷従道や伊藤博文、三菱財閥3代目総帥の岩崎久弥など近代化の立役者の邸宅が並びました。当時の岩崎家の邸宅は三菱グループの会員施設「三菱開東閣」となり、当時の面影を残しています。

城南五山の中でも特にグレードが高いといわれる「池田山」は、「五反田」駅から程近い場所にも関わらず周囲のにぎやかさとは隔絶されたような静けさが漂っています。池田山にはインドネシア大使館や上皇后陛下のご生家・正田邸跡に整備された公園「ねむの木の庭」など、高級住宅地らしいスポットが点在しています。

五反田エリアではさまざまなショッピング施設を中心とした都市インフラ整備が進み、街並みは大きく変わってきています。

JR「五反田」駅の東口では駅ビルの整備が行われました。2020（令和2）年3月に誕生した10階建ての新しい駅ビルは、低層階（1～3階）に商業施設「アトレ五反田2」、高層階（3～10階）に客室数166室の「JR東日本ホテルメッツ 五反田」が開業しました。これに伴い、駅西側にあった「アトレヴィ五反田」は「アトレ五反田1」へ名称変更し、東西で一体感のあるショッピング施設が誕生しています。

また、同年4月には駅隣接の商業施設「レミィ五反田」が屋号変更し「五反田東急スクエア」へと生まれ変わりました。駅利用者やオフィスワーカーの利便性を高めるバラエティ豊かな店舗で構成され、買い物や飲食の楽しみがさらに増えています。

2015（平成27）年に閉館した「ゆうぽうと」跡地での開発プロジェクト「五反田計画（仮称）」も、大きな話題を集めています。「TOKYO,NEXT CREATION」をコンセプトに、多様な出会いと交流、新しい価値創造を促す次世代の街の拠点を目指すとしており、五反田エリア最大級のオフィスゾーンを中心にシェアオフィス、フードホール、ホテルなどからなる大規模複合施設が誕生する予定です。ホテルの運営は星野リゾートに決定しており、2023（令和5）年12月竣工を目指して建設工事が進められているところです。

このほか、都内最大級の複合商業施設であり、五反田のランドマークとして知られる「五反田TOCビル」の建て替えも計画されています。現在13階建ての建物を、30階建てにする計画で、低層階および地下は商業施設や催事場、高層階はオフィスエリアとなる予定です。

当初は2023（令和5）年3月閉館、その後解体工事着工、2027（令和9）年春頃に竣工という予定でしたが、6カ月から1年程度の順延が発表されています。巨大な建物なので今後の動きが気になるところです。

五反田・大崎エリアというとオフィス街のイメージがありますが、目黒川の水辺空間をはじめ「池田山公園」や「御殿山庭園」など周辺には自然と親しめる癒しスポットも点在します。タワーマンションも増えており、「働く」だけでなく「暮らす」魅力にもあふれた街といえます。