2012/11/12Vol.267
首都圏中古マンション市場の動向(レインズデータから)
公益財団法人東日本不動産流通機構(通称:東日本レインズ)は、首都圏における不動産物件情報交換組織として、唯一の公的な機関であり、不動産業者からの物件情報が登録され、不動産取引が促進されています。東日本レインズでは、登録状況の概要をHP等でデータとして公開していますので、不動産マーケットの状況を把握する手段として活用できるものとなっています。今回は、「中古マンション」の登録状況を推移と共に見てみましょう。
東日本レインズでは、毎月データと共に、四半期毎のデータを公表しています。
首都圏における2012年7-9月の中古マンション成約件数は、7,451件(前年同期比9.7%増)で、4期連続で前年同期を上回わっています(図1)。また、すべての都県で前年同期を上回っています。2006年第1四半期からの推移をみると、成約件数はほぼ一貫して各四半期で7000件~8000件の幅を中心に推移していることがわかります。前年同期間との比較を示した折れ線グラフによると、周期的に増減を繰り返していますが、2012年第1四半期以降の直近の3四半期においては10%程度の増加傾向が続いていることがわかります。成約件数が前年比で下落したのは、(1)2007年のサブプライムローン問題の発生前後の時期、(2)2008年リーマンショック、(3)2010年に欧州危機が叫ばれた時期、(4)2011年の東日本大震災の各時期と概ね一致しているといえるでしょう。
図1:成約件数の推移(中古マンション:首都圏)
成約価格の推移をみると(図2)2007年末にかけて平均価格の一貫した上昇傾向がみられますが、その後2008年以降は概ね比較的変動幅の小さい時期が続いています。しかしながら、対前年比の変動の推移をみると、数%程度の幅での増減が周期的にみられます。直近では、2011年第2四半期以降前年比での下落傾向が続いていますが、直近は、横ばい傾向に近づいてきています。
図2:成約平均価格の推移(中古マンション:首都圏)
新規登録件数の推移では(図3)、全体として増加傾向にあり、直近では4万件を超える新規登録件数となっています。前年比率の推移では明らかな周期を描いていて、直近の2011年第2四半期の前年比のピークから増加率は減少を続け、2012年第3四半期では10期ぶりにマイナスに転じています。
図3:新規登録件数の推移(中古マンション:首都圏)
直近の成約件数の堅調な推移と、成約価格・登録件数との関係に注目しておきましょう。
(担当:池田 徹)
※グラフは(公財)東日本不動産流通機構HPより当社にて加工したもの。
企画・編集:野村不動産ソリューションズ株式会社 流通事業本部 営業企画部 企画課
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