【文京区】「赤ちゃん防災」の活動や趣向を凝らした防災訓練など、多彩な取り組みを行う文京区
文京区は、東京23区のほぼ中心部に位置する区で、南は千代田区、西は新宿区などに隣接しています。区内には由緒ある神社・仏閣や歴史ある建造物が多く、「小石川植物園」や「六義園」などの旧大名庭園をはじめ緑も豊かです。
文京区には日本の学校教育発祥の地とされる「湯島聖堂」があるほか、「東京大学」をはじめとする教育機関が多く、日本有数の文教地区としても知られています。ちなみに「文京」という名称は「文教(学問)の府」という区の特徴や性格から付けられたものです。
文京区は坂道が多いことでも知られています。地形的には大きくは、5つの台地(関口台、小日向台、小石川台、白山台、本郷台)と5つの低地(音羽谷、茗荷谷、千川谷、指ケ谷、根津谷)で構成されており、台地と低地が複雑に入り組んで坂と崖の多い起伏に富んだ街を形成しています。
文京区では「備えと助け合いのある災害に強いまちの実現」を目指し、「文京区地域防災計画」を策定して防災対策に取り組んでいます。
地域防災計画は主に震災対策編(震災予防計画)と風水害対策編(風水害予防計画)で構成され、(1)人的被害の減少、(2)自助・共助の強化、(3)区の災害対応力の強化、という3つの視点で災害対応力の充実を図るとしています。また「死傷者の6割減」、「避難所生活者の4割減」、「帰宅困難者の安全確保」を減災目標として設定し、被害を最小限に食い止めるための具体的な対策をまとめています。
文京区では「文京区防災ガイド」を作成し、区役所のほか各地域活動センターや図書館などで配布しています。日頃からの備えをはじめ、地震発生時の時間経過ごとの具体的な行動マニュアルや、東京湾北部地震による被害想定や町丁目ごとの地域危険度表、火災発生時の初期消火の方法、応急手当ての方法など、役立つ情報が満載です。
また、集合住宅の居住者が増えていることから「中高層マンション防災対策パンフレット」も作成しています。ここでは長周期地震動やエレベーター停止などマンション特有の問題に焦点を当て、ライフライン対策やマンション自主防災組織の結成および活動内容などをコンパクトにまとめています。
「文京区防災地図」は、区内の避難施設(小・中学校などの避難所、緊急避難場所など)や防災施設(備蓄倉庫、貯水槽など)の場所が示された地図です。
緊急避難場所とは、一時的に火災等から身を守るための避難場所で、文京区では六義園、東京大学、後楽園一帯、お茶の水女子大学一帯・教育の森公園一帯、護国寺一帯、小石川植物園、目白台運動公園付近一帯が指定されています。
防災地図にはこのほか、妊産婦・乳児救護所(跡見学園女子大学や貞静学園短期大学など4ヵ所)や帰宅困難者一時滞在施設、帰宅支援対象道路、AED設置場所なども掲載されています。
「文京区水害ハザードマップ」は、想定しうる最大規模の降雨があった場合に浸水被害が予想される区域とその深さ、および避難所などが示されたものです。水害時の避難所は、地震時の避難所とは異なる場合があるので、どちらも確認しておく必要があります。
また、文京区は坂や崖が多いという地形的特性から、土砂災害(崖崩れ)への備えも必要です。「文京区土砂災害ハザードマップ」には土砂災害警戒区域(イエローゾーン)や土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)に加え、土砂災害時の避難所、土砂災害から身を守るためのセルフチェックシートなども掲載されているので、事前に確認しておきましょう。
「文京区防災ポータル」は、避難情報や避難所開設情報、被害情報、公共交通機関やライフラインの状況、警報・注意報や気象情報などを配信する防災専用のホームページです。
「文京区地域防災計画」や「文京区防災ガイド」、防災訓練や各種助成制度の情報など、防災に関する情報がここに集約されています。2022(令和4)年9月からは新機能として文京シビックセンター高所カメラのライブ配信もスタートしています。
「文京区防災アプリ」は、スマートフォンやタブレット端末で各種災害情報を確認できるアプリです。プッシュ通知機能で区からの重要なお知らせをいち早く受け取ったり、避難所や帰宅困難者一時滞在施設の位置、開設・混雑状況などをタイムリーに確認できます。
文京区防災アプリにはさらに、写真を投稿して区に被害を報告できる「被害報告機能」も搭載されています。これは災害時のみ利用できる機能ですが、いざという時にスムーズに報告できるように、毎月1日はこの機能が体験できる日となっています。
このほか、大雨や地震等の災害気象情報などを無料配信する「『文の京』安心・防災メール」や、屋内にいても防災行政無線の放送内容や区からのお知らせを受信できる「防災情報一斉通知アプリ」など、さまざまな形で区民への情報提供を行っています。
文京区では災害に備え、区内を4ブロックに分割して春夏秋冬に「避難所総合訓練」を行っているほか、「防災フェスタ」として住民を主体とする一斉避難(危険回避)訓練と観覧型・体験型の訓練を実施しています。2022(令和4)年度には、オンライン型の防災謎解きアトラクションや、実際の避難所でリアルな避難生活を体験する防災キャンプも行われました。
また、学校や町会・自治会、マンションなどで行う防災訓練への地震体験車や煙体験ハウスの無料出張や、防災クイズとスタンプラリーを融合させた「防災クイズラリーキット」の貸し出しも行っており、地域の人々が楽しく実践的な防災学習・体験を行えるようサポートしています。
さらに文京区ならではの取り組みとして、区内にキャンパスを置く大学や企業との共同による「文京区プロテクトベイビーコンソーシアム」が挙げられます。これは「赤ちゃんを災害から守る社会の実現」を目指して2018(平成30)年に設立されたもので、全国に先駆けて妊産婦・乳児救護所に液体ミルクを備蓄したり、赤ちゃんに特化した災害時ハンドブックを作成・配布するなど、「赤ちゃん防災」をテーマにさまざまな活動を行っています。
このように文京区では「備えと助け合いのある災害に強いまちの実現」を目指して、さまざまな工夫を凝らしながら幅広く防災対策に取り組んでいます。
- 掲載日
- 2022/12/09
本記事は、(株)ココロマチ が情報収集し、作成したものです。記事の内容・情報に関しては、調査時点のもので変更の可能性があります。