【府中市】新宿から約22km、都会と自然が調和する歴史のまち府中市の防災対策
府中市は新宿から西へ約22km、東京都のほぼ中央に位置しており、東京23区を除けば八王子市・町田市に次いで都内で3番目に人口が多い市です。「ほっとするね、緑の府中」というキャッチフレーズの通り、国指定天然記念物「馬場大門のケヤキ並木」をはじめ街の至る所に緑豊かな景観が広がっています。
「府中」という地名は、大化の改新(645年)以降、武蔵国の「国府」がこの地に置かれたことに由来しています。早くから政治・経済・文化の中心地として栄えた場所であり、現在も多摩地域の拠点都市の一つとして発展を続けています。
府中市は地形的には武蔵野台地の南縁部に位置します。市域の3分の2ほどが台地面で占められ、その中でも市の北端から国分寺崖線までは「武蔵野段丘」、国分寺崖線から府中崖線までは「立川段丘」と呼ばれています。また、府中崖線から市の南を流れる多摩川までは「多摩川低地」と呼ばれる平坦地が広がっています。
府中市では、災害への日頃の備えや災害発生時の行動などをまとめた「府中市防災ハンドブック」(全50ページ)を発行・配布しています。災害に対する正しい知識を持ち、あらかじめ備えておくことで、災害による被害を最小限に抑えることを目的としています。
大規模地震災害編では、被害が最も大きいと想定される「立川断層帯地震」(M7.4)による具体的な被害想定の説明から始まり、住宅の安全対策、地震発生後の避難の流れや避難生活、家族の安否確認方法、医療救護、備蓄と非常持ち出し品、帰宅困難者対策などが解説されています。
風水害編では、多摩川の氾濫をはじめ府中市で起こり得る風水害、多摩川の水位や土砂災害に関する防災情報の知識、風水害時の避難、水害への備えや避難時の装備、避難行動判定フロー、マイ・タイムラインなどが掲載されています。
災害の予防や災害後の生活再建のための各種支援制度もまとめられており、常に手元に置いておきたい一冊となっています。
「府中市防災ハンドブック」には地震防災マップや各種ハザードマップも掲載されています。
「地震防災マップ」は、地震が発生した際の指定避難場所や広域避難場所、災害拠点病院、給水拠点など防災関連施設の位置を示したものです。指定避難場所としては、市立小・中学校および都立高校(府中高校、府中東高校、府中西高校、農業高校、府中工業高校)、明星学苑の校庭が指定されています。
また広域避難場所としては、都立府中の森公園、多摩川河川敷、都立武蔵野公園、武蔵台緑地、市民球場・市民陸上競技場・都立農業高校などが指定されています。
府中市では、市内で発生する可能性がある水害リスクおよび避難に関する情報を「水害ハザードマップ」としてまとめています。地図面の「多摩川氾濫避難マップ」は、多摩川が氾濫した場合の想定浸水範囲および深さを示したものです。「避難行動判定フロー」も掲載されており、いつ・どこへ避難すべきかを検討するのに役立ちます。
多摩川氾濫時の避難所は「徒歩避難者専用の避難所」、「車両避難が可能な避難所」、「要配慮者専用の避難所」などが色分け表示されているほか、ペット同室可の避難所も一目で分かるようになっています。自分や一緒に避難する人の状況などに合わせて、避難先および避難ルートをあらかじめ確認しておきましょう。
水害ハザードマップの記事面には防災に関するさまざまな知識・情報のほか、書き込み式の「マイ・タイムライン」も掲載されているので、事前に家族で話し合って作成しておくとよいでしょう。
このほか、集中豪雨などで水路や下水道の排水能力を超えた時の「内水氾濫マップ」やがけ崩れ等の恐れがある区域を示した「土砂災害ハザードマップ」も確認しておきましょう。
防災情報誌「自主防災ふちゅう」は2018(平成30)年7月の創刊以来、年2回発行されており、市民が知っておきたい防災に関する情報が毎回丁寧に解説されています。最新の2023(令和5)年7月発行の第11号では、発生から100年となった関東大震災の話のほか、災害時のトイレ問題についても大きく取り上げています。
また、防災危機管理課(中央防災センター)にて「防災ビデオ」の貸し出しも行っています。過去の大規模災害を扱ったものや、家庭内防災、地域内防災、避難、消防団ボランティアなど、全部で16種類のビデオが用意されており、家庭・地域・学校での防災学習に役立ちます。
このほか、府中市からの防災情報を入手するには、府中市メール配信サービスや府中市公式X(旧Twitter)が便利です。府中市メール配信サービスは、あらかじめ登録した携帯電話やパソコンのメールアドレスに、災害などの緊急情報のほか子育て・健康・イベントなどさまざまな情報が配信されるもので、受け取りたい情報のカテゴリを自分で選べるようになっています。
大規模災害が発生した場合、市や消防、警察など「公助」による災害対応のみでは全ての現場に迅速に対応することは困難であり、地域住民による避難誘導や救助活動、避難所運営など「共助」による助け合いが重要となってきます。
府中市では「共助」推進のために地域防災活動への支援にも取り組んでいます。2016(平成28)年度に創設された「文化センター圏域自主防災連絡会」もその一つです。
これは市内11カ所にある文化センターの圏域ごとに、自治会・町会・管理組合を対象として設立されたもので、住民の視点から各地域の特徴や防災課題などを整理した「防災カルテ」や「強み・弱みマップ」の作成をはじめ、地域特性に合わせた住民主体の防災施策が3カ年計画で展開されました。
また、地域で防災訓練が実施される場合には、「地震体験車マグマ2」(起震車)の派遣や炊き出し訓練などで使用する非常食の提供を行っています。「地震体験車マグマ2」は震度2から震度7までの地震を体験できます。
このほか、市民向けに家庭用防災用品のあっせんも行っています。家具転倒防止器具等の地震対策用品、非常持出袋など避難用品、簡易トイレ、保存食や保存水など、防災に役立つさまざまな商品を特別価格で購入することができます。
このように府中市では自助・共助の強化を図りながら、市と市民が一体となり「災害に強いまち」を目指してさまざまな取り組みを行っています。
- 掲載日
- 2024/02/27
本記事は、(株)ココロマチ が情報収集し、作成したものです。記事の内容・情報に関しては、調査時点のもので変更の可能性があります。