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【葛飾区】防災意識啓発により災害対応力を強化。水害への対策にも力を入れる葛飾区

 
葛飾区役所2028年度に移転予定の「葛飾区役所」

葛飾区は東京23区の北東端に位置する区で、東は千葉県に、北は埼玉県に隣接しています。映画「男はつらいよ」の舞台となった柴又や、漫画「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の舞台として知られる亀有などを擁する区で、下町情緒あふれる街が広がります。

葛飾区は旧利根川沿いに発達した沖積低地で、ほぼ平坦で起伏のない地形となっています。隣接する市区との境を荒川、江戸川、大場川が流れるほか、区内を中川、新中川、綾瀬川が流れています。

葛飾区は、古代の「葛飾」と呼ばれた広大な領域の一部です。「かつ」は丘陵や崖、「しか」は砂州などの低地という意味があり、「かつしか」という地名は利根川流域の右岸に低地、左岸に下総台地が広がっていた旧葛飾郡の地理的な景観に由来しているという説があります。このほか、アイヌ語を起源とする説や、「かずら(葛)」が多く繁茂していたことからつけられたとする説などもあります。

区の防災対策をまとめた「葛飾区地域防災計画」

葛飾区地域防災計画」は、防災都市づくりをはじめとする災害予防計画や応急・復旧計画、災害復興計画などについてまとめたもので、震災編、風水害等編、その他災害編で構成されます。地震については葛飾区に及ぼす被害が最も大きいと想定される東京湾北部地震(マグニチュード7.3)を計画の想定地震としています。

この中で区は減災目標として「死者の半減」と「避難者の減少」を掲げています。「建物被害による死者の半減」のためには建物の耐震化や救出・救護体制の強化など、「火災による死者の半減」のためには建物の不燃化や延焼防止策、消防力の強化など、また「建物被害による避難者の減少」のためには上記に加えて生活必需品の確保やライフライン早期復旧というように、ハード・ソフト両面から各種対策を推進するとしています。

 

地域の防災関連情報を1枚の地図にまとめた、地区別防災マップ
防災マップ(立石地区)防災マップ(立石地区)

葛飾区では、区内にある19の地区センターの管轄エリアごとに「防災マップ」を作成しています。この防災マップには、災害発生時にまず集まって状況確認するための一時集合場所や、区立学校など指定避難所、大規模火災発生時の避難場所、洪水緊急避難建物のほか、災害時給水ステーション、土のうステーション、街路消火器、災害時協力井戸、医療救護所の位置など、身近な防災関連施設の情報が集約されています。

大規模火災発生時の避難場所については、葛飾区内では「水元公園・江戸川緑地一帯」、「新四ツ木橋地区東岸」、「東京理科大学一帯」、「柴又野球場・江戸川緑地一帯」など12カ所が指定されています。

 

水害への備えを徹底解説した「葛飾区水害ハザードマップ」

葛飾区は周りを大きな河川に囲まれ、区の半分近くが海抜ゼロメートル地帯であることから、水害対策が重要テーマとなっています。治水対策により近年は以前に比べて洪水リスクは大幅に軽減されましたが、台風の大型化などによる大規模水害の可能性も秘めており、一人ひとりの防災意識の向上および備えがますます重要になってきています。

葛飾区荒川洪水ハザードマップ葛飾区荒川洪水ハザードマップ

葛飾区では荒川・江戸川・中川がそれぞれ氾濫した場合を想定して「洪水ハザードマップ」を作成しています。荒川氾濫の恐れがある時(上の図)は東部地域への避難が推奨され、一方、江戸川氾濫の恐れがある時は西部地域・南部地域への避難が推奨されます。地域によって浸水リスクが異なるので、自分の住む地域ではどの河川の氾濫に特に注意すべきか、どう避難すべきかをハザードマップで確認しておきましょう。

「葛飾区水害ハザードマップ」は解説編も充実しています。災害時の避難行動フローや情報入手方法、自宅にとどまる場合のリスクと対策、地域別の浸水リスク、非常時持出品チェックリストなど、水害への備えをする上で役立つ情報が満載です。

高潮や複数河川の氾濫による大規模水害の場合は、区外の安全な地域への広域避難を呼びかけています。このような大規模水害のリスクは東京東部低地帯に位置する江東5区(葛飾区・墨田区・江東区・足立区・江戸川区)の共通課題であり、これら5区で連携して協議会を設置し、避難対応などについて検討を重ねています。

 

「自助」および「共助」の推進のために

区民向けに発行されている「わたしの便利帳~かつしか暮らしのガイドブック」の中にも、約30ページのボリュームを割いて「防災ガイド」が掲載されています。葛飾区で想定される災害とその被害想定から、避難行動のポイント、日頃からの備えや各種助成制度、正しい情報の入手方法などが見やすくまとめられています。

地域防災マニュアル地域防災マニュアル

減災のためには、自らを守る「自助」に加えて地域で助け合う「共助」が必要不可欠であることから、その活動単位となる自治町会の役員向けに「地域防災マニュアル」も策定しています。自分たちが住む地域で災害が発生した場合に、自治町会として何ができるか、そのためにどのような備えをしておくべきかを考えるためのマニュアルで、地震編と水害編で構成されています。

 

防災意識を高め、防災を学ぶための仕組みづくり

区民の防災意識を高めるためのさまざまな取り組みも実施しています。防災知識に精通した専門家を無料で派遣する「防災セミナー・ワークショップ」もその一つで、防災マップづくり、防災を学べるゲーム、災害シミュレーションなどから希望のメニューを選んで申し込みます。

火災や地震などの災害時を疑似体験できる防災訓練用VR(バーチャルリアリティ)機材のレンタルも行っています。避難体験VR(ビル火災体験編・ホテル火災体験編)と地震体験VR(屋内地震体験編・屋外地震体験編)が用意されています。

若年層に向けた取り組みとして「防災キャラバン」も実施しています。これは地域のイベントや保育園、幼稚園、学校などへ、まちかど防災訓練車「ちぃ防」や水陸両用車「すぃ防」などが出向してふれあい訓練を行うというものです。

また、自宅で気軽に防災情報を学んだり、地域の講習会などでも使えるようにと、防災に役立つ動画もYouTubeで数多く配信しています。

このほか、スマートフォン用の防災学習用アプリ「天サイ!まなぶくん葛飾区版」は、洪水時の区内各所の浸水状況を立体的な情報(三次元)で表現することにより、子どもたちにも水害時の浸水イメージが理解できるように工夫されています。

このように葛飾区では公助だけでなく自助・共助の大切さも伝えながら三者バランスの良い防災への取り組みを進めています。

掲載日
2023/08/31

本記事は、(株)ココロマチ が情報収集し、作成したものです。記事の内容・情報に関しては、調査時点のもので変更の可能性があります。

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