変動金利のリスクを知って上手に利用しよう
2009年06月12日
リスクを分散するためには、金利タイプも分散する
住宅ローンを借り入れする場合、必ずしも全額を同じ金利タイプにしなくとも、金利タイプを分散することも可能です。
例えば、上記の例で、3,000万円を長期固定金利と変動金利型で、各1,500万円ずつ借り入れした場合にはどうなるでしょうか?
※図中の金利は2009年6月時点での水準で試算
当初5年間の毎月返済額は、A+B=105,499円となり、全額を長期固定金利で借り入れするよりも約14,000円少なくてすみます。
では、変動金利型が前述の(1)~(4)のような動きをした場合には、どうなるでしょうか?
当初5年間 | 6~10年 | 11年目以降 | 総返済額 | |
---|---|---|---|---|
(1)ずっと金利が上昇しなかった場合 | 105,499円 | 105,499円 | 105,499円 | 約4,431万円 |
(2)毎年、0.25%ずつ上昇、8年目以降3.225%で一定 | 105,499円 | 115,417円 | 119,703円 | 約4,917万円 |
(3)毎年、0.25%ずつ上昇、11年目以降3.975%で一定 | 105,499円 | 115,417円 | 125,205円 | 約5,082万円 |
(4)毎年、0.5%ずつ上昇、6年目以降3.975%で一定 | 105,499円 | 116,935円 (※1) |
129,989円 | 約5,234万円 |
※1 返済額は従前の1.25倍までのルールのため
3,000万円全額を長期固定金利(3.24%)で借り入れした場合の35年間の総返済額は、約5,019万円でした。(3)、(4)のケースだと、やはり総返済額は増えてしまいますが、(3)のケースでも60万円のアップでおさまっています。全額を変動金利型で借り入れした場合の(3)のケース(総返済額 約5,137 万円)よりも、約55万円少なくなっており、組み合わせることによって、金利上昇リスクを抑えられることがわかります。
ただし、長期固定金利と組み合わせても、金利上昇リスクを負うことには変わりありませんので、金利上昇しても支払える返済額なのかを、想定する金利で十分に検討する必要があります。上昇額が大きいと感じる場合には、変動金利型の割合を少なくすることによって、さらに金利上昇リスクを抑えることは可能です。
いずれにしても、現在の変動金利型の水準は最低レベル。現在の金利よりも上昇してしまったら、返済が厳しいという場合には、借入額自体を見直す必要があるでしょう。
金利上昇には繰上返済で対応
変動金利型を借り入れした場合、金利が上昇してくると、返済額は5年間一定のため元金の減りが遅くなります。そのため、そのままにしておくと、総返済額が増えてしまうことに。総返済額をなるべく増やさないためには、繰上返済で早めに元金を減らすのが有効です。
金利の低い変動金利型にしたことで、余裕ができた分については貯蓄をし、金利が上昇した場合に備えましょう。
金利の低い変動金利型にしたことで、余裕ができた分については貯蓄をし、金利が上昇した場合に備えましょう。
また、一部の金融機関では、通常の返済額よりも多い額を毎回返済するプランがあります。
変動金利型を利用したことで余裕が出た分や、まだ子どもが小さいので返済に余裕がある、という場合には、毎回の返済額を増やしておきます。増額された分は、元金返済に充てられるため、繰上返済と同じ効果があります。これにより、早く元金を減らせるため、金利が上昇した場合の未払利息を避けたり、返済額のアップ額を小さくする効果が望めます。
変動金利型を利用したことで余裕が出た分や、まだ子どもが小さいので返済に余裕がある、という場合には、毎回の返済額を増やしておきます。増額された分は、元金返済に充てられるため、繰上返済と同じ効果があります。これにより、早く元金を減らせるため、金利が上昇した場合の未払利息を避けたり、返済額のアップ額を小さくする効果が望めます。
組み合わせをするなら「すまい・るパッケージ」の利用も検討しよう
長期固定金利の代表的な商品はフラット35。フラット35と変動金利型など、他の金利タイプとの組み合わせは扱えない金融機関もありますので、あらかじめ確認しましょう。
組み合わせで利用できる仕組みに、「すまい・るパッケージ」というものがあります。これは、フラット35と、銀行の変動金利型や固定金利選択型の住宅ローンを組み合わせて借り入れするものです。
組み合わせで利用できる仕組みに、「すまい・るパッケージ」というものがあります。これは、フラット35と、銀行の変動金利型や固定金利選択型の住宅ローンを組み合わせて借り入れするものです。
「すまい・るパッケージ」の仕組みを利用することにより、銀行の変動金利型や固定金利選択型の部分についても、通常必要になる保証料が不要、繰上返済にかかる手数料がかからないなどのメリットがあります。
変動金利型は、金利上昇リスクに対応する準備をしておくことにより、現在の低金利の恩恵が受けられる効率的な住宅ローンプランとすることが可能です。一方で、未払利息など、複雑な仕組みもあるので、十分に理解した上で、リスクが取れる範囲で利用するようにしましょう。
※ 文中の金利は2009年6月時点での水準で試算しています。
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