【武蔵野市】吉祥寺エリアの帰宅困難者対策など、幅広い取り組みを行う武蔵野市の防災対策
武蔵野市は東京都多摩地域の東部、武蔵野台地上に広がります。
市域の地盤は比較的安定しています。江戸時代に新田が開かれ、農村が形成されました。
吉祥寺村の開発にあたったのは、現在の水道橋付近にあった「吉祥寺」門前の住民たちで、大火による影響で移り住んだと言われています。
また、関東大震災後には東京区部からの移住が相次ぎ、住宅地として発展を遂げました。
武蔵野市内の一部に木造住宅が密集しているほか、入り組んだ狭い道路が防災上の課題となっています。また、災害時には吉祥寺エリアでの帰宅困難者発生が予想され、それぞれの課題に適した防災対策が進められています。
武蔵野市では災害時に市民が取るべき行動をまとめた「武蔵野市防災ハンドブック」を2017(平成29)年に市内の全戸に配布しました。
2021(令和3)年には在宅避難の備え、感染症流行時の避難行動、風水害への備えについて追記されたものが発行されています。
「武蔵野市防災ハンドブック」では、地震発生からの取るべき行動も経過時間ごとにまとめられています。
災害が起きる前に済ませておきたい、家の中や周囲での安全対策、家庭内備蓄や非常持ち出し品のリスト、災害時のペット対策なども解説されています。
地震などが発生した際は、武蔵野市立小・中学校18校や都立高等学校2校の校庭に設定されている一時集合場所に集まり様子を見ます。
大規模火災などが発生した場合は「グリーンパーク」、「成蹊学園グラウンド」、「井の頭恩賜公園」、「小金井公園」、「国際基督教大学周辺」の5か所に設けられている広域避難場所に避難します。
災害で家が倒壊したり、焼失したりした場合は、一時的に避難所で生活することになります。避難所は武蔵野市立小・中学校18校や都立高等学校2校の体育館などが指定されています。
武蔵野市で震度6弱以上の地震が発生した場合は、限られた医療救護スタッフや医薬品等を最大限に活用し、効率的な医療活動を行うため、市内の医療機関は災害時医療救護体制に入ります。
災害発生からおよそ3日後までは、軽症者はその場で処置を受け、重症者の治療については災害拠点病院の「武蔵野赤十字病院」で、中等症者や容態の安定した重症者の治療は災害拠点連携病院の「吉祥寺南病院」と「武蔵野陽和会病院」で行われます。
けが人や病人のトリアージ(治療優先度の決定)、軽症者の応急処置や搬送調整は、これら3病院の周辺に設けられた緊急医療救護所で行われます。
武蔵野市ではこれらの一時集合場所・避難所、広域避難場所、災害拠点病院、災害拠点連携病院を地図に表示した「武蔵野市防災情報マップ」が作られています。
「武蔵野市防災情報マップ」は市全体のマップのほか、地域ごとのマップが9種類あります。
武蔵野市は台地上にあり、浸水のリスクが比較的低い地域ですが、川沿いでは浸水被害が想定されます。
総雨量690ミリメートル、時間最大雨量153ミリメートルという想定最大規模の降雨があった際に、神田川、石神井川・白子川、野川・仙川・入間川・谷沢川・丸子川のそれぞれの流域浸水予想区域をまとめたものが「武蔵野市浸水ハザードマップ」です。
大雨の際は、川から水が溢れて浸水するほか、下水道の排水ができなくなったり、窪地に水がたまったりして浸水する可能性もあります。「浸水ハザードマップ」ではこの両方の浸水による被害を想定しています。
なお、武蔵野市内では大規模河川の氾濫は想定されておらず、崩壊の恐れのある急傾斜地もありません。(2021(令和3)年11月時点)
武蔵野市では市内47カ所に防災無線のスピーカーが設置され、災害時に情報を提供しています。
防災無線の内容は電話でも確認でき、パソコンやスマートフォンでも「むさしの防災・安全メール」や「緊急速報メール」から災害情報を受け取れます。
さらに、武蔵野市を中心に放送しているコミュニティラジオ局「むさしのFM」、ケーブルテレビ局「J:COM武蔵野・三鷹」での放送、武蔵野市の公式TwitterやFacebookでの災害情報提供も行われます。
災害時に素早く対応できるようにするため、武蔵野市では防災訓練を行っています。
市役所や消防などの防災機関と市民の協力体制を訓練する「総合防災訓練」、大雨による被害を最小限に食い止めるための「水防訓練」、災害時のボランティア活動を訓練する「防災ボランティア訓練」、帰宅困難者への対応を中心とした「帰宅困難者対策訓練」が行われています。
他にも、誰もが気軽に参加できる防災イベントとして、初期消火体験、放水体験、煙体験などが行われる「はらっぱ防災フェスタむさしの」も毎年実施されています。
また、ショッピングタウンとしてにぎわう吉祥寺エリアでは、災害時に帰宅困難者の発生が想定されます。
吉祥寺エリアの災害時の混乱を防止するため、ショッピング施設や公共交通機関、行政で協議会を作り、「吉祥寺ルール」として一斉帰宅の抑制、待機に必要な3日分の備蓄、帰宅困難者用一時滞在施設の確保を進めています。
武蔵野市では災害時の被害を軽減するため、住宅密集地域に「防災広場」を設置しているほか、災害用トイレや災害用救助工具の整備も行っています。
また、家庭用消火器や、市が危険と判定したブロック塀の改善費用、災害対策用井戸の維持管理にも補助を出しています。
武蔵野市ではこのように、地域全体で取り組む防災対策と合わせて、各個人でも意識的に対策も進められるよう様々な施策が行われています。
- 掲載日
- 2021/11/25
本記事は、(株)ココロマチ が情報収集し、作成したものです。記事の内容・情報に関しては、調査時点のもので変更の可能性があります。