オフィスマーケットレポート(2024年11月)
【東京都心5区 大規模ビル】

アナリストの視点

オフィス需要の拡大傾向は今後も続き、年間でもネット・アブソープションが新規供給を上回る可能性が高い。ただし、最寄駅からの距離や利用可能な路線数といった立地条件に課題があるエリアでは依然としてリーシング活動が長期化している。需要には立地条件で課題があるエリアにまで広がる程の旺盛さは見られない点には留意する必要がある。
(基準日:2024年10月31日)


※東京都心5区: 千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区
※大規模ビル: 1フロア面積200坪以上の賃貸オフィスビル
※空室率: 貸付総面積に対する「現空面積」の割合
※潜在空室率: 貸付総面積に対する「募集面積」の割合。既存ビルにおいて、テナント退去前を含む募集床が対象
※募集面積: 各統計日において公開されているテナント募集面積の合計
※統計開始: 1994年1月1日

Ⅰ.実質GDP成長率予測

2024年7-9月期。2四半期連続のプラス成長を予想

ニッセイ基礎研究所によれば、11月15日に内閣府が公表する2024年7-9月期の実質GDP成長率は年率プラス0.8%と、2四半期連続のプラス成長になったと予想される。10-12月期も年率1%程度のプラス成長を予測しているものの、物価の高止まり等により民間消費を中心に下振れリスクは高いとしている。(図表1)

Ⅱ.失業率

前月から低下(=改善)。女性の就業者数は過去最高を更新

9月の完全失業率(労働力調査 総務省)は前月から0.1ポイント低下(=改善)の2.4%となった。有効求人倍率(厚生労働省)は前月から上昇(=改善)したが、その先行指標である新規求人倍率は前月から低下(=悪化)した。女性の就業者数(季節調整値)は2ヵ月連続で過去最高を更新している。(図表1)

【図表1】主要経済指標データ
20241126_5ku_image01.jpg出所:ニッセイ基礎研究所

Ⅲ.空室率

2ヵ月連続で低下。2022年2月以来となる3%台

空室率は前月比マイナス0.22ポイントの3.95%と2ヵ月連続で低下し、2022年2月以来の3%台となった。まとまった面積の空室消化が進んだことに加え、10月は大規模ビルの新規供給がなかったことが背景となっている。潜在空室率は前月比マイナス0.15ポイントの5.88%と、空室率同様に前月から低下し、2021年1月以来の5%台となった。

【図表2】空室率&潜在空室率
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Ⅳ.募集賃料

前月比で11ヵ月連続の上昇・横ばい。緩やかながらも上昇傾向

募集賃料は11ヵ月連続で前月から上昇または横ばいとなり、緩やかながらも上昇傾向にある。立地条件が良好なエリアや募集状況が改善したビルでは募集賃料を引き上げるケースが増えており、リーシング活動が停滞しているビルとの二極化が生じている。

【図表3】募集賃料&募集面積
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Ⅴ.ネット・アブソープション(吸収需要)

4期連続で需要超過

ネット・アブソープション(吸収需要)はオフィス需要の指標であり、一定期間におけるテナント入居面積(稼働面積)の増減を表す。2023年第1~第3四半期は、都心部での大量供給を背景に供給過剰が続いたが、2023年第4四半期からは4期連続で需要が供給を上回る需要超過となった。直近2024年第3四半期は約7万坪の高水準となり、足元のオフィス需要は力強さを見せている。

【図表4】ネット・アブソープション&新規供給
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Ⅵ.エリア別募集賃料(円/坪)

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※規模
(1フロア面積)
・大規模(200坪以上)
・大型(100坪以上200坪未満)
・中型(50坪以上100坪未満)
・小型(20坪以上50坪未満)

※「-」は、調査時点においてテナント募集を行ったビルが少なかったため、適正データが算出できなかったエリアです。

Ⅶ.空室率の推移(6大都市 大規模ビル)

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Ⅷ.募集賃料の推移(6大都市 大規模ビル・主要駅前地区)

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※募集賃料:共益費込
※外税表示

提供:三幸エステート株式会社

会社HP:https://www.sanko-e.co.jp/
当レポートは情報提供を目的とし、情報の正確性に十分配慮して作成されておりますが、その内容を保証するものではありません。使用にあたっては貴社の責任と判断にてお願い致します。

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