【横浜市】子ども向けコンテンツの充実など、多彩なスタイルで情報発信を行う横浜市の防災対策
横浜市は神奈川県の東部に位置し、東京都心から約30~40km圏内にあります。「横浜」駅やみなとみらい、横浜中華街などのある「西区」「中区」をはじめ、18の行政区で構成されており、日本の市町村の中で最も人口が多い都市です。
横浜市は日本を代表する商工業都市の一つである一方、東京都心のベッドタウンとしても人気があり、昼間人口と夜間人口のどちらも多くなっています。また国内外から年間3,600万人以上の人が訪れる観光都市でもあります。
横浜市の地形は、海沿いの低地部から丘陵部まで、高低差が大きいのが特徴です。
市の東部は海に面し、沿岸部には埋立地が造成され、港湾・工業・物流施設が建ち並んで京浜工業地帯の一角を担っています。みなとみらい地区など沿岸部には超高層ビル群も形成されています。
一方、市域の多くを丘陵地が占めており、傾斜地が多く起伏に富んだ地形となっています。横浜が「坂が多い街」と言われるのは、このような起伏に富んだ複雑な地形からであり、その起伏が創り出す美しい景観もまた横浜市の魅力といえるでしょう。
また、鶴見川や帷子(かたびら)川をはじめ河川が多いことも、横浜市の特徴です。こうした地理や地形を十分理解し、万が一の場合の災害リスクも想定して備えておくことが暮らしの安心・安全につながります。
以下、横浜市全体としてどのような防災対策を行っているかを見ていきましょう。
横浜市では「防災情報ポータル」にて緊急情報や避難情報、避難所の情報、気象情報などを公開しています。いざという時、必要な情報を素早く入手するために、日頃からどのような情報が掲載されているかをチェックしておくとよいでしょう。
また「わいわい防災マップ」では、元禄型関東地震・東京湾北部地震・南海トラフ巨大地震それぞれの場合の想定震度等および、「土砂災害警戒区域等」、「津波浸水予測区域」、「洪水・内水・高潮浸水想定区域」について検索できるようになっています。
見たいマップを選び、地図や住所から検索することで、自宅や職場など調べたい場所の情報を確認することができます。スマートフォンでも閲覧できるので、出かけた際に自分が今いる場所の情報もいつでも確認できます。
横浜市では自助・共助の推進を目的に、災害時の対応や日頃の備えについてまとめた冊子『防災よこはま』を作成しています。「地震編」、「風水害等編」、「情報収集編」、「共助編」の4編で構成されており、地域防災の担い手を育成する研修のテキストとして、あるいは家庭・地域での話し合いなどに活用されています。
『防災よこはま』は紙の冊子のほか、動画版、音声版、英語版(冊子)、やさしい日本語バージョン(一部)もあり、多くの人が内容を理解できるように工夫されています。
また2016(平成28)年には、町の防災組織活動事例集『ヨコハマの『減災』アイデア集』も作成しています。市内各地で活動するさまざまな団体の事例が数多く紹介されており、「共助」推進のためのヒントが満載です。
企業・事業所が多い横浜市では、災害時の帰宅困難者対策も重要課題です。東日本大震災の際に横浜駅周辺で約3万人の帰宅困難者が発生した経験をふまえ、市では、大規模災害の発生時には「従業員の一斉帰宅の抑制」を基本方針に掲げるとともに、従業員のための3日分の水・食料の備蓄や安否確認・情報収集手段の確保などを事業者に求めています。
横浜市は、将来の地域防災の担い手である子どもたち向けの防災啓発活動にも積極的に取り組んでいます。
冊子『じしんとわたしたち』は、地震が起きた時、いつどこにいても子どもたちが安全な行動をとれることを願って作られたものです。地震の怖さや、地震が起きた時のシチュエーション別対応について、イラスト入りでわかりやすく解説されています。
『じぶん防災ハンドブック』はワークシート付の冊子です。自分が行く地域防災拠点、いざという時の家族の集合場所、家の内外で危険な場所と安全な場所、家から避難場所までの安全な避難ルート、緊急時の連絡先などを書き込むことで、自分だけの防災ハンドブックを完成させることができます。
また、2019(令和元)年に発刊した防火・防災絵本『みんな森の仲間とオオカミのサイレン』に続き、第2弾として2020(令和2)年には風水害をテーマにした防災紙芝居『みんな森の子供たちとアウル爺さん』も制作しています。原作は横浜市の現役消防局員が書き下ろしたもので、YouTubeで読み聞かせ動画も見ることができます。
さらに、子どもたちに人気の教育プラットホーム「うんこ学園」(文響社)とのコラボにより、ネットゲーム「うんこ防災ゲーム」も開発しました。防災に関する大切な知識を、子どもたちが楽しみながら学べるようになっています。
横浜市では防災対策の基本として、震災対策編・風水害等対策編・都市災害対策編からなる「横浜市防災計画」を作成しており、ホームページ上で誰でも閲覧できるようになっています。
これらは毎年必要に応じて見直しが行われており、2021(令和3)年度には風水害等対策編の一部修正が予定されています。
また横浜市は、埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・川崎市・千葉市・さいたま市・相模原市とともに毎年「九都県市合同防災訓練」を実施しています。2021(令和3)年度は横浜市が幹事都市となり、相模湾近海を震源とするマグニチュード8.1の地震が発生したという想定のもと、みなとみらい地区にて救出救助、ライフライン復旧などの実動訓練が行われました。
さらに、市民が楽しく学べる防災イベントとして毎年「横浜防災フェア」も開催しています。横浜市消防音楽隊によるオープニングセレモニーや、消防艇・消防船による放水訓練、ヘリコプターでの救助訓練、はしご車デモンストレーションなど、日頃は体験できない貴重な機会とあって多くの人でにぎわいます(2020年は中止、2021年は会場・内容を変更して開催)。
このように横浜市では、起こり得る多様な災害を想定した上で、自助・共助のための防災情報の提供を含めたさまざまな取り組みを実践しています。
- 掲載日
- 2022/01/27
本記事は、(株)ココロマチ が情報収集し、作成したものです。記事の内容・情報に関しては、調査時点のもので変更の可能性があります。