【神戸市中央区】海と山が身近で、神戸市の経済・観光・文化の中心として機能する中央区の防災対策
中央区は神戸市を構成する9区の一つで、市のほぼ中央に位置します。「兵庫県庁」や「神戸市役所」といった重要施設が置かれているほか、神戸随一の繁華街「三宮」や異国情緒あふれる「神戸旧居留地」などもあり、神戸市の経済・観光・文化の中心となっています。
中央区はまた、世界有数の国際貿易港である「神戸港」、関西三空港の一つ「神戸空港」、新幹線の発着駅「新神戸駅」もあり、神戸市の海・空・陸の玄関口としても位置付けられています。
北に六甲の山々、南に神戸港やポートアイランドと、山と海に挟まれた美しい街であり、こうした豊かな自然もまた中央区の特徴となっています。
神戸市では、防災に関する情報を集約した「KOBE防災ポータルサイト」(愛称:SONAE to U?)を運営しています。阪神・淡路大震災から長い年月が経過し、震災を経験していない世代が増える中、防災について気軽に楽しみながら考え行動してもらうことを目的にさまざまな情報を発信しています。
サイトは主に、災害気象情報やライフライン情報など「緊急災害情報(EMERGENCY)」、災害に関する知識や日頃の備え、避難行動などをまとめた「備える(PROVIDE)」、地域や各団体の取り組みなどを紹介する「活動する(ACTION)」、過去の災害を振り返りこれからの備えに役立てる「振り返る(REVIEW)」、防災クイズ・ゲームや防災工作コーナーなど楽しく学べる「学習する(STUDY&QUIZ)」で構成されています。
また神戸市では毎年6月に広報紙KOBE防災特別号として「くらしの防災ガイド」を発行し、市内の全戸に配布しています。区ごとに、記事面および地図面(ハザードマップ)で構成されており、「KOBE防災ポータルサイト」からも閲覧できます。
「くらしの防災ガイド」の中にある「土砂災害・水害ハザードマップ」には、防災を考える上で重要な地域の情報が凝縮されています。
まずは自宅周辺の「土砂災害警戒区域(イエローゾーン)」および「土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)」を確認しましょう。中央区の場合、北部に土砂災害が予想される箇所が多いのが特徴です。台風・大雨に備え、避難方法や避難場所を事前に考えておくことが大切です。
ハザードマップには、河川の洪水による浸水想定区域も示されています。これは「100年に1回程度の確率で発生する大雨の際に、二級河川からあふれた水によって浸水することが想定される区域」で、浸水の深さによって色が分けられています。また、内水氾濫による浸水想定区域も示されているので、川沿いエリアに限らず自分の地域が該当しないか確認しておきましょう。
中央区は海に面しているため、津波への警戒も必要です。特にハザードマップに示された防潮ライン(防潮堤など)より海側の地域やポートアイランド、空港島の水際では、津波・高潮による浸水の可能性があります。なお大津波警報が発表された場合、中央区では「JRより北へ!丈夫な建物の3階以上へ!」が最低限の避難行動の目安とされています。
ハザードマップ裏面には、住所ごとに最寄りの緊急避難場所・避難所が記載されているので、災害の種類ごとに最も安全に避難できる避難先をあらかじめ確認しておくとよいでしょう。
いざ災害が発生した際に慌てず安全に避難ができるように、神戸市では「わが家の避難マップ」を作成して日頃から備えておくことを推奨しています。
まず、地図提供サイト「神戸市情報マップ:わが家の避難マップ作成用」から、書き込み用のマップを印刷します。印刷したら自宅に○印をつけ、自宅周辺の土砂災害(特別)警戒区域、洪水による浸水想定区域などの危険箇所をチェックしましょう。併せて、緊急避難場所や親戚・知人の家など、避難先にチェックを入れます。さまざまな災害の状況を想定して複数の避難先を決めておくと安心です。
次に、避難先までの避難ルートを書き込みます。なるべく幅の広い道路を選ぶこと、土砂災害警戒区域や川沿い・崖沿いの道はなるべく避けることなどがポイントです。
避難ルートを書き込んだら実際にそのルートを歩いてみましょう。坂道や階段は歩きやすいか、街灯はあるか、川や水路など大雨の際に危険な箇所はないか、落石や鉄砲水の恐れがある場所はないか、避難先までどれくらい時間がかかるか(災害時は足元が悪いことも考慮)などをチェックし、気付いた点を書き込んでいけば、オリジナルの避難マップの完成です。危険が見つかった場合は避難先や避難ルートの見直しも検討しましょう。
なお神戸市では、防災士が地域へ出向いて土砂災害・洪水からの避難方法などを説明する無料の出前講座を実施しており、その中でもオリジナル避難マップづくりについてレクチャーしています。自治会、婦人会、PTA、近隣の集まりなど5名以上の団体単位で申し込み可能です。
中央区の「三宮」駅周辺エリアは商業施設やオフィスビルが立ち並ぶ神戸一の繁華街であり、災害によって公共交通機関がストップすると帰宅困難者が多数発生することが予想されます。
その対応のためには、民間企業等による「自助」、行政による「公助」だけでなく、民間事業者や行政の連携・協働による「共助」が必要不可欠であることから、2014(平成26)年に地域の事業者・団体で対策協議会を設立し、帰宅困難者の安全確保策や支援策などについて検討を行っています。
2016(平成28)年には「三宮駅周辺地域帰宅困難者対策計画」を策定、その後2023(令和5)年に「神戸都心・臨海地域帰宅困難者対策計画」として改定しています。
神戸市の帰宅困難者対策は「一斉帰宅の抑制」、「一時滞在施設の確保」、「帰宅支援」を3本柱としています。「安全な場所からむやみに移動しない、させない」という一斉帰宅抑制の徹底により帰宅困難者の発生を抑制しつつ、行き場のない人のための一時滞在施設の確保や、徒歩帰宅者に水道水・トイレ・道路情報を提供する帰宅支援ステーションの普及などに取り組んでいます。
このように神戸市および中央区では阪神・淡路大震災の教訓を生かしながら、自己決定力の向上を基本理念として防災・減災対策を推進しています。
- 掲載日
- 2023/09/30
本記事は、(株)ココロマチ が情報収集し、作成したものです。記事の内容・情報に関しては、調査時点のもので変更の可能性があります。