【名古屋市中区】中部圏最大の繁華街「栄」や名古屋城などを擁する名古屋市中区の防災対策
中区は名古屋市を構成する16区の一つで、市のほぼ中心部に位置し、市役所や県庁をはじめ中枢機能が集まっています。中部地方最大の繁華街「栄」をはじめ、人気観光スポット「名古屋城」、名古屋の副都心として整備が進む「金山」、電気街として知られる「大須」などを擁します。
中区は100m道路の街としても知られています。全国に3本ある100m道路のうち2本(久屋大通、若宮大通)がここ中区にあり、中央分離帯には公園が整備され広域避難場所に指定されているなど、防火・防災機能も果たしています。
中区は「熱田台地」の上にあり、地盤条件が良いとされています。ちなみに徳川家康によって築かれた「名古屋城」はこの熱田台地の北西端にあり、当時は周辺の低地との間に10mほどの崖があり、岐阜県の関ケ原方面まで見通すこともできたそうです。
名古屋市の防災に関する情報は、スマートフォンやタブレット端末を使って「名古屋市防災アプリ」でいつでも確認できます。このアプリには地震・洪水などの防災情報や公共交通機関が止まった場合の徒歩帰宅支援情報など、多岐にわたる情報が集約されています。
「名古屋市防災アプリ」では、現在位置周辺の被害想定や避難所情報がカメラで撮影した実写の映像に合成して表示されるので、災害状況や避難所の方向・距離などを視覚的に把握することができます。事前に地図データをダウンロードしておくことで災害時のオフライン環境でも使用することができます。
名古屋市では「ハザードマップ」、「防災ガイドブック」、「わが家のマイ・タイムライン」などを1つに集約して「なごやハザードマップ防災ガイドブック」として作成し、2023(令和5)年3月に全戸配布しています。「ハザードマップ」は想定し得る最大規模の洪水・内水氾濫・高潮に加え、地震・津波・ため池氾濫などあらゆる災害を網羅しています。
「防災ガイドブック」には災害時に身を守るための行動、被災した時の心得、日頃からの備えなどがまとめられています。また「わが家のマイ・タイムライン」では台風・大雨や地震などの時に「いつ」「誰が」「どのように行動するか」を時系列に沿って整理しておくことができ、家族間での情報共有に役立ちます。
このほか冊子「くらして、そなえて。なごやBosaiブック」では、災害時に起こりがちな女性特有の困りごとや防災への備えが、女性の目線でまとめられています。
名古屋市では、あらゆる可能性を考慮した最大クラスの地震を想定した上で、その被害予測結果を「地震ハザードマップ」として公開しています。
地震ハザードマップでは震度および液状化可能性が示されているほか、緊急避難場所(広域避難場所)や応急給水施設などの位置も分かるようになっています。中区の広域避難場所としては久屋大通公園、若宮大通、白川公園、名城公園一帯などが指定されています。
中区の西側には堀川が流れるほか区内を新堀川が流れていますが、周辺の低地よりも標高が高く、どちらの河川もそれほど規模が大きくはないので、「洪水ハザードマップ」でも河川の氾濫による浸水リスクは低いとされています。
一方、「内水ハザードマップ」(上の図)を見ると、東部や南東部で浸水リスクがやや高めの傾向にあることが分かります。標高が周りより低くなっている地区は、雨水が周辺から流れ込んでくることにより排水機能が追い付かず浸水が発生しやすいので、大雨の際には注意が必要です。
災害対応の主役・原点は「自助・共助」であり、個人や家族で、また地域コミュニティの中で助け合っていくことが非常に大切であるという考えから、名古屋市では「地区防災カルテ」を作成しています。地区防災カルテは「学区」を単位としており、中区では11の学区についてそれぞれ作成されています。
地区防災カルテには地理的・社会的特性や地域の歴史、災害リスク、防災活動状況など、その地区の防災関連情報が集約されています。災害リスクについては、前述のハザードマップのほか建物倒壊危険性・道路閉塞危険性・火災延焼危険性などに関する情報も掲載されています。
地区防災カルテは単なる資料集ではなく、(1)まず地域特性を把握、(2)地域特性に基づく防災活動を検討、(3)検討した防災活動を実施、(4)防災活動を通じた新たな課題の発見、という流れで活用することにより、地域防災力の向上を図ることを目的としています。
さらに、地域住民と区役所・消防署などで話し合った結果は「震災避難行動マップ」や「地域防災マップ」として学区ごとに取りまとめられています。実際に地域に住んでいる人からの情報もふんだんに盛り込まれたものであり、身の回りの危険箇所などを把握していざという時の避難行動を考える上で大いに役立ちます。これらは名古屋市のホームページで閲覧可能です。
中区の伏見・栄地区や金山駅周辺では、南海トラフ巨大地震が発生すると多くの人が帰宅困難者になることが予想されています。
こうした帰宅困難者問題への対策の一つとして、名古屋市では「帰宅困難者支援サイト」を公開しています。ここには帰宅困難者の退避場所の位置や開設状況が分かるマップ、外出先で地震が起きた際の行動指針、防災情報を入手するための関連リンクが集約されています。
また「名古屋市防災アプリ」では、退避場所の位置のほか、水道水やトイレなどの支援を受けられる「徒歩帰宅支援ステーション」の位置を確認することができるので、あらかじめインストールしておくと安心です。
このように名古屋市および中区では、いつ起きてもおかしくないといわれる南海トラフ巨大地震をはじめ各種災害に備えて、自助・共助の強化を含めさまざまな取り組みを進めています。
- 掲載日
- 2023/05/31
本記事は、(株)ココロマチ が情報収集し、作成したものです。記事の内容・情報に関しては、調査時点のもので変更の可能性があります。