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2018年「都道府県地価調査」全用途は全国平均で27年ぶりに上昇

2018年09月19日

国土交通省は18日、7月1日時点の「都道府県地価調査」の結果を公表した。全国平均の地価は、全用途で0.1%の上昇と、91年以来27年ぶりに下落から上昇に転じた。うち、住宅地は0.3%の下落と、下落幅が0.3ポイント縮小。商業地は1.1%の上昇と、2年連続で上昇し、上昇幅は0.6ポイント拡大し上昇基調を強めている。

住宅地は交通利便性や住環境の優れた地域を中心に需要が堅調。商業地は外国人観光客増加による店舗、ホテル需要の高まりと、再開発事業などの進展による繁華性向上に加え、主要都市でのオフィス空室率の低下と賃料上昇による収益性の向上などを背景に投資需要が拡大している。また、工業地も0.5%の上昇と、27ぶりに上昇に転じた。

三大都市圏は各圏域で住宅地と商業地ともに上昇基調を強めている。住宅地は、上昇幅が0.3ポイント拡大し0.7%の上昇。東京圏は+1.0%(前年+0.6%)、名古屋圏は+0.8%(+0.6%)と上昇幅が拡大、大阪圏は+0.1%となり、4年ぶりに横ばいから上昇に転じた。商業地も上昇幅が0.7ポイント拡大し4.2%の上昇。東京圏が+4.0%(+3.3%)、大阪圏が+5.4%(+4.5%)、名古屋圏が+3.3%(+2.6%)と、いずれも上昇幅を拡大した。

一方、地方圏でも地価の回復傾向が鮮明になってきた。札幌市・仙台市・広島市・福岡市の地方四市は、住宅地が+3.9%(+2.8%)、商業地が+9.2%(+7.9%)と、三大都市圏を上回る上昇が続く。その他の地方圏も、住宅地が△0.9%(△1.1%)、商業地が△0.6%(△1.1%)と下落幅が縮小。地方圏全体でも、住宅地が△0.8%(△1.0%)、商業地が△0.1%(△0.6%)と下落幅が縮小している。

都道府県別にみると、住宅地では千葉県と京都府、広島県が新たに上昇に転じ、上昇した都道府県数は前年比3増加して11となった。京都府は△0.3%から+0.0%となり、広島県も△0.4%から+0.0%とマイナスを脱した。一方、2%以上下落した都道府県数は前年比3減少して、秋田県と三重県のみとなった。

商業地は、北海道と富山県が上昇に転じ、上昇都道府県数は19となった。北海道は△0.5%から+0.1%、富山県は△0.1%から+0.1%となった。また、2%以上の下落は3減り、岩手県と秋田県のみとなった。商業地ではリーマンショック前との比較で、昨年の沖縄県に加え、京都府と大阪府、東京都、愛知県で08年当時の地価指数を超えた。

地点別の動向をみると、住宅地の変動率上位10のうち、トップ3を北海道・倶知安町が占めた。ニセコ観光圏内で、外国人による別荘地需要が旺盛だ。ただし、価格自体は元々安いので変動率の数値は出やすい。そのほか、沖縄県内が6地点、福岡県が1地点ランクインした。那覇市内の地点はマンション需要やホテル需要が強く地価が上昇。

福岡県の大野城市内の地点は博多地区や天神地区へのアクセスに優れ、マンション需要が強い。商業地も上昇率1位となったのは北海道・倶知安町だった。そのほか、上位10位に京都市内が5地点入った。いずれも、インバウンド増加によるホテル需要と店舗需要の強まりが影響している。

なお、最高価格は、東京都中央区・銀座の明治屋銀座ビルの地点で、㎡単価は前年比7.7%上昇となる4190万円となった。バブル期の最高額3800万円を2年連続で上回り、調査開始以来過去最高額となった。

◎東京圏住宅地、西日暮里が上昇率トップ

東京圏の住宅地をみると、都心部から周辺部へと上昇が拡大。荒川区、文京区に加え、北区、豊島区、台東区、墨田区、品川区、板橋区、新宿区、江東区が新たに5%以上の高い上昇となった。2年連続で東京圏で1番高い伸びとなったのは荒川区で、上昇率+8.7%(+5.3%)だった。都心へのアクセスがよくなり、都心部に比べ割安感のある23区北東部の住商混在地域で上昇幅の拡大が目立った。地点でみると、上昇率が最も高かったのは、荒川区西日暮里4丁目の地点で+10・1%。

商業地をみると、5%以上の高い上昇を示す区が中心区から周辺区に拡大。北区、江東区、墨田区、板橋区、足立区、葛飾区、江戸川区も5%以上の高い上昇となった。23区で5%未満の上昇に留まったのは、目黒区と大田区、練馬区のみ。東京圏で最も高い伸びを示したのは中央区で+9.9%(+8.0%)。

地点別でみると、上昇率が最も高かったのは、新宿区歌舞伎町1丁目の地点で+20.0%。また、千葉県の市川市と浦安市、横浜市の神奈川区も5%以上の高い上昇となった。市川市はリーマンショック後の下落から、16年に上昇へと転じ、今回5.7%の上昇となった。

(提供:日刊不動産経済通信)

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