事例
地方都市の一等地にある収益不動産を、東京の法人が価値を見出し購入
今回紹介するのは、地方都市の中心地にある不動産の売買事例です。
広島県広島市の中心街、しかも大通り沿いの一等地にある土地と事業用ビルで、非常に希少価値の高い不動産ですが、管理の状態などに課題もありました。
最終的に購入されたのは、当社と継続的に取引をしている東京に本拠地を置く不動産会社ですが、広島の売主様と当社との関係性構築、またどのように成約に至ったのかなど、経緯や要因を野村不動産ソリューションズ法人営業本部広島営業所の須賀芳浩が質問形式で答えます。
今回の事例概要
所在地 | 広島県広島市 |
---|---|
土地面積 | 186.51坪 |
物件種別 | 一棟ビル |
建物概要 | SRC造 地下1階・地上8階建て 延床面積:1,535.76坪 |
建物築年 | 1981年 |
用途 | 事務所・車庫・店舗 |
業種 | リサイクル業 |
---|
業種 | 不動産業 |
---|
Ⅰ.今回の取引の経緯は?
資金需要ニーズが生じた売主様から、グループ企業を通じてご相談
2019年に不動産所有企業(売主様)から、当社のグループ会社でビル・マンションの運営管理を行う野村不動産パートナーズの紹介を通じて、相談を受けたことが最初です。売主様は、野村不動産パートナーズが管理を受託しているビルのオーナー様でした。
都市計画道路の計画地内にある本社を移転するにあたり、拡張移転を視野に入れた設備投資のための資金がいずれ必要となるため保有していた収益不動産(今回の物件)については売却も検討したいというお話でした。けれども売主様企業の経営陣の間で意向が異なり、3年ほどご検討が進まない状態が続いていました。
2022年9月に売主様の本社移転先の目途がたったことから、いよいよ設備増強のための資金が必要となったため、売却のご検討が具体的になっていった経緯があります。
Ⅱ.取引における課題は?
築年数、メンテナンス状態、高めの売却希望価格がハードルに
対象不動産は広島の中心街で大通り沿いと、立地は申し分ありません。しかし、建物は築40年近くが経過しており、旧耐震構造でした。また、設備の更新や必要な修繕が十分ではなかったり、図面などの資料が揃っておらず、建物の状況を把握しづらいなどの課題がありました。
売却希望価格も大きなハードルになりました。売主様の社長は売却に前向きでしたが、決定権者である会長が十数年前に取得した思い入れのある不動産で売却には基本的に反対、周辺相場より高めの金額であれば売却しても良い、というお考えでした。
また、売却の意向を広く周知することは避けたいご希望で、水面下で売却活動を行う必要がありました。
Ⅲ.どのように推進した?
買主様候補を「東京の不動産会社」に絞ってアプローチ
ご相談いただいた2022年9月頃はコロナが明け、不動産市況にも活気が戻り、不動産価格は高値を更新し続けていました。移転までにはまだ2〜3年ほどの時間的な余裕があったため、売主様には「売り急ぐ必要はないものの、市況が良く、高価格で売却できるうちに早めに売却したほうがいいかもしれない」と可能性を伝えていました。マーケットの状況を好機と捉えての提案です。
売却活動を進めながら、定期的に売主様に打診先の反応などを報告していましたが、西日本エリアで買主様候補を見つけることは難しい印象でした。地元で購入検討をされる企業の多くは以前からの取引相場が判断基準になるため、近年の都市圏の相場や利回りとは感覚的な乖離があり、「価格が高い」と感じられたようです。
また設備の更新や修繕が十分でない点や、図面などの資料が揃っていない中で取引をするには、自社で不動産の目利きができ、現況に納得した上で購入できる買主様であることが第一条件となります。そこで「東京の不動産会社」にターゲットを絞って話を進めました。取得した不動産をバリューアップして賃貸したり、再販することなどが可能です。
水面下で根気よく売却活動を行ったところ、2022年の12月、以前に当社と取引のあった不動産会社から良い反応が返ってきました。当社とは以前から良好な関係が築けており、設備更新などの課題についても率直に共有したところ、売主様が意識されていた「この金額以上であれば」という金額で合意できたのです。
Ⅳ.成約の要因は?
ターゲットを絞り込む販売戦略と、全国の顧客ネットワーク
売主様の希望を実現するため、売却する不動産の状態や、全体の市況をふまえつつ、どのような買主候補にアプローチすればよいかを絞り込んで探せたことが最大のポイントでしょう。この不動産の価値を理解し、自社でバリューアップできる買主様だからこそ、売主様のご希望に沿う価格での売却を実現できました。
また、顧客像を設定した後、非公開で全国の顧客から購入可能性の高い買主候補をリストアップできるネットワークがあることも鍵となりました。
日本全国、各拠点が連携することでお客様の多様なニーズに対応
Ⅴ.野村不動産ソリューションズ、および法人営業本部の強みは?
グループの総合力と専門性を活かしたソリューションをワンストップで提供
当社は全国展開しており、地域を超えて国内外の投資家や企業などたくさんの買主様候補を紹介することができます。今回のように地方都市の難易度の高い不動産を東京の会社が購入する形のほか、東京や条件の良い地方の不動産を全国の富裕層に紹介するケースなども多くあります。
その中で私たち法人営業部は野村不動産グループの窓口となり、グループの総合力を活かしたソリューションを提供しています。今回のようなお客様・取引先の紹介のほか、グループ内でオフィスビルや物流施設、ホテルなどの開発や運営・管理・資産運用までを行う実績とノウハウがあることがお客様のサポートにも活かされています。
法人営業本部が窓口となり、お客様に野村不動産グループの総合力を活かしたソリューションを提供
また業界ごとに窓口を設け、各業界の特性にあわせてサポートを提供する専門セクター体制を採用しています。各セクターとは別に、マーケット分析や企画提案を行うリサーチ・コンサルティング部などの専門部署とも連携することにより、お客様の期待を超えるソリューションを提供できるよう心がけています。
Ⅵ.最後に一言どうぞ
お客様の望むお取引を、さまざまなコミュニケーションを通じて実現します
お会いして初めて伝わるニュアンスもあるので、私はお客様と重要な話をするときには、基本的には直接お会いして対面でお話しすることを心掛けています。一方で、全国の担当者や専門家とオンラインで繋いでお客様にプロならではの知見や情報を提供することも。お客様にとって最善・最良な形でお取引をサポートすることを第一に考えています。
また私は日々、不動産に携わっていますが、お客様にとっては不動産の売買が一生に一度か二度、あるかないかという方もいらっしゃいます。お客様との貴重なご縁を大事にして、お客様の望むお取引を実現できるよう、精一杯サポートさせていただきます。
提供:法人営業本部 リサーチ・コンサルティング部
企業不動産に関するお悩み・ご相談はこちらから