世界から見た日本の姿とは?

外国人が抱く日本のイメージや日本のすばらしい点をご紹介!


外国人観光客は新型コロナの影響で大きく減少しましたが、インバウンド需要は回復の兆しを見せています。
今後の日本のインバウンド需要には大きなポテンシャルがあるといえるでしょう。日本を訪れる外国人は今後さらに増えると思われますが、外国人が抱く日本のイメージはどのようなものなのでしょうか。

この記事では、世界から見た日本の姿を解説し、外国人が抱く日本のイメージや日本のすばらしい点をご紹介します。

Ⅰ.世界から見た日本の姿とは?

はじめに、世界から見た日本の位置と気候、自然環境について、JICE(一般財団法人国土技術研究センター)や環境省、中学校社会地理の教科書、世界地図などを参考に、概要についてご紹介します。

世界から見た日本の位置

日本はユーラシア大陸の東にある島国で、およそ東経120度から150度、北緯20度から45度の間に位置します。日本と同じ経度にある国は、ロシアやインドネシア、オーストラリアなどです。韓国や中国、インド、イラク、アメリカなどは、日本と同じ緯度にあります。

日本の最北端は北方領土の択捉島、最南端は沖ノ鳥島、最西端は与那国島、最東端は南鳥島です。日本の国土面積は約37万8000平方kmで世界第60位ですが、海域の面積は約447万平方kmもあり、世界第6位の海域の広さを誇ります。

日本は世界有数の海洋大国といえるでしょう。

出典:JICE 一般財団法人国土技術研究センター

世界から見た日本の気候

日本の本州・四国・九州は主に温帯に属し、四季の変化が明確であることが特徴です。北海道は亜寒帯(冷帯)に属し、冷涼で冬の寒さが厳しく、降水量は少なめで梅雨がありません。

日本海側は冬に雪が多いのが特徴です。太平洋側は晴天の日が多いのですが、夏は雨が多く降ります。内陸は1年を通して雨が少なく、夏と冬では温度差が大きいことが特徴です。

瀬戸内は1年を通して温暖で、降水量は少なめです。南西諸島は1年を通して雨が多く、特に秋は台風が通るため降水量は多くなります。冬は温暖で夏の気温は本州とあまり変わりません。

世界から見た日本の自然環境

日本列島の70%近くは森林で、変化に富んだ山と川と海があり、豊かな自然に恵まれていることが特徴です。北海道には原生的な自然が残っており、広大な湿原など本州にはない景観が広がっています。

日本の南方は亜熱帯に属し、小笠原諸島にはオガサワラオオコウモリなどの固有種が生息しています。

世界自然遺産に登録されているのは、「白神山地」「屋久島」「知床」「小笠原諸島」「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の5ヶ所です。

日本は小さな島国ですが、地形や気候の変化が大きく、多様な自然が大きな魅力です。

Ⅱ.世界から見た日本のランキング

世界から見た日本を知るうえで、ランキング調査の結果は参考になります。ここでは、「世界のベスト・カントリー・ランキング」と「観光魅力度ランキング」の日本のランキングをご紹介します。

世界最高の国ランキング

U.S.ニュース&ワールド誌が発表した「世界のベスト・カントリー・ランキング2022」によると日本は第6位でした。ランキングは以下の通りです。

  • 1位 スイス
  • 2位 ドイツ
  • 3位 カナダ
  • 4位 アメリカ
  • 5位 スウェーデン
  • 6位 日本
  • 7位 オーストラリア
  • 8位 イギリス
  • 9位 フランス
  • 10位 デンマーク

2021年の日本のランキングは2位であり、2022年は順位を落としました。日本が順位を落とした理由は、少子高齢化が懸念されていることや、北朝鮮問題などの外交上の懸念事項があるためです。一方で、自動車、電子機器、鉄鋼の生産量は世界トップクラスにあることや、伝統的な芸術、食文化、武道など文化的影響力の大きい点が高く評価されています。

出典:Methodology: How the 2022 Best Countries Were Ranked

観光魅力度ランキング

世界経済フォーラムが発表した「2021年 観光魅力度ランキング」で、日本は初の第1位に輝きました。ベスト10は以下の通りです。

  • 1位 日本
  • 2位 アメリカ
  • 3位 スペイン
  • 4位 フランス
  • 5位 ドイツ
  • 6位 スイス
  • 7位 オーストラリア
  • 8位 イギリス
  • 9位 シンガポール
  • 10位 イタリア

日本が1位になったのは、交通機関の本数の多さや鉄道サービスの正確さ、航空サービスの値段など、交通インフラが充実している点が高く評価されたからです。また、殺人発生率の低さやモバイル端末の普及率、大型競技場の数も高く評価されています。

課題になっているのはデジタル化・DX化の遅れです。1位をキープするには、観光業のデジタル化・DX化を推進させることが重要になってくるでしょう。

出典:Travel & Tourism Development Index 2021 overall rankings

Ⅲ.外国人が抱く日本のイメージ

首相官邸が調査した「各国における日本に対するイメージ」によると、「科学技術が発達した国」「豊かな伝統と文化を持つ国」など、良いイメージを抱いている外国人が多いようです。ここでは、外国人が抱く日本のイメージを項目ごとにご紹介します。

出典:首相官邸「各国における日本に対するイメージ」

自然

総務省がアメリカ、イギリス、ドイツ、韓国、中国、オーストラリア、インドの7ヶ国を対象に行った「外国人から見た日本の ICT・文化」によると、韓国を除く6ヶ国で最も関心が高いのは「日本の自然」という回答が得られました。

日本は多様な自然が大きな魅力ですが、外国人も日本の美しい自然に魅了されているようです。海外の旅行サイトでは、京都嵐山の竹林や温泉につかるニホンザルで有名な地獄谷野猿公苑、国営ひたち海浜公園などが絶景スポットとして紹介されています。

富士山も人気が高く、外国人も日本人と同じように神聖で美しい山と感じるようです。山梨の新倉山浅間公園は富士山を一望できることで人気が高く、桜の季節には桜と富士山、五重塔をセットで臨めるため、大勢の外国人観光客が訪れます。

出典:総務省「外国人から見た日本の ICT・文化」

歴史・伝統文化

日本の歴史や伝統文化も、外国人から高い関心を持たれています。総務省の「外国人から見た日本の ICT・文化」によると、アメリカ、イギリス、ドイツ、オーストラリア、インドの5ヶ国は、「神社・寺院」に高い関心を持っていると回答しています。

韓国と中国は日本と同じ東アジア文化圏に属することもあり、欧米諸国と比べると日本の歴史や伝統文化への関心は低いようです。

外国人に人気のある神社・寺院は高野山や禅林寺永観堂で、厳かな雰囲気を満喫できるという外国語のコメントが数多く寄せられています。また、訪日する外国人の間では、着付けや茶道、書道などの日本の伝統文化を体験できるサービスの人気も高いです。

出典:総務省「外国人から見た日本の ICT・文化」

食文化

日本食の人気は非常に高く、タキイ種苗株式会社が実施した「日本の食文化に関する意識調査」によると、ラーメンや寿司・刺身、天ぷらの人気が特に高いです。お好み焼きやカレーライスも人気があります。

日本食のすばらしい点は「食材が新鮮」「盛りつけが美しい」「低カロリーでヘルシー」という回答が多く、日本食は外国人に良いイメージを持たれています。美味しいと感じた野菜は、「さつまいも」「トマト」「カボチャ」という回答が寄せられました。

日本食の人気は世界的に高まっており、総務省「外国人から見た日本の ICT・文化」によると、いずれの国も日本食に高い関心を示しており、韓国では日本食が1位になっています。

出典:タキイ種苗株式会社「日本の食文化に関する意識調査」

出典:総務省「外国人から見た日本の ICT・文化」

ポップカルチャー

ポップカルチャーでは日本のアニメは海外でも人気が高く、日本のイメージはアニメと回答する外国人は日本のアニメはクオリティの高さが評価されており、ジャンルが多岐にわたることも人気の理由になっています。

内閣府が実施した「クールジャパンの再生産のための外国人意識調査」によると、日本に興味を持ったきっかけはアニメ・マンガ・ゲームと答える外国人は多く、アニメは日本のイメージ向上に大きく貢献しています。

特に、スタジオジブリの作品の評価は高く、ジブリ作品がきっかけで日本のアニメが好きになったという外国人は多いです。マンガはフランスでの人気が高く、毎年パリで「Japan Expo」が開催されています。

出典:内閣府「クールジャパンの再生産のための外国人意識調査」

日本人

首相官邸が実施した「各国における日本に対するイメージ」によると、ほぼ全ての国で「日本の人々が親切・礼儀正しい」と高く評価されています。訪日後に日本人は親切だったと回答する国も多く、体験を通して良いイメージを持たれるケースも多いようです。

内閣府「クールジャパンの再生産のための外国人意識調査」でも、「日本・日本人の際立った魅力は何だと思いますか?」の質問に対する回答は、欧州、北米、アジアのいずれも「礼儀正しさ」がトップです。

しかし、外国人のなかには日本人の礼儀正しさに距離感を覚え、コミュニケーションが取りにくいと感じる人もいます。これに関しては人それぞれです。

出典:首相官邸「各国における日本に対するイメージ」

出典:内閣府「クールジャパンの再生産のための外国人意識調査」

日本製品

株式会社ビデオリサーチが実施した「ジャパンブランド調査2019」によると、「日本の製品は優れている」と回答した外国人は82.3%で、全体の8割を超えています。特にASEAN諸国では9割を超え、日本製品は圧倒的な信頼感が得られていることがわかります。

日本製品のイメージは、1位が「ハイテク」、2位は「高性能」、3位は「信頼できる」です。東アジアでは、1位が「丁寧に作られていそう」、2位は「繊細な・細やかな」、3位は「信頼できる」と、他国とは少し異なる印象を持たれています。

日本製品は良いイメージを持たれていますが、「おしゃれな印象」という点はあまり評価されていません。この点が今後の課題です。

株式会社ビデオリサーチ「ジャパンブランド調査2019」

治安

外国人から日本は治安の良い国と思われています。日本では女性が1人で夜道を歩いても問題ありませんが、海外では危険な行為です。また、日本では財布を落としても戻ってきますが、海外ではまず戻ってきません。

日本には自動販売機が多いですが、海外では防犯上の理由から自動販売機は少ないです。日本の治安の良さは海外でも知られており、訪日した外国人は治安の良さに驚きます。治安が良い安全な国と外国人から思われることは、日本にとって良いことでしょう。

なお、世界平和度指数(Global Peace Index)によると、日本は10位にランクインしています。

  • 1位 アイスランド
  • 2位 ニュージーランド
  • 3位 アイルランド
  • 4位 デンマーク
  • 5位 オーストリア
  • 6位 ポルトガル
  • 7位 スロベニア
  • 8位 チェコ
  • 9位 シンガポール
  • 10位 日本

出典:2022 Global Peace Index

スポーツ

スポーツ庁が実施した「スポーツツーリズムに関する海外マーケティング調査報告書」によると、日本で経験してみたい「みる」スポーツツーリズムは、「大相撲」「武道(柔道、空手、剣道、合気道など)」という結果が出ました。

外国人は相撲や武道など、日本の伝統的なスポーツに興味があるようです。一方、日本で経験してみたい「する」スポーツツーリズム は、「スノースポーツ」がトップでした。日本のスキー場は良質なパウダースノーで、外国人からの人気を集めています。

サッカーは世界的に人気のあるスポーツですが、日本のサッカーはカタールW杯でドイツに勝ったことで話題になり、日本代表チームはカタールで大人気になりました。

出典:スポーツ庁「スポーツツーリズムに関する海外マーケティング調査報告書」

経済力

首相官邸「各国における日本に対するイメージ」によると、「経済力・技術力の高い国」「経済的に進んでいる国」「経済力と先進テクノロジーの国」「先進技術超大国」というイメージを持たれています。

株式会社ビデオリサーチが実施した「ジャパンブランド調査2019」でも、「日本が世界経済の発展に貢献している」と答えた人が73.9%で、ASEANでは85.5%という高い結果が出ています。

また、「日本は今後も経済的に成長する」と79.2%の人が回答しており、外国人からは今後も日本は経済発展すると考えられているようです。しかし、東アジアでは61.6%と相対的に低く、これは中国の存在が大きいと思われます。

出典:首相官邸「各国における日本に対するイメージ」

株式会社ビデオリサーチ「ジャパンブランド調査2019」

戦争

戦争については、第二次世界大戦や原爆、真珠湾などをイメージする外国人が多く、中国や韓国では歴史観に絡んだ意見も見られます。欧米圏からの旅行者は広島に対する関心度が高く、コロナ禍前は3年連続100万人を超える外国人が広島を訪問しました。

欧米からの旅行者には広島が人気の観光スポットになっており、原爆ドームや平和記念資料館には多くの外国人が訪れます。歴史の授業で広島のことを知り、戦争の悲惨さを象徴する原爆ドームや平和記念資料館を訪問したいと思うようです。

宮島や厳島神社、しまなみ海道も外国人に人気が高く、原爆ドームや平和記念資料館と一緒に訪問することがよくあります。

Ⅳ.まとめ

世界から見た日本は小さな島国ですが、豊かな自然に恵まれた世界第6位の海域の広さを誇る海洋大国です。外国人の多くは日本に対して良いイメージを抱いており、美しい自然や歴史・伝統文化、日本食などは高く評価されています。

日本人に対しては礼儀正しいというイメージが多く、日本製品も圧倒的な信頼感が得られています。現在の日本はさまざまな課題を抱えていますが、外国人から高く評価されている強みを活かすことが大切になるでしょう。

そんな日本のインバウンド需要にかんしては、今後に大きな期待が持てます。日本には豊富な観光資源がありますから、それをより上手に活かすことによって、さらに多くのインバウンド需要を取り込むことができるでしょう。最近では体験型の観光コンテンツが人気を集めています。外国人観光客が家庭料理を通じて日本文化を楽しむことのできる料理教室などもあり、一般的な観光では味わうことのできない体験を提供しています。このような観光コンテンツの多様化によって、より多くのインバウンド需要を取り込むことができるのです。

北浦 章弘

大学卒業後、不動産コンサルティング会社に入社。 専業トレーダーを経て、2011年よりフリーランスライターとして活動を始める。 金融や不動産を中心に、さまざまなジャンルにおいて豊富な執筆実績がある。 保有資格:宅地建物取引士

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