【千駄ヶ谷】三方を広大な緑地に囲まれた、スポーツと将棋の聖地
千駄ヶ谷エリアは、東京2020オリンピック・パラリンピックのメイン会場である「国立競技場(オリンピックスタジアム)」や「東京体育館」があるほか、「将棋会館」があることでも知られています。西に「明治神宮」、北に「新宿御苑」、東に「明治神宮外苑」と、三方を広大な緑地に囲まれ、都心にいながら豊かな自然を身近に楽しめます。
国立競技場などで大きなイベントがあるときは人が多く集まりますが、普段は静かな環境です。最近は「千駄ケ谷」駅から「北参道」駅にかけてのエリアが“ダガヤサンドウ”と呼ばれ、大人おしゃれな街として人気を集めています。
千駄ヶ谷は東京都渋谷区の北東部に位置する、JR中央・総武線「千駄ケ谷」駅を中心としたエリアです。新宿区に隣接しており、「新宿」駅南側の「タカシマヤタイムズスクエア」が建っているあたりは千駄ヶ谷5丁目です。
また、JR各線のほか、東京メトロ副都心線「北参道」駅や、都営大江戸線「国立競技場」駅も利用可能なため、アクセス利便が非常に高いエリアです。
かつてこの地には新宿御苑を水源とする渋谷川が流れ、多くの萱が生えていました。「千駄ヶ谷」という地名の由来については、日々千駄の茅を刈り取ったことから「千駄萱村」となり、後に「千駄ヶ谷」と書くようになったという説や、室町時代に活躍した武将・太田道灌(おおたどうかん)が巡見した際に谷間に栽培されている稲が千駄もあったという説が伝えられています(「駄」とは、馬に積む荷物を数える単位のことです)。
明治中期には「青山練兵場」が置かれましたが、明治天皇崩御後、そのご遺徳を永く後世に伝えるために、練兵場があった広大な跡地に「明治神宮外苑」が整備されることになります。
「聖徳記念絵画館」を中心に、「憲法記念館(現・明治記念館)」などの記念建造物や、日本で初めての本格的陸上競技場、野球場、相撲場などのスポーツ施設が建設され、1926(大正15)年に明治神宮に奉献されました。
1964(昭和39)年の東京オリンピックは、街の様子や人々の生活を大きく変えました。このエリアを流れていた渋谷川も、暗渠化されて下水道になり、街から姿を消しました。
陸上競技場(明治神宮外苑競技場)は取り壊されて「国立競技場」へと生まれ変わり、1958(昭和33)年アジア競技大会および1964(昭和39)年東京オリンピックのメイン会場として大役を果たしました。
JR「千駄ケ谷」駅前の「東京都体育館(現・東京体育館)」や明治神宮外苑内の「秩父宮ラグビー場」などもオリンピック競技会場として使われたほか、千駄ヶ谷エリアの南西には選手村が設けられ、国内外から大勢の人々がこの地を訪れました。選手村の跡地にはその後「代々木公園」が誕生しました。
それから半世紀余り、日本のスポーツの聖地として数多くの伝説を生んできた国立競技場は、東京2020オリンピック・パラリンピックに向けて再び全面改築が行われ、隈研吾氏設計による新「国立競技場」へと生まれ変わりました。
近代的デザインでありながら国産木材を多用した和のスタジアムは、このエリアの新しいランドマークとして圧倒的な存在感を放っています。
競技場への移動が安全・快適になるように周辺道路も整備され、日本スポーツ協会・日本オリンピック委員会の新本部ビルとして完成した「ジャパン・スポーツ・オリンピック・スクエア」にはスポーツ関連団体の本部機能が集約されました。
周辺エリアでは「ザ・コート神宮外苑」や「パークコート神宮北参道ザタワー」といった高層マンションや、オフィス・商業施設などの開発も行われています。
現在神宮外苑エリアでは、明治神宮・日本スポーツ振興センター(JSC)・三井不動産・伊藤忠商事の4者により大規模な再開発事業が進められています。
老朽化した神宮球場・第二球場・秩父宮ラグビー場などを解体し、新たな野球場とラグビー場を、位置を入れ替えて建設するという大掛かりな工事となります。新しい野球場は観光スポットとしても人気の「いちょう並木」の西側に隣接して、ホテル棟を併設する形で建設されます。
さらに、複合棟2棟(オフィス・商業・宿泊施設・スポーツ関連施設等)と、文化交流施設棟(スポーツ関連施設・商業等)、広場などの建設も計画されています。全体の完成は2034(令和16)年度を予定しています。
神宮外苑地区では、国立競技場を含むこうしたスポーツ拠点としての整備のみならず、歴史的景観の保全や緑豊かな風格ある景観の創出、憩いとにぎわいの空間の創出、業務・商業・交流等の機能の高度化などさまざまな目標がまちづくり指針として挙げられています。また広域避難場所にも指定されており、災害時の防災拠点としての機能の強化も目標に掲げられています。
千駄ヶ谷には「将棋会館」があり、将棋の聖地としても知られています。将棋会館は藤井聡太五冠(2022(令和4)年12月時点)の快進撃で一躍有名になった場所で、数多くの名勝負や伝説がここから生まれています。
2階にある将棋道場はビギナーから上級者までだれでも入場でき、各種教室やプロ棋士による将棋道場、子供向け将棋スクールなども開催されています。なお将棋会館は2024(令和6)年にJR「千駄ケ谷」駅近くに竣工予定の「千駄ヶ谷センタービル」に移転する予定です。
また、将棋会館の隣にある「鳩森八幡神社」には、将棋の技術向上を目指す人々の守護神として「将棋堂」が建立されており、正月には「将棋堂祈願祭」、夏には将棋大会も開催されています。境内には都指定有形民俗文化財「千駄ヶ谷の冨士塚」があり、パワースポットとしても人気です。
千駄ヶ谷には「国立能楽堂」もあります。小型液晶画面を使った座席字幕システムが導入されており、初心者でも安心して気軽に日本の伝統芸能を楽しむことができます。このほか美術館やギャラリーも点在し、文化的な楽しみにもあふれた街です。
JR「千駄ケ谷」駅から、2008(平成20)年に千駄ヶ谷4丁目に開業した東京メトロ副都心線「北参道」駅にかけてのエリアには、飲食をはじめ個性的な専門店が集まっています。
以前は新宿や原宿の裏立地で住宅街のイメージが強い場所でしたが、女性向け月刊誌『CREA』が2016(平成28)年にこの一帯を“ダガヤサンドウ”と名付けて紹介して以来、各メディアでも取り上げられるようになり、おしゃれで落ち着いた雰囲気の街として注目を集めるようになりました。
テラス席のあるおしゃれなカフェやレストラン、白Tシャツ専門店やスウェット専門店、バルーン専門店など、個性的な店が多く、街歩きやデートスポットとしても人気です。神社やレトロな建物もあり、新旧の魅力が混在しているのもこの街の面白いところです。
千駄ヶ谷は新宿、原宿、青山、表参道などへも徒歩でアクセスすることが可能で、足回りの良さは申し分ありません。大通りから一歩入れば静かな住宅地となっており、利便性と落ち着いた住環境の両方を求めるならぜひ注目したい街の一つです。
- 掲載日
- 2021/06/30
本記事は、(株)ココロマチ が情報収集し、作成したものです。記事の内容・情報に関しては、調査時点のもので変更の可能性があります。