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2022.05.09

Kantei eye 2021年新築マンションPERの概況【近畿圏】

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2021年の近畿圏平均は24.08に拡大、首都圏と同じく24ポイント台に
マンションPERが最も低かった駅は「鷹取」の11.66、最も高かった駅は「今出川」の39.14

大阪市や京都市の中心部、阪神エリアといった"三極"への供給絞り込みが加速価格水準も一段高に

2021年における新築マンションPER(=マンション価格が同じ駅勢圏のマンション賃料の何年分に相当するかを求めた値)の近畿圏平均は24.08(対象88駅)と前年から0.98ポイントも上昇し、首都圏と同じく24ポイント台に達している。

新築マンションの供給先は"三極"や滋賀県南部、これらの中間エリアなどに一段と絞り込まれる状況にあり、昨今では高級レジデンスやタワー物件など販売価格が比較的高額な新築マンションの供給も目立ってきている。なお、今回は"三極"の1つである京都市中心部において対象駅が大幅に増加していた。

2020年には新型コロナ禍の影響で主に春先の緊急事態宣言の期間中は販売の自粛や先送りなどが生じていたわけだが、2021年には富裕層向けの高級マンションを中心に販売活動が再開されており、供給状況はほぼ持ち直したと言えよう。

各駅のマンションPERを色分けした路線図を見ると、これまで値頃な物件価格で一般勤労者から根強い支持を集めていた京阪エリアでも青色の駅が姿を消し、表面利回り換算で5%以上を維持している緑色や比較的割安感がある黄色も軒並み数を減らしている。

対照的に、赤色や桃色の駅は目立ってきており、近郊~郊外エリアであっても賃料見合いで値頃な価格帯の新築マンションを取得することが益々難しい状況になってきている。なお、比較的割高感が強い赤色に至っては初めてシェアが4割を超えた。

新型コロナ禍の影響が緩和されて再び供給が増えた京都市中心部において赤色の駅が増加したほか、これまで比較的値頃な価格設定がされていた「南草津」や「奈良」などでも高いブランド性を有する大手デベロッパーの大規模物件が強気に値付けされて例年よりもマンションPERが大きく押し上がるケースが増えてきている。

PERランキングの第1位は「鷹取」、上位駅の中には対象物件のスペック乖離から割安感が過大に

近畿圏で最もマンションPERが低かった(割安感が強かった)駅はJR神戸線「鷹取」の11.66で、賃料換算での回収期間は近畿圏平均より12年以上も短い。当駅での新築価格と賃料事例は、いずれも1つの物件から発生している。

新築マンションの平均価格は3,762万円で、神戸市中心部寄りに隣接する「新長田」(3,912万円)よりも割安な水準に収まっているのに対して、月額賃料は268,758円と「新長田」(164,925円)をはるかに上回る水準を示している。

「鷹取」での賃料事例は全て最上階のプレミアム住戸から発生したものであるが、神戸市中心部に位置する主要駅さえも超える賃料水準に関してはかなり特異な数値であることは否めず、あくまで参考値として捉えておく方が妥当であろう。

また、「芦屋川」「六甲」「大津」でも新築価格・分譲賃料の対象物件でスペックの乖離が大きかったために、実際よりも数値が低めに出ている。それ以外の上位駅に関しては大幅な変動もなく、マンションPERは概ね20ポイント前後と割安な価格設定が為されている。

一方、最もマンションPERが高かった(割高感が強かった)駅は京都市営地下鉄烏丸線「今出川」の39.14で、賃料換算では近畿圏平均と比較して15年以上も余計にかかる計算となる。

昨年から販売が継続している物件の価格を見る限り大きな変化は生じていなかったが、2021年には8,000万円を超える駅徒歩2分の物件が分譲され始めたことで、マンションPERは前年から4ポイント以上も上昇した。

京都市営地下鉄烏丸線エリアは日常生活を送る上で非常に便利であることに加えて東海道・山陽新幹線を利用した京都域外とのアクセス性も良好であることから、富裕層のセカンドニーズも相応に高い。さらに最寄駅から徒歩5分以内という好立地物件にもなれば自ずと強気の設定価格になりやすい。

今回は「今出川」以外の沿線駅でも駅近物件の価格は軒並み8,000万円前後となっていることから、周辺相場に照らし合わせても「今出川」で新たに分譲された物件の価格が特段上振れ過ぎているとは言い難い。

下位ランキングにおいては"三極"の中でも大阪市中心部に位置する駅が7駅と最多で、特に駅勢圏で大規模タワーマンションが供給されている「大阪」「阿波座」「天王寺」「堺筋本町」では駅平均の新築マンション価格がいずれも7,000万円を超えている。

当該のタワー物件から賃料事例が発生するまで多少のタイムラグが生じるため、マンションPERの水準が今後やや下方修正されることも想定されるが、賃料見合いでの割高感が劇的に改善されるとは考えにくい。

PERが前年から最も低下した駅は「苦楽園口」、駅遠の板状マンションが割安な価格で新たに供給

前年に比べて最も割安感が強まった駅は阪急甲陽線「苦楽園口」で、賃料換算で回収期間は12年以上も短くなった。新築マンション価格は約3千万円も水準を下げたが、これはあくまで2021年に新たに分譲が開始された駅徒歩11分の板状マンションに起因している。

「御影」「元町」「芦屋川」「住吉」「草津」「西長堀」「和歌山」「西大路」「甲子園」の9駅でも月額賃料に大きな変化はなく、新築マンション価格は下落していた。

これらの駅においても昨年に見られた駅近やタワー、高級レジデンスといった物件が今回は分譲されていなかったり、駅遠立地や板状のマンションが新たに供給されるなどによって"見かけ上"価格水準を下げているだけで、継続物件を見る限りでは概ね横ばい、一部ではむしろ強含むものも散見される。

また、大阪市中心部に位置する「南森町」「天満橋」「谷町四丁目」では大規模タワー物件から高額賃料事例が発生し月額賃料が前年から10%以上も上昇していた。一方、前年から最も割高感が強まった駅はJR大阪環状線「大阪」で、賃料換算で回収までに約17年も長期化した。

2021年には駅徒歩9分・49建ての大規模タワーマンションが供給され始めたことで、新築マンション価格は前年から8割以上も水準が押し上がった。次点の「天王寺」も同様の要因から、新築マンション価格は7割以上も上昇している。

こちらのランキングに登場するほとんどの駅では新築マンション価格が上振れているが、前述の通り高スペックの物件が新たに分譲され始めたことによる影響が大きいとみられる。

ただ、販売が継続している物件に限ってみても価格水準は概ね横ばい〜強含みとなっており、高スペック物件に比べて割安感のあるこれらの物件においては"連れ高"によって価格水準が上振れやすい状況にあるようだ。

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