番町という名は、江戸時代に将軍直轄の親衛隊的な存在だった「大番組」の人々が住んでいたことに由来しています。江戸城に隣接するエリアで、何かあればすぐ駆けつけられる地の利のため、この地が選ばれたのでしょう。大番組は設立当初、一番組から六番組まであったそうで、それが現在の一番町から六番町という地名に引き継がれています。

番町の高級住宅地としての位置付けは現在に至るまで変わりません。昔から変わらない街区の中には、趣きある邸宅などが立ち並び、えも言われぬ高級感が漂っています。

また、番町界隈は「イギリス大使館」、「ベルギー大使館」、「イスラエル大使館」など多くの国の大使館が集まるインターナショナルなエリアでもあります。特に「イギリス大使館」は番町を代表するスポットの一つで、その重厚な佇まいの洋風建築は伝統を誇る番町ならではの風格をたたえています。

番町は大使館が多いこともあり、ミッション系の教育施設が集まっていることも特徴です。 一番町の「女子学院中学校・高等学校」は1870（明治3）年に誕生した「A六番女学校」がルーツで、いわゆる女子御三家の一つとして知られています。

同じく女子御三家の一つ、六番町にある「雙葉中学校・高等学校」は、サンモール修道会（現・幼きイエス会）が1875（明治8）年に開校した「築地語学校」が前身です。1909（明治42）年に築地明石町に「雙葉高等女学校」を開校し、翌年に現在地に移転 しました。

ちなみに番町を学区とする「千代田区立番町小学校」は1871（明治4）年に開設された日本最古の小学校の一つで、長い歴史を持つ番町ならではの学校といえるでしょう。

皇居の隣にある番町には緑のスポットが充実していることも魅力です。近年は皇居の周囲が「皇居ランニングコース」として人気を集め、ランニングを楽しむ人の姿が絶えません。

三番町に隣接する「千鳥ヶ淵」は皇居を囲むお濠の一つです。春になると桜が咲き乱れ、都内有数の桜の名所として知られています。「千鳥ヶ淵」を渡った先には「北の丸公園」が広がり、緑豊かな園内には「科学技術館」や「日本武道館」などの施設もあります。

さらに番町の北側には「外濠」があり、こちらも番町界隈では有数の緑のスポットとして知られています。豊かな水をたたえたお濠の周りには公園が整備されており、「千鳥ヶ淵」と並ぶ桜の名所です。

そのほか「赤坂御所」や「清水谷公園」、「ホテルニューオータニ」の日本庭園など、番町周辺には至る所に美しい緑があふれています。

歴史と文化の薫り漂う高級住宅地・番町は、都心の真ん中に位置しながらそれを忘れてしまうほど豊かな緑に囲まれており、その素晴らしい住環境は昔も今も変わらず多くの人々を魅了し続けています。