【下鴨】糺の森をはじめとする豊かな自然に寄り添う落ち着いた住宅街
賀茂川と高野川の石段
下鴨は「下鴨神社」を中心に広がる落ち着いた住宅地です。低層の住宅がゆったりと並ぶ街並みは美しく、京都市屈指の高級住宅街として知られています。エリアをはさむように流れて、合流する賀茂川と高野川の河川敷は明るく開放的で、「下鴨神社」に隣接する「糺の森」やエリア北部の「京都府立植物園」の深い緑とともに、この地の魅力となっています。
エリア北部にはおしゃれなレストランやパティスリーが並ぶ「北山通」があり、下鴨から少し足をのばせば、東には「修学院離宮」や「曼殊院」など名所旧跡の多い修学院・一乗寺エリア、西には「京都御所」や伊藤若冲ゆかりの寺「相国寺」もあるなど、京都らしい風情と楽しみを身近に感じられる街です。
街の中心に位置するのは市民から愛される「下鴨神社」
下鴨神社
下鴨エリアの中心にある歴史ある「下鴨神社」は、賀茂川と高野川との合流地点に位置する神社です。実は、この神社の正式な名称は「賀茂御祖神社(かもみおやじんじゃ)」で、鴨川の下流に祀られていることから「下鴨神社」という通称で呼ばれるようになったといいます。
この神社の歴史を紐解くと、紀元前90年に神社の修造が行われたという記録が残っていることから、それ以前に創建されたと考えられており、2000年を超える歴史があるとされています。平安時代には国と平安京を守る特別な神社として崇められ、同時代に執筆された「源氏物語」や「枕草子」にもたびたび登場します。
境内にある東本殿と西本殿は国宝に指定されているほか、1994(平成6)年には「古都京都の文化財」として世界文化遺産にも登録されました。毎年5月15日には「下鴨神社」と「上賀茂神社」の例祭で、京都三大祭りのひとつでもある「葵祭」が開催されます。当日は平安時代の装束を身にまとった人々の優美な行列が街を彩り、あたり一帯は華やかなムードに包まれます。
社家町の歴史を引き継ぐ閑静な住宅街
下鴨エリアの閑静な住宅街
「下鴨神社」の存在は、下鴨エリアの発展にも大きな影響を与えてきました。古くは「下鴨神社」の周辺には、農地が広がっていたといいます。室町時代、応仁の乱で京が焼け野原となった際、「下鴨神社」で神職を務める人々(社家)が、それまでの屋敷を引き払い、「下鴨神社」の周辺に集まって新しい屋敷を構え、社家町がつくられました。現在も「下鴨神社」の南西には、唯一現存する社家の屋敷として「鴨脚家」が残り、かつての社家町の佇まいを感じることができます。
明治以降、下鴨では宅地化が進展していきます。大正末期から始められた土地区画整理事業によりその勢いは増し、1934(昭和9)年には、下鴨エリア北部の北大路通りにも京都市電が延伸開業したことからさらに住宅が建てられ、現在のような閑静な住宅街が形成されていきました。
水と緑が身近な心安らぐ住環境
下鴨神社に隣接する「糺の森」
下鴨の住宅街を歩いていると目に入ってくるのが、家々の庭からあふれる豊かな緑です。また、「下鴨神社」の境内に広がる「糺の森」と呼ばれる神社林の深い森も、この地に潤いをもたらします。この森に生い茂る木々は古代からの樹種が自生したもので、ケヤキやエノキ、ムクノキなどの広葉樹を中心に、樹齢600年から200年の樹木が約600本もあるといいます。
エリア北部にある「京都府立植物園」も、このエリアを代表するもうひとつの緑豊かなスポットです。広い園内には、多種多様な花や木が植えられています。キソウテンガイやバオバブなどの熱帯植物が見られる温室のほか、絶滅危惧種園もあり珍しい植物を観察できます。もちろん梅や桜、バラ、紅葉など四季折々の花々も楽しめ、いつ訪れても美しい風景に出会うことができます。
さらに、下鴨では水辺の環境も魅力です。賀茂川と高野川との合流地点は公園として整備されており、人々の憩いスポットとなっています。川を眺めてのんびりとした時間を過ごせるほか、川の中に点々と設けられた飛び石を渡って出町柳方面へ向かう人もいます。春には、川沿いに植えられた桜並木が花ひらき、のどかな雰囲気の中のお花見も楽しめます。
周辺は文教エリアで、文化スポットも豊富
京都府立大学 下鴨キャンパス
下鴨エリア北部は「京都府立大学 下鴨キャンパス」、「京都工芸繊維大学」、「京都ノートルダム女子大学」などの大学のキャンパスのほか、中高一貫教育を行う「京都府立洛北高等学校・附属中学校」も校地を構える教育機関の多い地域です。学生が多く活気があり、アカデミックで洗練された雰囲気となっています。
また、京都市交響楽団が本拠地とするコンサートホール「京都コンサートホール」や、京都に関する歴史資料を閲覧できる「京都府立 京都学・歴彩館」もあり、芸術文化に触れられる機会も豊富です。
水と緑が織りなす美しい景観と、「下鴨神社」をはじめ、歴史と風情ある街並みの下鴨エリアでは、周辺の穏やかな環境もあいまって、静かな暮らしが実現できるでしょう。
- 掲載日
- 2023/01/04
本記事は、(株)ココロマチ が情報収集し、作成したものです。記事の内容・情報に関しては、調査時点のもので変更の可能性があります。