【大阪市天王寺区】分かりやすい冊子作成や体験型講座など、区民の防災知識向上のための取り組みも進める天王寺区
天王寺区は大阪市を構成する24区の一つで、市のほぼ中央に位置します。区の中心駅である「天王寺」駅は7路線が集まる大阪第三のターミナルであり、駅周辺には関西有数の商業地「天王寺・阿倍野」エリアが形成されています。
天王寺区という区名は、聖徳太子が西暦593年に建立したとされる日本最古の寺院の一つ「四天王寺」に由来します。区内にはこの「四天王寺」をはじめ約200の社寺があるほか名所旧跡が多く、歴史と文化が薫る情緒豊かな街並みが広がっています。
大阪有数の大公園「天王寺公園」をはじめ緑豊かな公園も多く、また進学校・名門校が集中する大阪屈指の文教エリアとしても知られています。
地形的には南北に延びる帯状の「上町丘陵」と呼ばれる台地上にあり、地勢は西高東低です。
天王寺区では、区民が地震などの災害に関する知識を持ち、災害に備えて準備をしていく際の一助となるようにと「天王寺区防災計画」を策定しています。「自分・家族を守る(自助)」「隣近所と助け合う(共助)」を中心に、イラストなどを多用して誰もが理解しやすいようにまとめられているのが特徴です。
「天王寺区防災計画」は地震編と風水害編で構成されており、災害についての基礎知識や被害想定、およびそれらに対する具体的な備えが分かりやすく解説されています。
今後発生が予想される地震のうち、天王寺区に最も大きな影響を及ぼすのは「上町断層帯地震」といわれており、天王寺区における想定最大震度は6弱~7となっています。今後30年以内の発生確率が高いとされる「南海トラフ巨大地震」にも注意が必要です。風水害については、大和川や寝屋川流域の河川の氾濫、巨大台風による高潮被害などの可能性が指摘されています。
この「天王寺区防災計画」の内容のうち、「自助」の取り組みを中心に概要版として再編集したものが「天王寺区防災ハンドブック」です。区民一人ひとりが取り組むべきことがコンパクトに凝縮された保存版で、常に手元に置いて活用しやすくなっています。
天王寺区ではさらに、各地域防災リーダーが中心となって「地域ごとの防災計画」も作成しています。災害時の体制や避難所、連絡先一覧、防災マップなど、より地域に特化した情報が集約されています。
「天王寺区防災マップ」には、一時避難場所、災害時避難所、広域避難場所および避難路、災害用マンホールトイレ、災害拠点病院などが掲載されています。
一時避難場所は、公園や広場、学校の運動場など、地震などの際の一時的な避難先のことです。災害時避難所は、浸水や倒壊により自宅で生活できなくなった人が避難生活を送る施設で、天王寺区では小中学校や高校など約20カ所が指定されています。また大規模火災が発生し延焼拡大した場合に避難する広域避難場所としては、天王寺公園のほか大阪城公園や阿倍野再開発地区が指定されています。
天王寺区の「水害ハザードマップ」は、「大和川が氾濫した場合」、「寝屋川流域(寝屋川・第二寝屋川・平野川・平野川分水路・古川)が氾濫した場合」、「高潮が発生した場合」、「内水氾濫した場合」の4種類があります。それぞれについて自宅周辺などの浸水リスクをチェックし、万が一の場合の避難場所や安全な避難ルートを家族であらかじめ話し合っておきましょう。なお天王寺区では津波による浸水は想定されていないため、津波ハザードマップはありません。
このほか、大阪市の行政情報や地域情報を提供する「マップナビおおさか」でも、震度分布予測図や浸水想定区域図、防災関連施設などを検索することができます。
大阪府や大阪市では防災に関してさまざまな形で情報公開をしています。台風・地震・津波などの災害が発生した時にまずチェックしたいのが、「おおさか防災ネット」です。ここでは地震・津波情報、台風情報、気象警報・注意報、避難情報、避難所情報、交通・道路・ライフライン情報などをいち早く入手できます。
スマートフォンやタブレット端末向け「大阪市防災アプリ」もぜひ有効活用したい防災ツールです。防災関連の各種マップの閲覧や、避難施設の開設状況の確認およびルート案内、雨雲レーダー、防災クイズや防災パズル、備蓄品チェックリスト、安否情報の連絡・検索などさまざまな機能が搭載されています。2024(令和6)年1月31日からは大阪府内の他の市町村の情報も確認できるようになりました。
このほか大阪市では、集中豪雨や台風による浸水被害を最小限に抑えるため、市民に降雨状況を知らせる「降雨情報提供サービス」を実施しています。降雨情報は1分間隔で配信されており、タイムリーな情報が入手可能です。
天王寺区では、区役所職員が地域に出向く「防災出前講座」を実施しています。区内在住・在勤・在学の10名以上の団体・グループが対象で、映像やスライド、ゲーム型の教材を用い、防災の基礎知識や災害が起こる前の備えなどについて分かりやすく解説します。
これに加え、2021(令和3)年からは体験型の防災講座として「学ボーサイ」という取り組みも実施しています。災害協力シミュレーションゲーム、親子で考えるおうち防災、防災クイズ、まち探検で見つける防災など、これまでも毎回趣向を凝らした楽しい内容が企画され、区民の防災意識の啓発や知識向上に役立っています。
2023(令和5)年は「大江ふれあい祭り」や「真田山カーニバル」といった地域イベントの中で、パネル展示や家具転倒防止器具の展示、災害時簡易トイレの展示と凝固剤の体験などが行われました。
防災を区民にとってより身近なものとするこのような試みも含め、天王寺区では「つながり合い、支え合い、助け合うまち」を目指してさまざまな取り組みを進めています。
- 掲載日
- 2024/03/21
本記事は、(株)ココロマチ が情報収集し、作成したものです。記事の内容・情報に関しては、調査時点のもので変更の可能性があります。