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#マンション構造のヒミツ

2020.04.29

必要不可欠な「電気」のアンペア数はどう決める?

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電気は、現代の暮らしではなくてはならないものです。電気料金はどのように決まってくるのでしょうか。電気はどのようにマンションに引き込まれ、それぞれの住戸のコンセントまで届けられているのでしょうか。普段から電気の経路や使い方を意識することで、電気と賢く付き合っていきましょう。

各家庭で必要な電気量をまかなう賢い契約を

便利な家電製品が次々と登場し、情報化の進展に伴いパソコンやスマートフォンが普及するなかで、世帯あたりの電力消費量は増加してきました。現在では1カ月あたり250~300kWh前後の電力消費量があり、これは1970年と比べると2.5倍程度です。

マンションの住戸で使われる電気の量も増えていますが、家族によって生活スタイルが異なるため、最適なアンペア容量を選ぶことはストレスなく生活を送りつつ電気代を節約するうえで必要です。

アンペアとは、電気の流れる量を表す単位です。ファミリータイプのマンションの住戸では、40~60A(アンペア)となっていることが多いようです。そして「従量電灯B」という電気料金メニューが最も多く契約されています。

これは、時間帯や曜日に関係なく使用料に応じた料金設定で、電気の使用状況に応じて10~60A(アンペア)の契約を選ぶことができます。月々の基本料金はアンペアによって決定されている電力会社が多く、この場合は選ぶアンペア容量が増えると基本料金の額も上がります。

現在契約しているアンペア数を確認するには、分電盤の中にあるサービスブレーカーを見れば、数字が書いてあるのでわかります。また、契約している電力会社から送付される請求書などにもアンペア数が記載されています。

請求書と契約アンペア数の記載の例

契約アンペアを選ぶ基準となるのは、どれだけの電気機器を同時に使うかです。一度にたくさんの電気機器を使うと、アンペア数が大きくなければブレーカーが落ちてしまいます。年間を通じて最も電気を使用するとき(同時に多くの電気機器を使う夕食時、冷房機器を使う夏、複数の暖房機器を使う冬など)を想定します。アンペア数は100Vの場合は1Aが100Wとみて、例えば冬の夕食時にキッチンと居間で電気を使っているときのアンペア数が以下のような場合、50Aが契約の目安となります。

電気を大量に使用する電子レンジ(15A)、IHクッキングヒーター(15A)、ドライヤー(12A)、ホットプレート(13A)などの同時使用はできるだけ避けるとよいでしょう。

また、1つの回路に消費電力の大きい電気器具を複数接続すると、その回路の安全ブレーカーが落ちます。複数の消費電力の大きな電気器具を日常的に同時に使用する場合は、別々の回路につないでおく必要があります。

契約アンペア数が見合っていない場合、内容の変更を検討したほうがよいですが、事前に管理会社に相談したほうがよいでしょう。マンションでは新築時に、各戸の契約電気容量を想定してから全体の幹線や電気設備を用意しているためです。特にリフォームで消費電力の大きいIHクッキングヒーターに変換しようとする場合などは、管理会社を通じて電力会社に確認してもらいましょう。

部屋のコンセントに電気が送られるまで

マンションの建物内に引き込まれた電気は、各住戸の玄関ドア付近や共用廊下に設けられることの多いメーターボックス(MB)に設置する電力量計を通ります。そして住戸内に入って分電盤を経て、各部屋の照明器具やコンセントまで配線されます。

住戸内の分電盤は樹脂製のもので、廊下の箱や玄関下駄箱などの上部に目立たないように設置されていることが多いでしょう。分電盤の中には、サービスブレーカー、漏電ブレーカー、安全ブレーカーが納められています。ブレーカーは電気の使いすぎやショートなどによって回路に過剰な電流が通らないように、自動的に電気を遮断する役割をもっています。

マンション住戸の分電盤の例

①サービスブレーカー(電流制限器):
分電盤の左側にあるブレーカーで、契約以上の電気が流れると自動的に電気を止めるもの
②漏電ブレーカー(漏電遮断器):
配線や電気器具の漏電を感知し、自動的に電気を切るもの
③安全ブレーカー(配線用遮断器):
分電盤から各部屋へ電気を送る分岐回路のそれぞれに取り付けられているもので、電気器具やコードの故障でショートしたときや、使いすぎで過電流が流れた場合に電気を自動的に遮断する

家庭用の電源配線はこれまで「単相2線式100V」が一般的でしたが、最近のマンションでは3本の電線から100Vと200Vの両方を取ることができる「単相3線式」が普及しています。この方式では、大型エアコンやIH調理器などハイパワーで電気を多く消費する機器を使用できます。ただし、建物全体の容量の関係で200Vの工事ができない場合もあります。

部屋に設けるコンセントの目安は、2畳につき1カ所で、2口以上とされています。電気を使う機器は近年増えていますから、コンセントの数やコンセント内の差込口の数の多さは、物件選びの一つのポイントになるでしょう。また、中古マンションのリフォームでコンセントを増設したい場合は、管理者の許可が必要です。まずは相談してみましょう。

電気は低圧に変換されてマンションに取り込まれる

電気は主要なライフラインの一つとして、マンションの中にも張り巡らされています。この電気は、どこから送られてくるのでしょうか。電気は発電所でつくられると、超高圧送電線を伝って各地の変電所に中継され、変電所で一般家庭や工場、病院など、それぞれの使い方に合わせた電圧に調整されて供給されます。

マンションに引き込まれる電気は、専用部の住戸のほか、共用部として廊下や階段、エントランスやアプローチ、中庭などの照明、またエレベーターや給水ポンプ、機械式駐車場などに使われます。

まず個数が少ない小規模なマンションで、各戸の契約電力と共用部の契約電力の合計が50kw(キロワット)未満の場合を見てみましょう。送電線を通る電気は電柱に取り付けられている、バケツのような形状をした柱上変圧器を介して敷地内に引き込まれます。そのときにはエレベーターなどを動かす動力用幹線と、照明やコンセント用の電灯用幹線の2系統の引込線に分かれます。この後、電灯用の引込線は、引込開閉器盤を通った後に専有部と共用部に分かれます。

一方で中規模程度以上のマンションでは、電柱から高圧電力をそのまま敷地内の借室電気室などの受変電設備に引き込み、そこで低圧電力に変圧されます。その後、小規模マンションと同様に引込開閉器盤を通って専有部と共用部に分かれます。

高圧引込みは、敷地内に電力会社の「変電設備」を設けて6600V(ボルト)の高圧から家庭用に使用できる電圧(200Vまたは100V)に電圧を変換し、共用部や各住戸に電気を送るというものです。

変電設備は建物内に借室電気室(しゃくしつでんきしつ)がつくられて納められることもありますが、最近では主に建物面積の有効活用のため、遮断器・変圧器・断路器などが納められた受電設備「キュービクル」の屋外型や、建物の規模に応じてより小型の集合住宅用変圧器「パットマウント」も多く使われています。また、地下室に設置をしたり、地中埋設するマンションも近年増えているようです。

屋外型キュービクルの例

なお、電力自由化や節電の機運に伴って「一括受電」という言葉を、電力自由化や節電の機運に伴って耳にするようになりました。高圧電力の買電価格は大口契約で割安となるため、高圧電力を一括で受電し、敷地内に設置する変電設備を通して共用部や住戸に低圧で配電するというものです。

既存のマンションで新たに導入する場合には総会での決議が必要で、居住者全員の承諾を得なければなりません。また、高圧一括受電を導入した場合は、各戸が自由に電力会社を選ぶことはできなくなります。

いずれにしても、電気を各家庭がどのようなときにどれほど使いながら生活しているのかを意識するのは、限りあるエネルギーを使うためには大切なことです。自分たちのライフスタイルを見つめて、賢く電気を利用していきましょう。

加藤純(かとう・じゅん)

加藤純(かとう・じゅん)

1974年生まれ。建築ライター・エディター。出版物やWEBコンテンツ等の企画・編集・執筆を行い、意匠・歴史・文化・工学を通して建築の奥深さを広く伝える。1997年東京理科大学工学部第一部建築学科卒業、’99年同工学研究科建築学専攻修士課程修了。株式会社建築知識(現・エクスナレッジ)月刊「建築知識」編集部を経て、2004年独立。著書に『日本の不思議な建物101』(エクスナレッジ)、『「住まい」の秘密』<一戸建て編><マンション編>(実業之日本社)など。

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