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2013/11/11
不動産も現金も価値観は変わった

持っているだけで価値が上がる財産ではなくなった

 土地神話が存在していた頃は、土地は持っているだけでどんどん価値が上がっていきました。何もしなくても、土地は、持っていること自体が財産だと信じられていました。

 ところが、バブル経済が崩壊したことから高騰した土地の価格も値下がりしてしまう事態となり、土地は持っているだけで価値が上がり続ける財産ではなくなったことが明白となりました。目に見える「土地」の実態に変わりがなくても、「評価額」という価値が目減りしていくのです。

 現金にしても、かつてはまとまった現金を銀行に預けておけば、利息がついて、どんどん増える時代がありました。退職金を預金すれば、利息で生活できると言われていたこともあり、まとめて銀行預金をしておけば増える楽しみや安心感がありました。

 有価証券のように大きく元本割れしたり、紙切れとなるような事態にはならないにしても、現金を銀行に預けてさえいれば増えるということもなくなりましたので、土地も現金も持っているだけで価値が上がり、増えていく財産ではなくなったと言えるのです。

不動産は「活用して価値を生む財産」

 土地は持っているだけでその土地からの収益がなければ、固定資産税や維持費がかかるばかりで持ち出しとなります。もはや、財産とは言えない状態で、不良資産で負担となりかねないリスクを抱えています。

 今までは多くの土地を所有することが資産家の証であり、財産と考えられてきましたが、固定資産税や維持費を考えると、ただ持っているだけでは真の財産にはならず、不良資産にもなりかねません。

 こうしたことから言えることは、これからは収益力のある土地こそが真の財産であるということです。土地から収益をあげるには、土地活用をすることが鉄則となります。

現金があれば安心とも言えない、「貯めるだけではなく投資する財産」

 バブルが崩壊した頃から、「土地は持ってさえいれば値上がりする財産」という常識が崩れたため、価値が変わらない「現金」を残すため、多くの方はこつこつと貯蓄をしてこられました。

 相続相談に来られる方の多くは、子供や孫に残すために自分たちは節約し、何千万円、中には億単位で貯めておられ、「相続税がかかっても現金があるから払えるので安心だ」と言われます。

 けれども、今や預金利息が生活費になるのは夢の話で、ほとんど利息がつかないばかりか、相続になると、貯め込んだ預金に課税をされるのです。貯めてさえおけば安心という常識も崩壊したと言えるでしょう。

 こうしたことから、現金も持っていれば増える財産ではなく、節税対策に使わなければ減ってしまうわけですから、生前に使ってこそ価値がある、「投資する財産」だと言えるでしょう。

前向きな決断ができる知識層が資産家となる

 こうした流れから言えることは、今までのように、ただ持っているだけでは財産は守れず、適切な対策をしないと目減りしていく時代になったということでしょう。

 次世代の資産家となるのは、自ら勉強し、最適な専門家ブレーンを選択しながら、適正な資産形成のための活用、投資の判断ができる前向きな決断ができる知識層だと言えます。

 相続税、消費税、所得税など税金の負担は増えていきますので、財産のある人は生前に賢く対策をし、防衛しなければなりません。今までどおりに、不動産も、現金も、ただ持っているだけでは守ることが難しく、相続する人がなんとかするだろう、では遅いのです。

執筆者:曽根恵子

公認 不動産コンサルティングマスター、相続対策専門士。日本初の相続コーディネーターとして1 2000件以上の相続相談に対処。感情面、経済面に配慮した“オーダーメード相続”を提案し、家族の絆が深まる「夢相続」の実現をサポートしている。NHK「あさイチ」」、TBS「はなまるマーケット」、フジ「とくダネ」などに出演。新聞、雑誌の取材も多数。「相続税を減らす生前の不動産対策」(幻冬舎)など著書多数。
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