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#マンションの間取り考

2019.09.04

お部屋がスッキリ片付く!使い勝手がよい収納のある間取り

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お部屋がスッキリ片付くためには、「必要な場所」に「使いやすい収納」がついていることがポイントです。収納場所が遠いと億劫になり、ついつい出しっぱなしに・・・となりかねません。マンションを購入する際には間取り図を見て、どこにどのような収納がついているかチェックしてみましょう。

必要なところに収納がついているか間取り図でチェック

【図1】マンションで最もポピュラーな田の字プランの例

【図1】はマンションでよく見かける田の字プランの例です。田の字プランについては「マンションでよく見かける間取り4タイプのメリットと注意点」をご覧ください。

こちらの図面では、薄茶色の部分が収納スペースであることを示しています。各個室専用の収納(①~④)、キッチン脇(⑤)、洗面脱衣室(⑥)、リビング・ダイニング(⑦)に収納があることが確認できます。

①は洋服をハンガーに吊るして収納するクローゼット、②⑤⑥⑦は棚板で内部が仕切られた一般的な物入、③は人が中に入って洋服の出し入れをするウォークインクローゼット、④は布団を収納できる押入れです。例えば⑥は見た目は狭いスペースですが、この場所に収納があるのと無いのでは片付けやすさに大きな違いがあります。

間取り図を見た時は思わず部屋の広さに目がいきがちですが、必要な収納が設けられていないと結局ものがあふれてしまい、室内がなかなか片付かない原因になります。必要な場所に必要な収納がついているか、間取り図から確認しておきましょう。

最近よく見かけるようになったマンションの収納とは

続いて最近マンションでも採用されることが多くなった「シューズインクローゼット(SIC)」「ウォークインクローゼット(WIC)」「ウォークスルークローゼット」と、あると便利な収納「リネン庫」「パントリー」を詳しく紹介します。

玄関回りをスッキリさせるシューズインクローゼット(SIC)

玄関回りには靴、傘、帽子のみならず、バッグ、ベビーカー、サッカーボールなど、子どもが外遊びで使う道具や非常用持ち出し袋などが収納できると便利です。これらのニーズに応え、最近では「シューズインクローゼット」を設けた間取りも多く見かけるようになりました。

シューズインクローゼットとは、靴を履いたまま出入りができる玄関の横にある収納スペースのことで、間取り図では「SIC」と表記されることもあります。一般的な下駄箱よりも収納力があり、玄関回りをスッキリと片付けることができます。

【図2】は連載第5回の「忙しい日々にゆとりが生まれる!家事動線の良いマンションの間取り」でも取り上げた間口が広いワイドスパン型のマンションの間取り図です。玄関脇にシューズインクローゼットがあります(ⓐ)

【図2】マンション住戸の収納例 -1
シューズインクローゼットの例

季節の衣替えが不要になるウォークインクローゼット

近年、寝室の収納として、帽子やアクセサリーなど身につけるものをまとめて収納できる「ウォークインクローゼット」を設ける間取りもよく見かけるようになりました。ウォークインクローゼットとは、人が内部に入れる衣類収納のためのスペースで、間取り図では「WIC」と表記されることもあります(ⓑ)。

基本的に内部に入り、着替えもできます。身につけるものをまとめて収納できるので、装いのコーディネートもしやすくなります。たくさんの衣類をしまうことができるため、夏冬の洋服の入れ替えをしなくて済むのも魅力の一つです。内部のハンガーパイプの配置により、L字型、2列型、コの字型があります。L字型、コの字型の場合は角に出し入れしにくいスペースが出ますが、ここを有効に使う工夫が必要になります。

コの字型ウォークインクローゼットの例

収納と動線を確保する「ウォークスルークローゼット」

【図2】の洋室(1)と洋室(2)の間にある収納は、どちらからでも使える「ウォークスルークローゼット」になっています(©)。二つの部屋をつなぐウォークスルークローゼットは住戸内の風通しをよくし、お掃除動線ができるなどのメリットがあり、一部のマンションで採用されています。

あるとないでは全然違う、パントリーとリネン庫

【図3】マンション住戸の収納例 -2

食品の保管場所、パントリー

キッチンは調味料や調理器具など小物も多く、雑然としやすい場所の一つです。そこで、買い置きの食品や調味料などもしまっておける造り付けのパントリーがあると便利です。例え小さなスペースでも、キッチン回りをスッキリ片付けるためにあるとうれしい収納です(©)。

キッチンにあると便利なパントリー(イメージ)

洗面・脱衣室にリネン庫

同じく、洗面脱衣室にも造り付けの「リネン庫」があると重宝します。リネン庫には主にタオルやバスタオルを収納します。そのほか、洗濯洗剤や歯磨き粉のストックなど、洗面所や浴室で使用するモノをしまうことができます(ⓑ)。

上記したキッチンのパントリーやリネン庫は、少しの空間があれば設けることができます。このような生活に便利な収納を設けているマンションには、細やかな配慮を感じます。

大物をしまえるトランクルーム

収納力をアップするため、住戸外で専用に使うことができる「トランクルーム」を設けているマンションもあります(ⓐ)。トランクルームは各住戸の外廊下側に個別に設けたり、ワンフロアの住戸分をまとめて該当フロアに設置したり、地下にまとめて全住戸分を設けたりと、設置する場所や広さはマンションによりさまざまです。スキー板のような長い物、外で使うキャンプ用品、交換用のタイヤなどをしまうことができると便利です。

マンション地下に設けたトランクルームの例

自分で収納力をアップさせる方法

(1)置き家具を入れる
収納力アップのために、置き家具を購入して設置することはお手軽にできる対処方法の一つです。ただし、いざ家具を置こうと思っても「家具を置くスペースがない間取り」があるので注意が必要です。

リビング・ダイニングは家族の個々の荷物が増えやすい場所であるため、例えば壁一面に収納力のある壁面収納を設けることができれば片付けがしやすくなります。そのためにはリビング・ダイニングにある程度の「壁面」が必要です。「ここに家具が置けそう」と、家具の配置をイメージしながら壁の有無を間取り図で確認してみてください。

壁一面に壁面収納を設けたリビングの例

(2)リフォームで収納を増やす
収納量を増やすため、個室をひとつウォークインクローゼットにリフォームしてしまう方法もあります。収納にする部屋の形は真四角より長方形の方が無駄なスペースが出にくく、窓は無いか、もしくは取り付けるハンガーパイプと干渉しない位置にあると理想的です。子どもが巣立った後の子ども部屋を、大容量の収納スペースにしてしまうのも良いと思います。

北側の部屋は湿気がこもりやすく、もし室内や窓に結露やカビが発生するようであれば、その部屋を収納として使用することは避けた方が良いでしょう。入居前にリフォームを行い、リビングの一角に布団もしまえる造り付け収納を取り付けてから入居した人がいましたが、入居後の満足度は高かったようです。

最近では収納力を増やすDIYリフォームも盛んです。家族で楽しみながら収納スペースを確保することも検討してみてください。

井上恵子(いのうえ・けいこ)

井上恵子(いのうえ・けいこ)

住まいのアトリエ 井上一級建築士事務所主宰/一級建築士/インテリアプランナー
総合建設会社の設計部で約14年間、主にマンションの設計・工事監理、性能評価などを担当。2004年の独立後は生活者の視点から「安心・安全・快適な住まい」「間取り研究」をテーマに、webサイトでの記事執筆、新聞へのコラム掲載、マンション購入セミナーの講師として活動。
著書に「住宅リフォーム計画」(学芸出版社/共著)「大震災・大災害に強い家づくり、家選び」(朝日新聞出版)などがある。夫と子ども2人との4人暮らし。
住まいのアトリエ 井上一級建築士事務所 http://atelier-sumai.jp/

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