【横浜市西区】横浜駅周辺の帰宅困難者対策や津波対策を含め、多角的な取り組みを進める横浜市西区の防災対策
横浜市「西区」は市のほぼ中央に位置する区で、神奈川県庁や横浜市役所がある「中区」の西側にあります。
面積6.98キロ平方メートル(横浜市域の1.6%)と横浜市18区の中で最も小さいながら、鉄道6社が乗り入れる「横浜」駅や「みなとみらい21地区」を擁しており、中区とともに横浜市の中心的な行政区となっています。
西区は帷子川(かたびらがわ)水系の河口部に位置しており、東側は東京湾に面しています。地形的には、中央部は平坦な河口低地と埋立地、そしてそれを挟むように南北に丘陵地が広がっています。
「横浜」駅周辺や「みなとみらい地区」は土地の高度利用が進み高層ビルが建ち並んでいますが、その一方で古い木造家屋が比較的密集している地域もあります。
このような特徴を持つ横浜市西区の防災対策をチェックしてみましょう。
防災の基本計画となる「西区防災計画」は、震災対策編および風水害等対策編からなります。
震災対策編では「元禄型関東地震」、「東京湾北部地震」、「南海トラフ巨大地震」による被害を想定した上で、被害を減らすべく対策などをまとめています。さらに、揺れの影響は大きくないものの津波の被害が懸念される「慶長型地震」についても検討対象としています。
また、地震発生時には「横浜」駅周辺エリアで多くの帰宅困難者の発生が予想されることから、防災計画の中でも「帰宅困難者対策」として一章を設け、混乱防止対策や一時避難対策などについて具体的にまとめています。
風水害等対策編では、河川に囲まれ海にも面していることによる高潮リスク、都市化に伴う地下空間の浸水リスク、および土砂災害リスクなど、西区の地域特性によるリスクを想定し、家庭・地域・行政の防災対策についてまとめています。
なお横浜市では、災害に関する地域の総合情報を盛り込んだ「わいわい防災マップ」をホームページで公開しています。
地震の際の震度分布や液状化リスクのある場所、避難場所、公衆トイレの場所、帰宅困難者一時滞在施設、避難に適する道路・適さない道路など、さまざまな情報を即座に入手でき、スマートフォンにも対応しています。
横浜市西区では、洪水ハザードマップ(想定最大規模)や土砂災害ハザードマップなどの情報を一枚の地図に集約した「西区防災マップ」を作成しています。
このマップには、西区で震災が発生した場合の指定避難所(地域防災拠点)や大規模火災発生時の広域避難場所、給水所などの情報も落とし込まれています。
地域防災拠点としては区内の小中学校12ヵ所が、また広域避難場所としては三ツ沢競技場一帯、紅葉ケ丘一帯、野毛山公園、久保山墓地の4ヵ所が指定されています。
その横には「津波避難対象区域図」も併せて掲載されており、津波が発生した際の各地域の予想浸水レベルのほか、「津波避難施設」の場所もわかるようになっています。
外国人居住者が多いことから、「西区防災マップ」は日本語版のほか英語・中国語・韓国語・ネパール語・ベトナム語版も用意されています。
「西区洪水ハザードマップ」は、帷子川水系の河川の氾濫を想定したものであり、1時間で約93mmの降雨を前提とした「計画規模」版と、24時間で約390mmの降雨を前提とした「想定最大規模」版があります。
災害に関する情報の入手手段や、警報や注意報など避難情報別の行動の仕方、浸水に対する日頃の備え、大雨の際の注意点など情報面も充実しています。
このほか、下水道の能力を超える大雨の際の浸水予想をまとめた「西区内水ハザードマップ」、土砂災害の恐れのある区域や避難場所を示した「西区土砂災害ハザードマップ」なども閲覧することができます。
いざという時に慌てないよう、平常時からチェックして備えておくとよいでしょう。
西区では2019(平成31)年より、横浜市内初の取り組みとして『もしもにそなえる防災ノート』を作成し、母子健康手帳の交付時に無料配布しています。
これは子供の誕生に合わせて各家庭で防災について考え、災害に備えるきっかけになるようにと作成されたもので、出産・育児の各段階に合わせた情報も掲載されています。
将来の地域防災の担い手となる小・中学生向けの防災ガイドも作成しています。『僕たち・私たちにできること~横浜に大きな地震が起きたとき~』と名付けられたこの防災ガイドはマンガ形式になっており、防災を身近なこととして捉えながら読み進めることができます。
さらに2021(令和3)年3月には、区民からの要望をもとに、高齢者向けの防災情報をまとめた『西区シニア世代のための防災リーフレット』を作成しました。
日頃の備え、健康づくり、つながりづくり、および災害時の行動がA3サイズ1枚にまとめられており、そばに置いていつでも見やすいよう工夫されています。
防災においては地域での日頃からの「顔の見える関係づくり」が大切であることから、西区ではそのためのさまざまな取り組みも進めています。その一つが「あんしんカード」です。
「あんしんカード」は、災害時や緊急時に、駆けつけた人に必要な情報がわかるように緊急連絡先などを記載しておくカードです。自治会・町内会などが高齢者や障害のある方の家を訪問してカードを対面配布するという地域ぐるみの活動を通して、顔の見える関係づくりが広がっています。
また、自治会・町内会など町の防災組織が行う自主防災活動に対して、補助金の交付も行っています。防災訓練、備蓄品の購入、防災のための講演会や研修会、防災マニュアルや防災マップの作成、AEDの購入やリース、防災パトロールなどの活動が対象となっており、地域での防災活動を幅広く支援しています。
さらに西区は2021(令和3)年10月、「株式会社ジェイコム湘南・神奈川 横浜テレビ局(J:COM)」との間に「災害時における地域支援の協力に関する協定」を締結しました。
これまで同社との間で構築していた「災害情報の放送等」についての協力体制に加えて、同社社員による人的支援や、同社の保有車両および救援物資等の提供などの支援を得られることで、災害対応力のさらなる向上が期待されます。
このように横浜市西区では、地域住民や在勤・在学者をはじめ買い物客、観光客などすべての人々の安全を守るため、官民が連携してさまざまな取り組みを行っています。
- 掲載日
- 2022/02/25
本記事は、(株)ココロマチ が情報収集し、作成したものです。記事の内容・情報に関しては、調査時点のもので変更の可能性があります。