【横浜市港北区】「新横浜」駅のにぎわい、鶴見川の流れ、田園風景などさまざまな表情を持つ港北区の防災対策

港北区は横浜市を構成する18区の一つで、市の北東部に位置します。「新横浜」駅周辺エリアは、東海道新幹線の開通以降に急速に発展を遂げたエリアで、横浜市の拠点の一つ「新横浜都心」として位置付けられています。
区の中央部には鶴見川が蛇行しながら流れています。緑地や農地も多く残されており、都市と自然がバランス良く共存しています。地形的には多摩丘陵の東端に位置し、丘陵から連なるなだらかな丘と鶴見川・早淵川に沿って開かれた平地で構成されています。
「新横浜」駅周辺にはオフィスビルや商業施設が集積しているほか、「日産スタジアム」や「横浜アリーナ」といった大規模集客施設もあり、災害時の帰宅困難者対策も重要課題の一つとなっています。
「港北区防災計画」は、震災対策編、風水害等対策編、新型インフルエンザ等対策行動計画で構成されています。
震災対策編によれば、横浜市で想定している「元禄型関東地震」、「東京湾北部地震」、「南海トラフ巨大地震」、「慶長型地震」の4地震のうち、港北区において数字的に最も大きな被害が予想されるのが元禄型関東地震で、想定震度は大部分が6強~6弱、一部エリアでは震度7となっています。
風水害等対策編では、鶴見川などの洪水・内水氾濫・高潮といった水害のほか、がけ崩れ、暴風・竜巻、雪害、火山災害を対象として予防計画・応急対策・復旧対策がまとめられています。冒頭では区民へのお願いとして、(1)ハザードマップで自宅のリスクを確認する、(2)防災・避難情報の確認手段を決めておく、(3)家族で話し合ってマイ・タイムライン(避難行動計画)を作成する、(4)避難情報等が発表された際は適切な避難行動をとる、の4点の実践を呼びかけています。
「港北区防災マップ」の地図面には、震災時の地域防災拠点(指定避難所)、広域避難場所、災害時給水所などが掲載されています。
地域防災拠点は家屋倒壊などにより自宅で生活できない人が避難生活を送るための場所で、区内の市立小・中学校29カ所が指定されています。どの地域防災拠点に避難すればよいかがわかるように、防災マップ上ではその区域割りも示されています。
広域避難場所は地震による大規模火災などから身を守るために一時的に避難する場所で、慶應義塾大学、「新横浜」駅前および日産スタジアム、岸根公園など区内7カ所と区外2カ所が指定されています。
また情報面には、地震のときの避難の流れ、備蓄品や非常持出品リストなどの備え、共同住宅ならではの対策、防災情報の入手方法などの情報が掲載されています。

「港北区洪水ハザードマップ」は、鶴見川水系の河川が「想定し得る最大規模の降雨」によって氾濫した場合に浸水が想定される区域およびその深さをシミュレーションしたものです。
大雨時は、区内の地域防災拠点の一部が「指定緊急避難場所」として開設されます。全ての地域防災拠点が該当するわけではないので注意が必要です。また、状況により地区センターなどが「自主避難場所」として開設されることもあります。洪水ハザードマップにはこれら避難場所についても掲載されています。
また港北区内には土砂災害特別警戒区域に指定されている場所が点在します。「港北区土砂災害ハザードマップ」でその位置を確認し、土砂災害時の指定緊急避難場所やそこまでの安全なルートも確認しておきましょう。
このほか港北区ホームページでは「港北区内水ハザードマップ」や「港北区高潮ハザードマップ」もチェックすることができます。また、冊子「大雨時の避難行動を考えよう」には適切な避難行動や鶴見川の治水対策などがわかりやすくまとめられています。

横浜市では「横浜市 防災情報ポータル」にて緊急情報や避難情報、避難所の情報、気象情報などを公開しています。いざというとき、必要な情報を素早く入手するために、日頃からどのような情報が掲載されているかをチェックしておくとよいでしょう。
2022(令和4)年3月からは公式アプリ「横浜市避難ナビ」も公開されています。これは産・学・官の連携により開発されたもので、一人ひとりの避難行動を平時「いま」から災害時「いざ」まで一体的にサポートするアプリです。ARを活用した浸水時の疑似体験、ハザードマップの確認、マイ・タイムラインの作成、災害時の避難場所の開設状況や避難ルートの案内、防災学習コンテンツなど、多彩な機能が組み込まれています。
さらに横浜市防災情報Eメール、X(旧Twitter)、LINEによる災害・防災情報の発信も行っています。
また、防災学習ウェブサイト「よこはま防災e-パーク」は2024(令和6)年4月のリニューアルによりさらに内容が充実しました。隙間時間で学べる「3分シリーズ(一般)」のほか「子育て世代コース」、「こどもコース」、「事業所コース」、「WEB研修コース」、さらに「住宅防災診断」のコンテンツもあり、いざというときに役立つ知識や日頃の備えについて学べます。「こどもコース」からは「ポケモンぼうさいきょうしつクイズ」に挑戦することもでき、楽しく防災を学べるよう工夫されています。
2011(平成23)年の東日本大震災の際、「新横浜」駅周辺には多くの帰宅困難者が発生しました。この教訓を踏まえて翌2012(平成24)年に「新横浜駅周辺混乱防止対策連絡協議会」が発足し、毎年3月に帰宅困難者の対策訓練を行ってきました。
2019(平成31)年以降はコロナ禍もあり中断されていましたが、2024(令和6)年3月、5年ぶりの大規模訓練が実施されました。この間、「新横浜」駅は相鉄・東急新横浜線の開業により乗り入れ路線数が増えており、それぞれのホームや改札内に分かれてのプログラムが盛り込まれました。
当日は「相模トラフ沿いを震源とするマグニチュード8.1の地震」(区内最大震度6強)という想定のもと、駅現地調整本部の設置・運営、駅利用者の誘導や情報受伝達、帰宅困難者一時滞在施設による開設情報伝達、駅周辺事業者や自治会などによる帰宅困難者の案内、警察・消防団による駅周辺の滞留者対応など、事業者・地元自治会・行政が協力し合ってさまざまな訓練が行われました。
このように横浜市および港北区では区民や関係機関と連携しながら、災害に強いまちづくりの実現に向けてさまざまな対策を推進しています。
- 掲載日
- 2025/03/31
本記事は、(株)ココロマチ が情報収集し、作成したものです。記事の内容・情報に関しては、調査時点のもので変更の可能性があります。