【横浜市神奈川区】東に横浜港、西には丘陵地が広がる、表情豊かな横浜市神奈川区の防災対策
神奈川区は横浜市を構成する18区の一つで、市のほぼ中央に位置します。鎌倉時代から「神奈川湊」としてにぎわい、江戸時代には東海道の「神奈川宿」として栄えるなど、古くから交通の要衝として発展してきたエリアです。
神奈川区は横浜市の都心臨海部と新横浜都心の一角を占め、両都心へアクセスしやすいのが特徴です。区内には2019(令和元)年に開業した相鉄・JR直通線の「羽沢横浜国大」駅を含めて15もの駅があり、東京都心への交通アクセスにも優れています。
神奈川区は地形的な特徴や街の成り立ちなどから、埋立地に工場や事業所などが数多く立地する東部の「臨海部」、起伏ある地形に住宅地が広がる「内陸部」、緑地や農地が多く残る西部の「丘陵部」と、大きく3つに分けられます。近年は臨海部を中心にマンション建設も活発で人口が増加しています。
神奈川区では「横浜市防災計画『震災対策編』」の区別計画として、「神奈川区防災計画『震災対策編』」を作成しています。これは神奈川区に地震災害が発生した場合の区役所および区民のための基本的な計画です。
この計画においては、「元禄型関東地震」、「東京湾北部地震」、「南海トラフ巨大地震」および「慶長型地震」を想定地震としています。このうち神奈川区に最大の被害をもたらすとされているのは元禄型関東地震で、震度6弱以上の揺れ、沿岸部など一部エリアでは震度7の揺れが予想されているところもあります。
「神奈川区防災計画『震災対策編』」ではこれらの地震による最大被害想定のもと、被害を最小限に抑えるために予防対策、応急対策、復旧・復興対策、帰宅困難者対策、津波対策などについてまとめています。
「神奈川区防災マップ」のおもて面では、地域防災拠点(避難所)や広域避難場所、福祉避難所、津波避難施設、帰宅困難者一時滞在施設のほか、土砂災害(特別)警戒区域や急傾斜地崩壊危険区域などを確認することができます。
うら面には、地震による火災が発生した場合に集中して被害が発生する恐れのある地域などを示した「延焼しやすい地域と周辺図」マップや、津波による浸水予測や津波避難施設の位置などを示した「津波避難対象区域と周辺図」マップも掲載されています。自宅がこれらの区域の中に入っているかどうかをチェックし、避難場所および避難ルートをあらかじめ確認しておきましょう。
「神奈川区防災マップ」には「防災シール」がついています。自宅、安全な場所(各避難施設、頑丈な高い建物)、危険な場所(土砂災害警戒区域等)にそれぞれシールを貼ることで、避難すべき場所や危険箇所などが一目で分かるオリジナルの「my防災マップ」を作成することができます。
上のマップは、地震による震度分布を示した神奈川区の「地震マップ」です。これは元禄型関東地震を想定したものですが、このほか東京湾北部地震版、南海トラフ巨大地震版もあります。
このほか、3つの地震それぞれの液状化危険度分布を示した「液状化マップ」や、洪水・内水・高潮の3つのハザードマップを1冊にまとめた「浸水ハザードマップ」などもあります。あらゆる災害に対して万全の備えをしておくために、これら各種ハザードマップで自宅周辺などの災害リスクを正しく把握しておきましょう。
横浜市では「横浜市 防災情報ポータル」にて緊急情報や避難情報、避難所の情報、気象情報などを公開しています。いざという時、必要な情報を素早く入手するために、日頃からどのような情報が掲載されているかをチェックしておくとよいでしょう。
2022(令和4)年3月からは公式アプリ「横浜市避難ナビ」も公開されています。これは産・学・官の連携により開発されたもので、一人ひとりの避難行動を平時「いま」から災害時「いざ」まで一体的にサポートする全国初のアプリです。
ARを活用した浸水時の疑似体験、ハザードマップの確認、マイ・タイムラインの作成、災害時の避難場所の開設状況や避難ルートの案内、防災学習コンテンツなど、多彩な機能が組み込まれています。
さらに2023(令和5)年4月には、防災学習ウェブサイト「よこはま防災e-パーク」も開設されました。「一般コース」、「子どもコース」、「地域防災コース」、「事業所コース」の4コースがあり、豊富な動画や確認テストによって防災学習を進めることができます。「子どもコース」からは「ポケモンぼうさいきょうしつクイズ」に挑戦することもでき、子どもたちも楽しみながら防災について学べるよう工夫されています。
神奈川区では、区PTA連絡協議会や学校関係者との検討を重ねた上で、子育て世代向け防災ガイド「大地震から子どもたちを守るために」を作成しています。子どもたちの防災意識とともに、子育て世代の自助・共助の意識を高めることを狙いとしており、各学校の入学説明会で配布しています。
「自宅にいる時」、「通学路や公園にいる時」、「学校にいる時」とシチュエーション別に地震発生時の行動がイラスト入りで説明されているほか、「いっとき避難場所」、「地域防災拠点」、「広域避難場所」それぞれの役割や、地域とのつながりの重要性についても紹介されています。
また、次世代を担う中学生のために「中学生向け防災ガイド」も作成し、区内中学校の全生徒に配布しています。自分の身を守るための行動はもちろん、中学生が日頃からできる「共助」の取り組みも紹介しているのがポイントで、「助けられる人」から「助ける人」になるためにどのようなことができるかを考えるきっかけにもなります。
なお横浜市でも市内中学生を対象に「はまっ子防災プロジェクト」という教育プロジェクトを展開しています。中学生が分かりやすく防災を学ぶことを目指す公民の共創事業で、中学生向けに作成された防災ガイドや防災マップ、防災ライトなどの配布のほか、各学年の学習単元に合わせた防災アニメーションも授業の教材として制作されています。
このように横浜市および神奈川区では、将来の担い手である小中学生への防災教育も含め、地域防災力向上のためのさまざまな取り組みを展開しています。
- 掲載日
- 2024/03/21
本記事は、(株)ココロマチ が情報収集し、作成したものです。記事の内容・情報に関しては、調査時点のもので変更の可能性があります。