キャップレートの動向 ~最新の不動産投資家調査(2022年10月)より~

国内で緩和的な金融政策が維持されていることなどを受け、丸の内・大手町地区のオフィスのキャップレート(期待利回り)は過去最低の水準を更新した。
11月25日、日本不動産研究所が「第47回 不動産投資家調査」(2022年10月現在)の結果を発表した。キャップレートはオフィスや住宅、物流施設の多くの地区で前回調査からの低下がみられた。ホテルは1年ぶりにキャップレートが低下した。

Ⅰ.オフィス(Aクラスビル)のキャップレートは丸の内・大手町地区で過去最低の水準を更新

丸の内・大手町地区のキャップレートは、過去最低水準となった前回からさらに低下し3.2%となった。緩和的な金融政策のほか、注目度の高かった大型の取引などが影響したとみられる。また多くの地方都市で利回りが低下した。特に札幌では前回比0.2ポイントの低下となり、再開発機運の高まりによる賃貸市場のひっ迫が、期待利回りに反映される結果となった。

Ⅱ.賃貸住宅のキャップレートは札幌と広島のワンルームタイプで大きく低下

東京城南・ワンルームタイプのキャップレートは前回比0.1ポイント低下し、初めて4%を下回った。また札幌と広島のワンルームタイプでは前回比0.3ポイントの大幅低下となり、その他都市との利回り差は縮小した。コロナ禍、一定の利回り水準を確保できる地方賃貸住宅が注目されてきたが、その優位性は縮小しつつある。

Ⅲ.商業店舗のキャップレートは一部の地区で低下

商業店舗のキャップレートは、前回比で低下の地区と横ばいの地区が混在する結果となった。なお都心型高級専門店の京都では、4年ぶりにキャップレートが低下した。

Ⅳ.物流施設のキャップレートはさらに低下傾向

物流施設のキャップレートは引き続き低下傾向で、マルチテナント型・湾岸部は名古屋(名古屋港)、大阪(大阪港)、福岡(博多港)が前回比0.1ポイント低下した。

Ⅴ.ホテルのキャップレート低下は1年ぶり

ホテルのキャップレートは、行動制限や水際対策の緩和を背景とした観光需要の回復期待などから、東京、札幌、仙台、京都、福岡で前回比0.1 ポイント低下した(ホテルのキャップレート低下は1年ぶり)。

※キャップレート(期待利回り)… 投資物件の収益性を評価する際の指標の一つ。通常、対象不動産が生み出す純収益(家賃収入から管理費や固定資産税などの諸経費を差し引いた純粋な収益、NOI)をキャップレートで割ると投資価値となる。

提供:法人営業本部 リサーチ・コンサルティング部

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