【広尾】武家屋敷街から大使館の街、名門教育施設の街へ発展を遂げた広尾
都内でも有数のおしゃれな街として、また邸宅街としても人気を集める渋谷区広尾。この街は、かつて多くの武家屋敷が集まるエリアでした。この武家屋敷跡地が大使館になり、現在のような大使館の街へと進化を遂げます。
また広尾には教育施設が集まり、その多くは名門校として人気を集めています。街の歴史を紐解けば、広尾の魅力がさらに感じられるでしょう。
現在の広尾周辺は、江戸時代のはじめまで、広尾原や土筆ヶ原と呼ばれる原野が広がり、江戸から気軽に行くことができる行楽地として親しまれていたといいます。
江戸時代の中期になると、現在の広尾周辺には岩城棚倉藩主であった阿部播磨守の下屋敷が建てられ、その後、続々と武家屋敷が造られるようになりました。「木下坂」はかつてこの付近に足守藩主木下家の屋敷があったことにちなんで名付けられたもので、周辺にはほかにも大名屋敷の名が付いた坂があり、当時の繁栄をうかがうことができます。
明治維新後、これらの武家屋敷の跡地を利用して大使館が立地するようになりました。欧米人にとっては辛い湿気を避けるために高台であること、使われなくなった大名屋敷に広い敷地を確保できたこと、多くの大名屋敷が集まっていたことから、諸国の大使館をまとめて配置でき、警備上のメリットがあるなど、条件が整っていたことが広尾に大使館が集中した理由といいます。
また、一部の大名屋敷の庭園は、公園や緑地として開放され、地域の人々や訪れる人の憩いの場となりました。「毛利庭園」は長州藩毛利氏の分家が使っていた「麻布上屋敷」の回遊式庭園で、「有栖川宮記念公園」も陸奥・盛岡藩の下屋敷が明治以降に有栖川宮邸として使われたのち公園として開放されたものです。
広尾周辺には、名門といわれる教育施設が多いことも特徴のひとつでしょう。「広尾」駅のすぐ西側に広がる「聖心女子大学」は、前身となる「聖心女子学院高等専門学校」が1916(大正5)年開校という歴史を誇るミッションスクールです。日本初のカトリック女子大学の1つとしても知られ、皇后陛下をはじめ、各界で活躍する著名人を多数輩出しています。
また、天現寺橋交差点の南東にある「慶應義塾幼稚舎」は慶應義塾が運営する私立の小学校で、毎年多くの入学希望が寄せられる人気校です。
広尾の東にある「麻布学園(麻布中学校・高等学校)」は「男子御三家」として総理経験者など多数の著名人を輩出したことで有名な学校です。自由な校風と、「東京大学」をはじめ全国の難関校への進学率の高さには定評があります。広尾には名門の幼稚園も揃っています。「若葉会幼稚園」は三井財閥の邸宅があった場所に建ち、有名小学校への進学率が高い御三家のひとつとして人気を集めています。また、「愛育幼稚園」は昭和天皇の下賜金により設立された幼児教育施設をルーツとし、古くから名門幼稚園として広く知られています。
武家屋敷の歴史を受け継ぎ、大使館が集まるインターナショナルな雰囲気に、名門教育施設が集まる広尾。この街ならではの気品が訪れる人々を魅了します。
- 掲載日
- 2016/02/29
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