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【横浜市青葉区】災害時医療体制や情報伝達システムなど地域と連携して進める青葉区の防災対策

 
たまプラーザ駅前の街並み「たまプラーザ」駅周辺の街並み

横浜市「青葉区」は市の北西部に位置する区で、西は東京都町田市、北は川崎市に接しています。1994(平成6)年の行政区再編成によって港北区や緑区の一部から誕生した、比較的新しい区です。

区域の約65%が区画整理により計画的に開発された市街地で、街路樹の数や公園の数は横浜市18区の中でも最多です。区名の通り、木々に囲まれた緑豊かな美しい街並みが形成されており、憧れの住宅地として根強い人気を誇る「美しが丘」や「あざみ野」などを擁します。

地形的には「丘の横浜」と呼ばれるように、丘陵が多いのが特徴です。また、区の中心を南北方向に流れる鶴見川に沿って豊かな田園風景が広がっており、市内でも農業が盛んな地域です。

青葉区の地域特性を踏まえた「青葉区防災計画」

青葉区の防災の基本計画となる「青葉区防災計画」は、震災対策編風水害等対策編および資料編からなります。

震災対策編においては、相模トラフ沿いを震源とするマグニチュード8.1の「元禄型関東地震」、マグニチュード7.3の首都直下地震「東京湾北部地震」、東海地震を包括したマグニチュード9クラスの「南海トラフ巨大地震」を想定し、対策を検討しています。

このうち想定される建物被害や人的被害が最も大きいのは元禄型関東地震ですが、避難者数や上水道の断水世帯数については、青葉区では東京湾北部地震のほうが多くなっており、どの地震に対しても注意と準備が必要といえます。

なお横浜市では津波の被害が懸念される「慶長型地震」も検討対象としていますが、青葉区は海から離れており、津波の被害は見込まれていません。

 

防災マップとハザードマップを一本化した「青葉区民防災必携」
青葉区民防災必携(おもて面)青葉区民防災必携(おもて面)

青葉区では、万が一に備えた情報を一つにまとめた「青葉区民防災必携」を作成し、区役所などで配布しています。

これは、以前は別々に作成していた防災マップとハザードマップ(洪水・土砂災害など)を一本化したもので、震災時避難場所である「地域防災拠点」、大規模火災から身を守るための「広域避難場所」、大雨時の「洪水浸水想定区域」や「土砂災害警戒区域」など、地図で事前に確認しておきたい情報が一枚の地図に集約されています。

地域防災拠点としては区内41ヵ所の小・中学校を指定し、人命救助や避難生活に必要な水・食料・防災資機材を備蓄しています。

また広域避難場所としては、こどもの国、グリーンヒル鴨志田西団地一帯、桜台公園地区、桐蔭学園、すすき野団地一帯、たまプラーザ団地一帯、國學院大學グランド、かしの木台ハイツ一帯、横浜商科大学一帯、南長津田団地及び森村学園一帯、谷本公園一帯、川和高校、北八朔公園の計13ヵ所が指定されています。

青葉区民防災必携(うら面)青葉区民防災必携(うら面)

「青葉区民防災必携」のうら面では、洪水ハザードマップや内水ハザードマップが掲載されています。

日頃から目に触れる場所に置いておきたい、まさに「区民必携」のツールとなっています。

なお、横浜市が公開する「わいわい防災マップ」でも、こうしたハザードマップや避難所などの位置を確認できるほか、各地震による地域ごとの想定震度や液状化危険度なども調べることができます。スマートフォンにも対応しており外出先の情報も確認できるので、日頃からの備えに活用したいものです。

 

医療機関が多い青葉区の災害時医療体制

青葉区には260を超える一般診療所と「昭和大学藤が丘病院」をはじめとする10ヵ所の病院があり、横浜市内では港北区に次いで2番目に医療機関数(病院・一般診療所)が多い区です。ここではそんな青葉区の災害時の医療体制について紹介します。

1つめが「災害拠点病院」です。昭和大学藤が丘病院がこの災害拠点病院に位置付けられており、重傷者を中心に受け入れを行います。

2つめは「災害時協力病院」(7病院)です。ここでは一般診療所などで対応が難しい中等症の負傷者を中心に受け入れます。「横浜総合病院」、「市ケ尾病院」、「江田記念病院」、「青葉さわい病院」、「横浜新都市脳神経外科病院」、「たちばな台病院」、「緑協和病院」が指定されています。

3つめは「災害時地域定点診療拠点」(12ヵ所)です。青葉区では、震度6弱以上の地震が観測された場合に横浜市の防災計画で示されている医療救護隊による診療に加え、「定点診療」も行うこととしており、その役割を担うのがこの災害時地域定点診療拠点です。

小中学校の保健室など、地域防災拠点に併設され、近隣の医師等が参集してトリアージや軽傷者への応急医療を行います。

このほか地域防災拠点を巡回して応急医療を行う「巡回診療」も実施します。

また青葉区ではこうした体制がスムーズに機能するよう、大震災発生時に地域定点診療拠点で負傷者の救護活動に従事してくれる看護職「Yナース(横浜市災害支援ナース)」の募集も行っています。

 

独自の情報伝達システムを導入。ラジオアプリも活用して災害情報を発信
青葉区版防災情報伝達システムイメージ図青葉区版防災情報伝達システムイメージ図

災害が起きた時には、いかに正確な情報を迅速に入手するかが重要になってきます。青葉区では災害時の緊急情報発信手段の多重化を図るため、専用防災ラジオと電話を活用した独自の情報伝達システムを導入しています。

具体的には、避難勧告、特別警報、震度5強以上の地震など、重大な被害が予測され緊急性が高い場合に、このシステムを利用して自治会・町内会や地域防災拠点などに災害情報を伝達し、その情報を地域で活用することで災害の被害を減らすことを目指しています。

また、青葉区のコミュニティーFMラジオ局「FMサルース」と連携し、ラジオアプリを通しての情報発信も行っています。平常時はスマートフォンでFMサルースのラジオ放送を聴いたり、青葉区役所からのさまざまな暮らし情報を入手することができ、緊急時には避難情報や地震情報、気象情報などをアラームとプッシュ通知でリアルタイムに受信することができます。

また、災害関連情報を自動音声で知らせる「青葉区防災情報専用ダイヤル」も運用しています。避難情報や避難所開設情報などを自動音声で確認できるので、非常時にすぐにかけられるように専用電話番号をあらかじめ電話帳に登録しておくとよいでしょう。

このほか青葉区ならではの取り組みとして「あおば災害ネット」もあります。これは災害時に一人では避難が困難な方の安否確認や避難誘導が円滑に進むよう、あらかじめ「支えあいカード」を作成し、地域で情報を共有して災害に備えるシステムです。

このように青葉区では、横浜市全体としての防災対策に加え、区内の企業などとの連携により独自のシステム構築を進めるなど、区民の生活と命を守る防災対策に幅広く取り組んでいます。

掲載日
2022/05/27

本記事は、(株)ココロマチ が情報収集し、作成したものです。記事の内容・情報に関しては、調査時点のもので変更の可能性があります。

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