【松戸市】「やさシティマップ」や「まつど防災ノート」など、防災意識の啓発や情報提供にも力を入れる松戸市
松戸市は千葉県北西部に位置する市で、西側は江戸川を挟んで東京都葛飾区や江戸川区、埼玉県三郷市に隣接しています。東京都心部から約20km圏に位置しており都心へも短時間でアクセスしやすいことから、住宅都市として発展を続けています。
地形的には、松戸市の西端を流れる江戸川からJR常磐線の間のエリアは低地となっています。一方、市の東部は台地で、樹枝状に深く入りこんだ谷(谷地田)があり、低地と台地との高低差は25m程度です。また江戸川に加えて松戸市内には坂川、新坂川、国分川、春木川などの中小河川も流れています。
「松戸」という地名の由来については、この地域が太日河(現在の江戸川)の津(渡し場)でもあったことから「馬津(うまつ)」とか「馬津郷(うまつさと)」と呼ばれており、それが「まつさと」になりやがて「まつど」になったなど、諸説あるようです。
「松戸市地域防災計画」は「震災編」、「風水害等編」、「大規模事故編」および「資料編」で構成されています。
「震災編」では、松戸市に大きな影響を及ぼすことが予想される地震として、地殻内のごく浅い地震(松戸市直下約5km、M7.1)を想定しています。この地震は松戸市を含む南関東の直下で今後30年以内に発生する確率が70%とされており、松戸市の北東部では震度6弱、南西部では震度6強が予想されています。
この地震による被害想定に対して松戸市では「死者数(338人)を半減させる」ことを減災目標として掲げ、具体的な減災施策を推進しています。
「風水害等編」においては、水害・土砂災害・風害・雪害それぞれについての予防計画や、応急対策計画、復旧計画などをまとめています。
またこうした自然災害とは別に「大規模事故編」として、大規模火災、危険物等災害、航空機災害、鉄道災害、道路災害、放射性物質事故への予防・応急対策をまとめています。
「松戸市水害ハザードマップ」の表面に掲載されている「高潮浸水想定区域」は、想定最大規模の台風が東京湾を最悪のコースで通過した場合の浸水深を予測したマップです。関東周辺で巨大地震が発生すると江戸川河川敷などにも津波が遡上する恐れがあることから「津波浸水想定区域」のマップも掲載されています。
表面には、地域観測史上最大の集中豪雨があった場合の「内水氾濫想定図」も示されています。さらに裏面には、江戸川が最大規模の洪水で氾濫した場合の「江戸川洪水浸水想定区域」マップや、坂川・坂川放水路・新坂川・利根運河・真間川など「中小河川洪水浸水想定区域」マップも掲載されています。
このほか、豪雨により土砂災害が発生した場合に被害を受ける可能性のある範囲を示した「土砂災害ハザードマップ」もあります。適切な避難計画を立てるためにはまずこれらのハザードマップで身の回りの災害リスクを把握することが重要となります。
松戸市では地図情報提供サービス「やさシティマップ」を通じて、公共施設マップや子育て・教育マップ、医療マップ、福祉マップなどさまざまな地図情報を公開しています。防災・災害に関するマップも充実しており、水害に関するハザードマップのほか、避難場所などを示した「防災マップ」、災害時に全壊する建物の割合を示した「地域の危険度マップ」なども閲覧することができます。
2011(平成23)年に発生した東日本大震災での教訓から、松戸市では2015(平成27)年度に小学生およびその保護者向けに「まつど防災ノート」を作成し、市内全小学校を通じて配布しました。
このノートは、災害が発生した時に「自分の命は自分で守る」行動がとれるように、事前の備え・発災後の行動・避難行動・安否確認の方法などについて家庭内で話し合い、書き込み、共有できるように作成されています。市ホームページからダウンロードもできます。
「まつど防災ノート」は、子どもたちがまず自分自身で考えることを大切にしています。例えば「登下校中に大地震が起こったらどんな危険があるのか」、「雨が降り続けると川や崖はどうなるのか」、「家で一人でいる時に火事が起こったらどうすればいいのか」など、さまざまなケースについて自分で考えて記入するところから始まります。家族と話し合いながら避難地図を作成するページなどもあり、分かりやすく実践的な防災ツールとなっています。
このほか松戸市では、災害が来る前に自分がとるべき行動を時系列にまとめるツールとして「松戸市マイ・タイムライン」も作成しています。台風や大雨に備えて避難行動などを書き込めるようになっているほか、松戸市で予測される風水害やハザードマップ、災害情報の収集方法など知識・情報も満載です。
松戸市では、市が行っている事業や業務を市民に直接説明する無料出前講座として「パートナー講座」を実施しています。市内在住・在勤・在学者おおむね10人以上のグループで申し込みが可能で、防災関連では「災害に対する備え」や「住まいの耐震対策」といったテーマが設けられています。このうち「災害に対する備え」はオンライン配信もされており、講座用の資料も市ホームページからダウンロード可能です。
松戸市内には入館無料の「千葉県西部防災センター」も置かれています。ここは災害時の自主的な対応力を育てるための防災体験学習施設で、インストラクターによるツアー形式で防災を楽しく学ぶことができます。
また松戸市では災害発生時に迅速かつ効果的な災害活動を行うために、1996(平成8)年度より「松戸市地域防災リーダー」を置いています。地域防災リーダーは、平常時は所属する町会・自治会・管理組合などで知識・技術の普及を図り、災害発生時には地域住民と協力して消火・救出・救護・避難誘導・避難所運営などを行います。現在約900名のリーダーが活動しています。
災害時に必要なマンパワーの担い手として「防災ボランティア」登録制度も実施しています。防災ボランティアは市内在住・在勤・在学の満16歳以上の人が対象で、避難場所での炊き出しや清掃・整理、救援物資の積み下ろし・仕分け・搬送、また救急医療や外国語通訳などの専門技術や資格のある人はそれを生かした活動を行います。
このように松戸市では、防災意識の啓発や人材の育成、災害への備えのための情報提供などを含め、災害から市民を守るためのさまざまな取り組みを実施しています。
- 掲載日
- 2022/12/31
本記事は、(株)ココロマチ が情報収集し、作成したものです。記事の内容・情報に関しては、調査時点のもので変更の可能性があります。