【川崎市宮前区】多摩丘陵に抱かれ、都心のベッドタウンとしても人気の宮前区の防災対策
川崎市宮前区は1982(昭和57)年に高津区から分区して誕生した比較的新しい区で、市の北西部に位置します。東急田園都市線の開通、東名高速道路・東名川崎インターチェンジの開通・開設などにより人口が急増し、東京都心のベッドタウンとして発展してきたエリアです。
市域は全体的に起伏が豊かで、東名高速道路を境にして西側はなだらかな丘が続く多摩丘陵、東側は下末吉台地に大きく区分されます。また、区内を平瀬川や有馬川が流れており、川沿いに谷底低地が分布しています。
周辺部には「生田緑地」や「東高根森林公園」などの大規模な緑地も広がっています。多くの農地も残されており、野菜や果物、花き・植木の栽培が盛んに行われているのも宮前区の特徴です。
「川崎市防災ポータルサイト」は、災害時の避難指示等発令情報・避難所開設情報などの「避難情報」、公共交通機関やライフラインの状況など「公共情報」、避難所マップやハザードマップなど「防災マップ」、各種警報・注意報や市内各河川の現在の様子が分かる「気象情報」で構成されています。さらに、地震や風水害への日頃からの備え、災害発生時の行動、災害後の避難生活などの情報も充実しています。
宮前区では、川崎市地域防災計画の個別計画として「宮前区地域防災計画」を策定し、区民にとって身近な災害予防・災害応急対策を総合的に実施しています。「自助・共助・公助」の理念に基づいた防災体制を構築し、地域防災力の向上を図ることを目的としており、震災および風水害対策を中心に作成されています。なお震災についてはM7.3の川崎市直下地震を想定しています。
川崎市では避難所などの位置を示した「川崎市防災マップ」を区ごとに作成しています。上のマップはその「宮前区版」で、指定避難所や広域避難場所のほか、災害時応急給水拠点、災害用井戸、救急告示医療機関の位置や緊急交通路なども一目で分かるようになっています。
指定避難所としては区内の市立小・中学校が指定されています。また、区内にある神奈川県立高校(川崎北高校)は、災害時には消防・警察・自衛隊等の応援部隊の集結場所や活動の拠点になります。
地震などによる大規模火災発生時の広域避難場所としては、生田緑地、県立高根森林公園が指定されています。
また、川崎市は外国人市民人口が多いことから、多言語対応の防災マップ(英語、中国語、韓国・朝鮮語、スペイン語、ポルトガル語、タガログ語)も作成・配布しています。
上の地図は、土砂災害警戒区域等や避難所の位置を示した「宮前区土砂災害ハザードマップ」です。自宅周辺に土砂災害の恐れがある区域がないかどうかをはじめ、避難所の位置および避難ルートを確認しておきましょう。実際に避難ルートを歩き、途中に危険な箇所がある場合はルートの見直しも検討しましょう。
このほか川崎市ホームページでは「洪水ハザードマップ」や「内水ハザードマップ」、地盤の違いによる地表面の「ゆれやすさマップ」なども公開されています。また、防災に関するこうした各種マップは川崎市地図情報システム「ガイドマップかわさき」でも閲覧可能です。
川崎市ではこのほかにもさまざまな形で市民向けに防災情報を発信しています。
スマートフォン向け「かわさき防災アプリ」では、洪水・土砂災害・津波・内水などの危険区域を示したハザードマップを確認できるほか、発令中の避難情報や避難所の開設情報・混雑情報を地図やリストでリアルタイムに確認することができます。またアプリ上で自由にコミュニティを作成し、家族や友人間での情報共有や安否確認に活用することもできます。
「備える。かわさき」は災害に対する日頃の備えや災害時の避難行動などをまとめたもので、保存版とWeb版があります。Web版は「川崎市防災ポータルサイト」や「かわさき防災アプリ」から閲覧することができます。
また2023(令和5)年9月からは、大地震などの自然災害への備えとして「無理なく・無駄なく備える」ためのヒントを発信する防災マガジン「備える。かわさき(マガジン)」も発行しています。
このほか、川崎市で大地震が発生した時にどのようなことが起き、どのように復興に向かうのかを分かりやすくまとめた冊子「川崎市に大地震が起きた日」や、小さなお子さんのいる家庭向けの防災絵本「ダイジシーンからのおねがい」などもあります。いずれもホームページからダウンロード可能です。
宮前区内の「鷺沼」駅、「宮前平」駅、「宮崎台」駅の3駅には多くのバス路線が乗り入れており、災害発生の時間帯によっては一時的に多くの帰宅困難者が発生することが予想されます。また状況によっては都心や他エリアから帰宅困難者が流入してくる可能性もあります。
帰宅困難者は周辺の地理に不案内であることが多いため、宮前区では災害発生時に警察・交通事業者・駅周辺商店街などと連携し、周辺情報の提供や「帰宅困難者用一時滞在施設」への誘導を行うことができるような体制づくりを進めています。
現在、宮前区では「帰宅困難者用一時滞在施設」として4つの施設と協定を結んでおり(2023年1月現在)、さらなる拡充を図るとしています。一時滞在施設は、災害によって公共交通機関が運行停止となり帰宅困難となった場合に、休憩スペースなどを提供して一時的に受け入れてくれる施設であり、備蓄物資や区役所との連絡のための簡易無線機が設置されます。2次災害防止の観点から夜間の移動は抑制されるため、原則一晩の利用となります。
各駅周辺の商店会では、帰宅困難者支援の目印として「頼れる地元の商店街」というステッカーを作成・掲出しており、災害発生時には道案内やトイレの提供など各店舗の特性に応じた支援を行うとしています。
このように川崎市および宮前区では、地域の特性や現状を踏まえ、「自助・共助・公助」の理念に基づいた防災体制の構築、地域防災力の向上に向けた取り組みを進めています。
- 掲載日
- 2024/02/27
本記事は、(株)ココロマチ が情報収集し、作成したものです。記事の内容・情報に関しては、調査時点のもので変更の可能性があります。