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住宅ローンコラム 知っておきたい!住宅ローンテクニック

三世代同居リフォームを上手に使って減税&相続対策に!

2016年09月07日

少子化対策の1つとして、親・子・孫の三世代同居用に住宅をリフォームすると、税金の優遇が受けられる制度がスタートしました。どのように利用できるか、また、注意すべきことなども含め、整理しておきましょう。

三世代同居リフォーム減税ができた背景

2016年4月より、三世代同居に対応したリフォーム工事を行った場合に、税制上の特例措置が受けられるようになりました。この制度は、元々あったリフォーム関係の減税に「三世代同居」という条件が加わったものです。

アベノミクスの「一億総活躍国民会議」で「出生率1.8」を実現するための子育て支援策として三世代同居・近居の促進が打ち出されたこともあって、税制改正案として急浮上したようです。

内閣府「家族と地域における子育てに関する意識調査(平成25年)」によれば、男女ともに子育て世代の20~40代の7~8割が、「(子供が小学校に入学するまでの間は)祖父母による育児や家事の手助けが望ましい」としたアンケート結果があります。

また、同調査では理想の家族の住まい方も聞いており、30~40代の子育て世代が、祖父母との近居・同居を望んでいる割合が高いことが強調されています。三世代同居リフォーム減税が作られた背景として、そうしたデータが提示されています。

しかし、データをよく見ると同居より近居を望む声の方が大きいことがわかります。また、20代では、男女ともに3世代同居・近居よりも親子のみの暮らしの方を望む数の方がダントツで多くなっています。そのため、日本の家族像の「理想」を追求する形で導入された制度ではないかと指摘されているようです。

図表1 理想の家族の住まい方

出典:内閣府「家族と地域における子育てに関する意識調査(平成25年)」

減税の対象になる工事の要件

では、三世代同居リフォーム減税の対象となる工事の要件を見ておきましょう。

この制度は、自分の持ち家に、所定の三世代同居対応リフォーム工事を行った場合に、税額軽減を受けることができる制度ですが、要件などはシンプルです。キッチン、浴室、トイレ、玄関のいずれかを三世代同居ができるように1つ以上増設し、リフォーム後には2つ以上が複数となっていて、しかも工事費用が50万円超であることだけです。

対象物件の条件などはありませんが、リフォーム後に、キッチン、浴室、トイレ、玄関のいずれか2つ以上が複数になっていなくてはならないため、マンションよりも戸建ての方が該当しやすそうです。

期間としては、2019年6月30日までにリフォーム工事を終えて入居して住むこと、となっています。「三世代での入居」や孫が誕生する前の「二世代での入居」など、入居者については要件には含まれてないため、将来的に二世代・三世代で住むための準備として早めにリフォームをする場合などでも、工事の内容が規程のものであれば対象になります。

<対象となるリフォーム工事の要件>
・(1)キッチン、(2)浴室、(3)トイレ、(4)玄関のいずれか1つ以上増設すること
・リフォーム後、(1)~(4)のうち2つ以上が複数となること
・工事費用が50万円超であること

<期間>
2016年4月1日~2019年6月30日までに居住の用に供したとき

リフォームローン型減税とリフォーム投資型減税

前述のような3世帯同居に必要なリフォームをした場合、リフォームローン型減税とリフォーム投資型減税の2つのうち、どちらか1つを利用することができます。これらは、バリアフリー化や省エネ化、耐震性など性能を高める所定のリフォーム工事を行ったときに所得税が減税される既存の制度で、対象となる工事に「三世代同居」が加わった形です。

<リフォームローン型減税>
三世代リフォーム工事のためにリフォームローンを借りた場合、年末のローン残高の2%分の所得税額を5年間にわたって控除してもらえます。三世代リフォーム工事の対象工事限度額は250万円で最大控除額は5年間で25万円ですが、「その他工事」の枠もあり、こちらは年末のローン残高の1%、5年間で最大37.5万円の控除が受けられます(控除対象限度額1000万円)。そのため、最大控除額は62.5万円とみることができます。

リフォームローン型減税
・減税対象の工事に三世代同居リフォーム工事が追加
・ローン残高の一定割合が所得税額から控除される
・三世代同居工事の場合は、控除率2.0%、控除期間5年間
・対象工事限度額250万円、最大控除額は25万円
・「その他工事」の枠を利用すれば最大62.5万円の控除が受けられる

控除率対象工事対象ローン残高最大控除額
2% バリアフリー、省エネ、
三世代同居
250万円 25万円 合計
62.5万円
1% その他工事 750万円 37.5万円
※控除対象額1000万円

<リフォーム投資型減税>
対象となる三世代リフォーム工事を行った場合、工事費等の10%を所得税額から単年度で控除するもの。対象工事の限度額は250万円で最大控除額は25万円。こちらは工事費が対象のため、支払い方法が現金かリフォームローンかは問われません。

リフォーム投資型減税
・減税の対象となる工事に三世代同居リフォーム工事を追加
・工事費等の10%を所得税額から控除
・対象工事限度額250万円、最大控除額25万円
・支払い方法に要件なし(現金払いでもローンでも対象)
・控除は1回のみ

控除率対象工事対象工事限度額最大控除額
10% 耐震 250万円 25万円
バリアフリー 200万円 20万円
省エネ 250万円 25万円
三世代同居 250万円 25万円

リフォームローン型減税もリフォーム投資型減税でも、所得税の税額控除を受ける場合は、工事完了後の確定申告で申告をする必要があります。その場合、建築士などに、要件を満たすリフォーム工事を行ったことを証明する、工事証明書を作成してもらう必要があります。

どう選ぶ?2つの減税

2つの減税はどのように使い分けたらいいのでしょう? リフォーム費用を現金で支払うか、リフォームローンで支払うか、工事費用がいくらになるのか、納めている所得税がいくらなのかなども確認した上で、必要な工事を検討するといいでしょう。

図表2に簡単チャートで整理してみました。ただし、工事の要件などは減税の要件を満たしているという前提です。

図表2 三世帯リフォームどっちの減税を使う?チャート

□リフォーム費用を現金で支払った場合 ⇒ リフォーム投資型減税

□リフォームローンで支払った場合
   □工事費用が250万円以下
      □還付しきれる所得税を納めている ⇒ リフォーム投資型減税
      □所得税が還付しきれない     ⇒ リフォームローン型減税
   □工事費用が250万円超     ⇒ リフォームローン型減税

こんな「うっかり」に注意!

前述のとおり、減税の要件に同居の実態などは問われませんので、2世帯住宅や3世帯住宅、あるいは2.5世帯住宅(親世帯と子世帯夫婦、子世帯の兄弟姉妹)、さらに孫世帯を含めて3.5世帯住宅などであっても、所定の工事であれば減税の対象になります。

もっと言うと、夫婦2人で住んでいる家で、トイレが2つある場合、古くなったキッチンやお風呂のリフォームを行い、ドア(玄関)を1つ設ける等しても、減税を受けられることになります。ただし、不必要なコストが発生すれば、減税効果が消える可能性もあります。

注意したいのは、3世帯リフォーム減税を受けられるのは、その住宅の所有者に限られることです。うっかり陥りがちな例として、親の所有する家に子供が費用を負担してリフォームをした場合は、対象にはなりません。あくまでも、所有者自身がリフォームローンや現金でリフォームを行った場合でなければなりません。

親が定年を迎えて年金暮らしになっていると、所得税を納めているケースも限られるため、そもそも対象外になる場合があります。わが家の場合はそもそも対象になるのかどうかも見極める必要がありそうです。

3世代同居リフォームは相続メリットも!

最後になりましたが、このリフォームをきっかけに2世帯同居や2.5世帯同居、3世帯同居などをした場合は、相続税の節税になる場合もあります。親の家に子どもが同居をしていて、相続後も住み続ける場合には、宅地の相続税評価額が330m2まで80%減額されるという「小規模宅地等の特例」という制度があります。

相続に関して節税対策が必要な場合は、この3世代同居リフォームを1つのきっかけに、子どもや孫との同居を検討してみるのもいいかもしれません。

執筆者:豊田 真弓(とよだ まゆみ)

ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー
FPラウンジ ばっくすてーじ代表。経済誌・女性誌等のライターを経て94年よりFPとして独立。「家計の永続性」をテーマに、個人相談や講演・研修、雑誌や新聞、サイトへの寄稿、監修などを行う。「住宅ローン賢い人はこう借りる」(PHP研究所)、「50代家計見直し術」(実務教育出版)など著書多数。座右の銘は「今日も未来もハッピーに」。

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