【横浜市中区】行政の中心地であり、人気観光地も多い横浜市中区の防災対策

横浜市中区は、県庁および市役所がある神奈川県と横浜市の行政・経済の中心地。事業所数は18区でトップです。グルメやショッピングが楽しめる横浜赤レンガ倉庫をはじめ、横浜中華街や氷川丸が係留される山下公園、三渓園など観光資源が豊富で、国内外から多くの人々が訪れています。
地形的には、大岡川と中村川に挟まれた北部の海岸低地と南部の下末吉台地に大別され、北部は平地が主にビジネス街、繁華街、住宅街、海岸部が観光地となっています。南部は内陸部に山手と呼ばれる高級住宅地があり、臨海部は工業地帯です。
港湾施設や公園・道路といった公共用地が多く、農地や山林はほとんどありません。中央部を「桜木町」「関内」「石川町(元町・中華街)」などの駅が連なるJR根岸線が縦断するほか、国道や首都高速が走っています。
横浜市中区では「中区防災計画」を策定しています。震災対策編と風水害対策編があり、区のホームページで公開しています。
震災対策編では、関東大震災をもたらした大正型関東地震の約2倍のエネルギーを発するマグニチュード8.1、市内最大震度7想定の元大岡川禄型関東地震、首都圏での影響が極めて大きいとされるマグニチュード7.3想定の東京湾北部地震、大津波をもたらすとされるマグニチュード9クラスの南海トラフ巨大地震、そして東京湾への大きな津波をもたらし満潮時には市内で海抜約4.9mまでの浸水を想定した慶長型地震を想定しています。
東京湾に面した中区は、日頃から津波を想定しておくことも重要です。市内で予想される津波の高さは最大約4.9mとされ、海抜5m以上の高台、3階以上の建物を目安により早く避難することが推奨されています。

風水害対策編では、浸水(洪水、雨水出水、高潮)、土砂(崖崩れや土石流など)、突風(暴風や竜巻など)、雪、火山による被害を想定。中区には大岡川、中村川・堀川が流れていて美しい水辺の景色が魅力的ですが、この2つの河川に挟まれている地域は大雨の際に浸水への注意が必要です。
防災力強化のため、横浜市は危機管理システムや防災無線の整備、市内各所への防災スピーカーや災害時用公衆電話の設置、防災備蓄の充実などを推進しています。2023(令和5)年9月には、中区を中心としたコミュニティ放送局「マリンFM」と災害時相互協力協定を結び、災害発生時にはチャンネルに割り込んで中区役所からの防災情報が放送されるようになりました。
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中区は防災地図を3種類用意。どれも必要な情報がコンパクトにまとまっています。防災に関する情報を集約した「中区区民生活マップ」は地図面と情報面から成り、地図面には被災した人が避難生活を送る地域防災拠点に指定される小中学校など15カ所が、対象区域とともに紹介されているほか、大規模火災時に避難する広域避難場所として、本牧山頂公園一帯、根岸森林公園及び根岸住宅地区、港の見える丘公園、紅葉ヶ丘一帯、野毛山公園が挙げられています。
情報面には、災害が起きた場合の対処法、区内の施設案内やバス路線図がまとめられています。このマップはダウンロードできるほか、区役所6階63番窓口(区政推進課広報相談係)でも配布しています。
「土砂災害ハザードマップ」には神奈川県が「土砂災害警戒区域等」に指定した場所が掲載されていて、集中豪雨や台風による崖崩れで被害を受けるおそれのある地域を確認できます。
これを見ると、土砂災害のリスクは南部が高いことがわかります。裏面には、警戒レベルに応じた避難行動や日頃の備えなども掲載されていて無駄がありません。ウェブサイトからダウンロードできるほか、中区役所総務課でも配布しています。

「浸水ハザードマップ」は、洪水(河川氾濫)、内水、高潮の3つのハザードマップを1冊にまとめたもので、想定される浸水地域や浸水の深さなどを確認できます。横浜市行政地図情報提供システムの「わいわい防災マップ」の「洪水(河川氾濫)、内水、高潮浸水想定区域」からは、より細かい地図を見られます。
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防災情報ポータルサイトや施設検索システムに関しては、横浜市が整備しているものを活用するとよいでしょう。災害発生時の情報収集に役立つのは「横浜市防災情報ポータル」。気象に関する注意報や警報、河川の水位、電気やガスなどのライフラインの供給状況、交通情報も確認できます。
災害で一時的な滞在施設が必要になったときは、「横浜市帰宅困難者一時滞在施設検索システム(一時滞在施設 NAVI)」にアクセスしてみてください。現在地近くの一時滞在施設をスマートフォンで検索できるシステムで、災害発生時には「受入可」「満員」など施設の状況の目安が表示されます。ブックマークしておけば心強いはずです。

平時から避難に備えておくためには、横浜市が提供する防災アプリ「横浜市避難ナビ」が便利です。ARを活用した浸水時の疑似体験、ハザードマップの確認、現在地の危険性判定、そして一人ひとりの家族構成や居住エリアに合わせて、あらかじめ時系列で整理した自分のための避難行動計画「マイ・タイムライン」の作成などが可能。災害時にはマイ・タイムラインと連動して避難情報がプッシュ通知され、避難場所や避難ルートを確認できます。
2024年8月に神奈川県西部を震源とする最大震度5弱の地震が発生した際には、アクセスが集中して一時的に動作が重くなりました。そのためサーバーを増強し、スムーズな動作の確保に力を入れています。
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災害による被害を軽減するためには、公助に加え、自助と共助の力が重要です。「防災よこはま」は、さまざまな災害に対する自助・共助の取り組みの参考にするため横浜市が作成した冊子です。家族との話し合い、住まいの備え、備蓄、避難場所の確認といった基本的なことが網羅されています。ダウンロードできるPDFには英語版もあり、区役所でもらうことも可能。動画版や音声版もあります。
多くの大人が仕事で不在となる昼間は、中学生が地域防災の担い手です。横浜市では、震度5度以上の地震が観測された場合に地域防災拠点が開設されます。
中区では、「中区地域防災拠点支援ガイド」を作成しています。地域の担い手としての期待や、自身の身を守りながら地域防災拠点で適切な手伝いができるように中学生へ向けて分かりやすくまとめています。

マンションにお住まいの方は、「マンション防災」を確認しましょう。災害時のエレベーターやトイレ使用など、マンションならではの注意点や、個人・管理組合ごとの備蓄量の目安などが、項目ごとに5分ほどの動画にまとめられています。
その他、いざという時に備えたマンション内での防災組織の在り方や防災訓練の取り組み例なども紹介されています。自身の身を守ることはもちろん、同じマンションの住民間や地域で助け合うという観点からも、一度目を通しておくと良いでしょう。
- 掲載日
- 2025/03/31
本記事は、(株)ココロマチ が情報収集し、作成したものです。記事の内容・情報に関しては、調査時点のもので変更の可能性があります。