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#住宅購入

2019.05.17

中古マンションの資産価値を左右するポイントは?

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中古マンションを選ぶとき、利便性や価格の手頃さに加えて「資産価値が落ちにくい」ことを気にする人が増えています。では、資産価値の高さを左右するものとはなんでしょうか。立地と建物の面から考えてみました。

街のブランド力が、資産価値を左右する

現在、中古マンションの資産価値を左右する最大のポイントは立地です。一般には、交通利便性や生活利便性が高いことだといわれます。都心になるべく近く、最寄り駅から歩く距離が短いこと。日常の買い物施設や金融機関、学校、医療機関などの生活利便施設が整っていること。さらに、自治体などで発行されている「地域危険度マップ」などで確認できる「災害リスク」が少ないことも、資産価値を支えるポイントになっています。

こうした条件を備えた地域を探すことは、都心周辺ならそれほど難しくありません。しかし、似たような立地でも、資産価値には大きな差があります。都心からほぼ同じ距離にある街の中でも、不動産価格や家賃の水準が高い街と安い街があります。その違いはどこからくるのでしょうか。ひとことで言うなら、「街のブランド力」です。交通や生活の利便性といった機能的な要素でははかれない価値がそれぞれの街にあります。

確立されたファッション・ブランドの多くが、その背景に「ロイヤルファミリー御用達」などの由緒を備えています。街にもさまざまな物語や歴史が織り込まれ、それがブランド力の高さを形作っているのです。

都心部の山手線内側のエリアでも、4~5億円以上の"超億ション"が成立する街というのは限られています。そうした厳選された一等地は、かつての大名屋敷など江戸時代まで遡る由来を持つことがほとんどで、長く住み継がれてきた歳月の重みがあります。こうした街は、一朝一夕に生まれるものではありません。

人気の街ランキングに潜むブランド力

江戸時代から続く長い歴史がなければブランド力がないかというと、そうとも限りません。開発によって生まれた街でも、高いブランド力があるケースはあります。高級住宅地の代表とされる田園調布や成城学園前などは、大正時代の鉄道開通に合わせて、当時何もなかった郊外の原野を開発して作り上げた"ニュータウン"でした。

それぞれの街の開発理念に共感した政財界人や文化人など著名人が移り住み、建築協定を作るなど、住民主導で景観が守られてきました。その地道な努力が資産価値を高めてきたのです。ここにも一つの物語があります。

積み重ねられてきた歴史や物語、それが街のブランド力に結びついていきます。ただ、すでに高いブランド力を持つ街の物件は、価格もそれなりに高額なため、誰でもが購入いただける水準ではありません。では、今はまだ手頃な価格で購入でき、将来的に有望な街というのはどのような視点で選べばいいのでしょうか。

ひとつは、都心ターミナル駅まで直通の主要鉄道沿線で、急行や通勤快速が停車する利便性があること。最初に説明した機能面です。そして2つめは、商業・文化の集積があり、人が集まる魅力があること。一定規模以上の再開発によってランドマーク的なタワーマンションなどができた街は、なお有力でしょう。

気をつけたいのは、単に宅地開発や市街地再開発が行われれば資産価値が上がるというわけではないことです。かつて官主導で作られた郊外のニュータウンのなかには、20~30年で衰退したケースもあります。駅前再開発の中にも、成功とは言いにくいものがありそうです。

住宅ポータルサイトなどで調査される「住んでみたい街」の上位にランクされる街は、多様な人々を惹きつける力と活気を備えています。資産価値とはつまり人気の有無でもありますから、こうした調査データを参考にしてみると良いでしょう。

表1.マンションに住むならどの街がいい?
(ノムコム「2018年度首都圏 中古マンション人気の駅ランキング」)
順位駅名平均値
価格築年数階数
麻布十番 11,485万円 23.4年 14階
広尾 13,564万円 19年 8階
神楽坂 6,781万円 13.1年 13階
勝どき 6,973万円 10.5年 42階
白金高輪 9,061万円 24.4年 11階
豊洲 6,901万円 13.4年 31階
田町 6,959万円 16.5年 29階
三鷹 5,420万円 15.3年 10階
恵比寿 8,634万円 20.1年 10階
10 武蔵小杉 6,346万円 10.4年 31階
タワーマンションの多い湾岸エリアは、平均階数が30階前後と高く、築年は10年前後で新しい。古くから供給が進んでいる内陸部は、平均階数は10階前後、築年は20年前後。それぞれに魅力がある。

物件のブランド力は、デベロッパーやゼネコンの実績・信頼性もポイント

次に、将来性を見込んだ街でどんな物件を選べばいいのでしょうか。エリアの選択では、交通や生活の利便性のような機能面の充実度が前提になることを指摘しました。個々の物件でも機能面の良さはもちろん大切です。建物のハード面がきちんとメンテナンスされ、居住性能が守られていることが欠かせません。つまり維持管理の良し悪しが重要です。

その上で、さらに物件のブランド力を高める要素として、分譲主であるデベロッパーや施工をしたゼネコンの実績や信頼性も挙げられるでしょう。

デベロッパーの中には、一時的に供給戸数が急増して注目された企業もある一方、倒産したり経営が傾いたりした例も少なくありません。やはり、単年の供給戸数で判断するよりも、コンスタントに一定の実績を積み重ねているかどうかが大切な判断材料となります。30~40年前からマンション分譲事業を手がけてきた大手デベロッパーであれば、それぞれのマンション・ブランド名も定着しているといえるでしょう。

ゼネコンについては施工実績の多さだけではなく、技術力の裏付けがあるかどうかがポイントになると考えられます。その点では、技術的なハードルが高いタワーマンションの施工実績を一つの指標として判断したり、難易度の高い免震・制震マンションの施工実績がどれくらいあるかなどのデータをチェックして、物件選びの参考にするとよいでしょう。

資産価値について考えてみましたが、資産価値というのは迷った際の指標です。一番大事なのは、自分が快適に暮らせる街・住まいであること。そのうえで、資産価値が高ければなおよし、と考えてください。

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