江戸時代、徳川将軍家は年中行事の一つとして鷹狩りを行っていました。

江戸近郊には鷹狩りを行う「御鷹場」が複数整備されました。当時この辺りは「駒場野」と呼ばれる広大な原野が広がっており、目黒の中でも駒場野や碑文谷原は格好の鷹場となっていました。

将軍家の鷹狩りは五代将軍・綱吉が出した「生類憐みの令」によって中止されますが、八代将軍・吉宗の時代を迎えて復活します。この頃になると、江戸近郊の6カ所の鷹場の中でも目黒の鷹場は、江戸からの距離や地形の関係からますます重宝されるようになりました。中でも、広大な原野が広がる駒場野は、最も好んで利用されていたそうです。

明治時代に入ると殖産興業政策の一環である勧農政策が行われ、駒場野の原野を開拓して1878（明治11）年に「駒場農学校」（現在の東京大学農学部などの前身）が設立されました。1881（明治14）年にはドイツの農芸化学者ケルネルが教師として招かれ、近代日本における農学の基礎づくりに大きな影響を与えました。

ケルネルが土壌や肥料の研究に使った我が国初の実験田「ケルネル田圃（たんぼ）」は、日本農学発祥記念の地とされ、140年ほどが経過した今でも「駒場野公園」の敷地内に維持・保存されています。現在も、筑波大附属駒場中学・高校の生徒たちによって伝統は受け継がれています。

京王井の頭線「駒場東大前」という駅名が示す通り、現在ここには「東京大学駒場キャンパス」が置かれ、教養学部などの学生たちが学んでいます。駅の北側に広がる広大なキャンパスは一般開放されており、散策コースとしても人気です。

駒場周辺は、東京大学以外にも「国立筑波大学附属駒場中・高等学校」、「私立駒場東邦中・高等学校」、「東京都立国際高等学校」、「東京都立駒場高等学校」など数多くの名門校が集まっており、都内でも有数の文教エリアとして知られています。

また、展覧会や講座・講演会など催しも多い駒場公園内「日本近代文学館」や、国内外の新古工芸品約17,000点が収蔵される「日本民藝館」、自然科学博物館と美術博物館で構成される東京大学駒場キャンパス内「駒場博物館」など、教養を深めることのできる文化施設も多く、これ以上ないほどの恵まれた教育環境を誇ります。

「駒場東大前」駅西口近くには、ケルネル田圃がある「駒場野公園」が広がっています。園内にはさまざまな樹木が植えられているほか、水遊びを楽しめるジャブジャブ池、野鳥観察ができるバードサンクチュアリ、デイキャンプができる広場も整備され、子どもも大人も身近に自然を感じられる公園として親しまれています。

線路を挟んで北側にある「駒場公園」は、旧加賀藩主前田家の16代当主・前田利為侯爵の邸宅跡で、「旧前田家本邸」とも呼ばれています。広大な敷地内では、外交団や皇族を招いて晩餐会を開くなど重要な社交の場にもなった「洋館」や、外国人客接待用に建てたといわれる書院づくりの「和館」が一般公開されているほか、円形の広々とした芝生広場や散策路も整備されており、春には桜も楽しめます。

駅の北側一帯には「東京大学駒場キャンパス」の豊かな緑、さらに北へ足を延ばせば「代々木公園」や「明治神宮御苑」もあり、四季折々の美しい自然に癒されながら気軽にアウトドアライフを楽しむことができます。

「駒場東大前」駅は渋谷と吉祥寺を結ぶ京王井の頭線の駅で、「渋谷」駅へはわずか2駅という近さです。また、渋谷はもちろん下北沢や代々木上原などへも散歩がてら徒歩でアクセスできる距離にあり、利便性は抜群です

その一方で、都心に近いことを忘れさせるほどの静寂な住環境が広がっているのも駒場の魅力です。中でも「駒場公園」の周辺は第一種低層住居専用地域に指定されており、ゆったりとした邸宅街を形成しています。

歴史と伝統、恵まれた教育環境、豊かな緑、上質で閑静な住環境、都心への利便性などを誇る駒場エリアは、武蔵野台地の安定した地盤の上にあるため災害にも強いとされており、住宅地に求められる数多くの要素を兼ね備えた魅力あふれる街といえるでしょう。