【名古屋市千種区】住環境・商業・自然・教育がバランス良く調和した名古屋市千種区の防災対策
千種区は名古屋市を構成する16区の一つで、市の中央からやや東側に位置します。
区の西部は、今池を中心に商業・ビジネスの街として発展しています。区の中央部の丘陵地には閑静な住宅地が広がり、多くの学校が点在する文教地区としても知られています。また、区の東部は広大な「なごや東山の森」が広がるなど緑豊かなエリアです。千種区はこのように住環境・商業・自然・教育がバランスよく調和した街といえます。
地形的には熱田台地と東部丘陵によって構成されており、名古屋市の中でも地盤が比較的強固といわれています。東に行くにつれて標高が高くなっているのが千種区の特徴で、傾斜地も多く存在します。
また、区の北部を庄内川水系の一級河川である矢田川、香流川が流れています。
名古屋市の防災に関する情報は、スマートフォンやタブレット端末を使って「名古屋市防災アプリ」でいつでも確認できます。このアプリには地震・洪水などの防災情報や公共交通機関が止まった場合の徒歩帰宅支援情報など、多岐にわたる情報が集約されています。
「名古屋市防災アプリ」では、現在位置周辺の被害想定や避難所情報がカメラで撮影した実写の映像に合成して表示されるので、災害状況や避難所の方向・距離などを視覚的に把握することができます。事前に地図データをダウンロードしておくことで災害時のオフライン環境でも使用することができます。
また名古屋市では「ハザードマップ」、「防災ガイドブック」、「わが家のマイ・タイムライン」などを1つに集約して「なごやハザードマップ防災ガイドブック」として作成し、2023(令和5)年3月に全戸配布しています。「ハザードマップ」は想定し得る最大規模の洪水・内水氾濫・高潮に加え、地震・津波・ため池氾濫などあらゆる災害を網羅しています。
「防災ガイドブック」には災害時に身を守るための行動、被災した時の心得、日頃からの備えなどがまとめられています。また「わが家のマイ・タイムライン」では台風・大雨や地震などの時に「いつ」「誰が」「どのように行動するか」を時系列に沿って整理しておくことができ、家族間での情報共有に役立ちます。
このほか冊子「くらして、そなえて。なごやBosaiブック」では、災害時に起こりがちな女性特有の困りごとや防災への備えが、女性の目線で必要となるであろう備えをまとめられています。
名古屋市では、あらゆる可能性を考慮した最大クラスの地震を想定した上で、地域ごとの想定震度分布や液状化可能性を「地震ハザードマップ」として公開しています。千種区の想定震度は、南西部の一部の地域が震度6強である以外は、大部分の地域において震度6弱となっています。
このほか、緊急避難場所(広域避難場所)や応急給水施設などの位置も分かるようになっています。千種区の広域避難場所としては東山公園、千種公園一帯、平和公園、茶屋ヶ坂公園などが指定されています。
千種区では北部エリアを庄内川水系の矢田川や香流川が流れているほか、区の東部から南西に向かって山崎川が流れています。千種区の「洪水ハザードマップ」では、矢田川と香流川沿いのエリアで河川の氾濫による浸水可能性が示されています。
また「内水氾濫ハザードマップ」からは、矢田川・香流川沿いエリアに加え、南部の山崎川沿いのエリアでも内水氾濫による浸水の可能性があることが分かります。周囲より標高が低くなっているためであり、大雨に備えて対策を講じておくことが必要です。
またこれらのハザードマップには土砂災害(特別)警戒区域も示されています。千種区では特に東部の丘陵地に数多く点在します。自宅周辺エリアで該当する区域がないか確認し、避難所への避難ルートを考える際にはそうした場所は避けるなど注意しましょう。
さらに、千種区には「猫ヶ洞池」や「茶屋ヶ坂池」など複数のため池があり、大きな地震で決壊などが発生するとため池の水が周囲に流れ出て被害が発生することから、「ため池ハザードマップ」も公開されています。ため池が決壊した場合に水が流れ出る方向や浸水範囲および深さ、到達時間を確認することができます。
災害対応の主役・原点は「自助・共助」であり、個人や家族で、また地域コミュニティの中で助け合っていくことが非常に大切であるという考えから、名古屋市では「地区防災カルテ」を作成しています。地区防災カルテは「学区」を単位としており、千種区では15の学区についてそれぞれ作成されています。
地区防災カルテには地域の地形や歴史、災害リスク、防災活動状況など、防災関連情報が集約されています。災害リスクについては、前述のハザードマップのほか建物倒壊危険性・道路閉塞危険性・火災延焼危険性などに関する情報も掲載されています。
地区防災カルテは(1)まず地域特性を把握、(2)地域特性に基づく防災活動を検討、(3)検討した防災活動を実施、(4)防災活動を通じた新たな課題の発見、という流れで活用することにより、地域防災力の向上を図ることを目的としています。
さらに、地域住民と区役所・消防署などで話し合った結果は「災害避難行動マップ」等として学区ごとに取りまとめられています。実際に地域に住んでいる人からの情報もふんだんに盛り込まれたものであり、身の回りの危険箇所などを把握していざという時の避難行動を考える上で大いに役立ちます。これらは名古屋市のホームページで閲覧可能です。
このように名古屋市および千種区では、南海トラフ巨大地震をはじめ各種災害に備えて、自助・共助の強化を含めさまざまな取り組みを進めています。
- 掲載日
- 2023/09/30
本記事は、(株)ココロマチ が情報収集し、作成したものです。記事の内容・情報に関しては、調査時点のもので変更の可能性があります。