不動産投資コラム

不動産投資におけるレバレッジとは?効果・目安・リスクを徹底解説

不動産投資におけるレバレッジとは?効果・目安・リスクを徹底解説

レバレッジは"てこの原理"のように、小さな力で大きな成果を得るための仕組みです。不動産投資においては、融資を活用することで、少ない自己資金で大きな金額の投資が可能になります。とはいえ、使い方を間違えればリスクが増えるのも事実です。
本記事では、レバレッジの基本的な考え方から、不動産投資におけるメリットとデメリット、シミュレーションなどを初心者にもわかりやすく丁寧に解説します。

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※以下の情報は2025年5月時点の情報をもとに、不動産投資家・2級ファイナンシャル・プランニング技能士の前田裕太が監修しています。

レバレッジの基本知識をわかりやすく解説

不動産投資でよく聞く「レバレッジ」という言葉。何となく「借金をすること」と理解している人も多いかもしれませんが、正確な意味や仕組みを知っておくことは、投資判断において非常に重要です。
ここでは、レバレッジの基本から、不動産投資での特徴や考え方を具体例を交えてわかりやすく解説します。

レバレッジとはどういう意味か

レバレッジとは、日本語で「てこ」という意味です。てこの原理のように、少ない力で大きな成果を出す仕組みのことを指します。投資の世界では、自己資金に借入などの資金を加えることで、より大きな金額の投資を可能にすることを意味します。

例えば、100万円の自己資金に対して900万円の借り入れを行い、1,000万円の物件を購入すれば、レバレッジは10倍ということです。このように、レバレッジは資金効率を高めて、より大きな利益を狙える手段ですが、同時に損失のリスクも拡大するため、正しい理解と活用が求められます。

不動産投資におけるレバレッジの特徴

不動産投資におけるレバレッジの最大の特徴は、銀行などからの融資をうけることで初期投資額を下げ、さらに融資の返済も家賃という言わば他人資本を活用できる点です。不動産には担保価値があります。もし借主が何らかの事情で返済不能となった場合でも、金融機関は担保としている不動産を差し押さえることで貸し倒れのリスクを大きく軽減できるのです。そのため、投資対象が担保価値を持つ不動産投資の場合、金融機関からの融資を受けやすく、大きなレバレッジを効かせやすいといえます。

また、株式やFXと違って、家賃という毎月の安定収入があることも特徴です。家賃収入をローンの返済原資とすることで自己資金の負担を軽減できます。不動産投資は中長期的に安定した収益が期待できるため、レバレッジとの相性が良い投資手法といえるでしょう。

レバレッジの仕組みを具体例で理解する

例えば、自己資金500万円で2,000万円の物件を購入し、1,500万円を銀行から借りた場合、レバレッジは4倍です。一方、自己資金1,000万円で1,000万円の物件を買えば、レバレッジは1倍(=無借金)となります。

4倍のレバレッジをかければ、より大きな資産を運用できる分、得られる収益が高くなりますが、その分返済リスクも増えます。例えば家賃収入が想定より下がると、返済が重荷になる「逆レバレッジ」が発生する可能性があります。このように、レバレッジは投資のリターンとリスクを同時に拡大する仕組みなのです。

不動産投資でレバレッジを効かせるメリットとデメリット

ここでは、不動産投資でレバレッジを効かせることで得られる代表的なメリットと注意すべきデメリットについて解説します。

メリット1.自己資金が少なくても投資ができる
メリット2.自己資金に対する利回り(ROI)が高くなる
デメリット:逆レバレッジや金利上昇のリスク

メリット1.自己資金が少なくても投資ができる

レバレッジを使う最大のメリットは、自己資金が少なくても大きな投資ができる点です。例えば300万円の自己資金があり、融資を活用して10倍のレバレッジをかけることができれば3,000万円の物件を購入できます。

若いうちにまとまった資金を持っていない人でも、チャンスを広げられる点は大きな魅力です。特に不動産投資では、家賃収入という返済原資が見込めるため、借りたお金でも着実に運用しやすい点がメリットといえるでしょう。

メリット2.自己資金に対する利回り(ROI)が高くなる

レバレッジを効かせることで、自己資金に対する利回り(ROI)が格段に高くなります。

ROI(自己資金に対する利回り)=年間キャッシュフロー/自己資金額(%)
※年間キャッシュフロー:年間の家賃収入からローン返済額や管理費・修繕積立費、税金などの諸経費を差し引いた手残り。

不動産投資の収支を考えるうえでは「利回り(表面利回り・実質利回り)」という指標がよく用いられますが、自己資本から見た収益性を考える際の指標として用いるのがROIです。利回りの場合、ローンの有無にかかわらず計算においてローン返済額は考慮しませんが、ROIにおいては月々のローン返済額も計算に入れる点にご注意ください。

例えば、全額自己資金で不動産を購入した場合、5%のROIしか出せない場合でも、融資を活用して投資規模を大きくすれば、ROIが10%以上となることもあります。資金効率が良くなることで、限られた資金を複数の物件に分散投資したり、将来の拡大戦略にもつなげやすくなったりします。ただし、利益だけでなく返済計画もセットで考えることが重要です。

デメリット:逆レバレッジや金利上昇のリスク

一方で、レバレッジには注意すべきリスクもあります。例えば、想定していた家賃収入が得られなかったり、空室が続いたりすると、ローンの返済が家計を圧迫する「逆レバレッジ」が発生します。

【不動産投資における逆レバレッジとは】
借入金利が不動産の利回り(収益率)を上回ってしまう状態のこと。通常、レバレッジ(てこの原理)を使うことで少ない自己資金でも高い収益を狙えるが、逆レバレッジになると借金をすることで逆に損をする結果になる。

特に変動金利により融資を受けた場合、金利が上昇すれば返済額が増えてキャッシュフローが悪化するおそれもあります。特に高倍率のレバレッジをかけている場合、少しの収益低下でも影響が大きくなります。資金計画やリスクヘッジをしっかり行い、無理のない借入を行うことが重要です。

● 変動金利:借り入れ期間中の金利が変動するタイプ
● 固定金利:借り入れ時に決められた金利が変わらないタイプ

変動金利 固定金利
メリット ・初回の金利は固定金利より低く設定されている場合がある ・返済期間内の利率が変わらない
・契約時に金利の支払い総額がわかる
デメリット ・返済総額が変わる場合があるため、返済計画が変更になる ・変動金利よりも金利が高い
・特約期間中は金利を見直せない

不動産投資でレバレッジを効かせた場合のシミュレーション

理屈はわかっても、レバレッジを使った投資が実際にどれほどの違いを生むのか、イメージが湧きづらいかもしれません。そこで、レバレッジの有無による投資結果の違いをシンプルな数字で比較してみます。

また、借入金利による利回りの変化も表にまとめ、どのくらいの差がリスクとリターンに影響するのかを具体的に見ていきます。

レバレッジを使わない場合のシナリオ

例えば、自己資金1,000万円で1,000万円の物件を購入した場合、レバレッジは1倍です。このケースではローン返済がないため、家賃収入の大部分がそのまま収益となります。年間家賃収入から諸経費を引いた手残りが60万円であれば、ROIは6%となります(年間キャッシュフロー60万円/自己資金1,000万円)。リスクが小さく、キャッシュフローも安定しやすいのが特徴です。

ただし、自己資金をすべて使っているため、仮に次の投資も自己資金で行おうとする場合は資金をため直す必要があり、資産拡大のスピードは遅くなります。低リスクではありますが、大きなリターンを狙うには限界もある運用方法です。

レバレッジを使った場合のシナリオ

次に、同じ額の自己資金1,000万円にレバレッジをかけた場合のシミュレーションを見てみましょう。4,000万円の融資を受ける(レバレッジ5倍)と、2,500万円の物件を2件購入できます。年間の家賃収入から諸経費を引いた手残りが300万円、ローン返済が年間200万円であれば、手元には年間100万円の現金が残ります。このとき、ROIは10%となり((300万円ー200万円)/1,000万円)、資金効率が大幅に向上したといえます。

借入金利ごとの利回り目安

借入金利と実質利回りの差の数字を「イールドギャップ」と呼びます。イールドギャップが高ければ高いほど投資効率が良いことを意味し、うまくレバレッジを活用できている指標となるのです。次の表で確認してみましょう。

借入金利 実質利回り イールドギャップ 特徴
1.0% 4.0% 3% 利回り差が3%あり、一定の効果がある
3.0% 4.0% 1% 差が縮まり利益が圧迫されやすい
4.5% 4.0% ー0.5% 逆レバレッジとなってしまう

イールドギャップは2%以上を目安にするのが一般的です。ただし、家賃や金利が変動することにより、イールドギャップの数字も変動します。そのため、購入時のイールドギャップのみではなく、金利の変動や物件の今後の需要など、長期的な目線で判断する必要があります。

レバレッジ活用時に押さえておきたい判断ポイント

レバレッジは「使えば確実に得をする」ものではなく、状況に応じた正しい判断が必要です。ここでは、レバレッジを安全かつ効果的に使うために、見逃してはいけない3つの重要ポイントを紹介します。

1. イールドギャップを見極める
2. 融資期間と金利のバランスを考える
3. キャッシュフローがプラスになるかを確認する

ポイント1.イールドギャップを見極める

前述したとおり、イールドギャップとは、物件の利回りから借入金利を引いた差のことです。例えば、物件の利回りが5%、借入金利が2%ならイールドギャップは3%になります。この差が大きいほど、レバレッジの効果が高くなりやすく、投資としても安定します。

目安としては、2%以上あると安全圏といわれています。ただし、表面利回りではなく、経費を引いた「実質利回り」で見ることが重要です。ギャップが小さい場合は、金利上昇や収益低下によってすぐに逆レバレッジに陥るおそれがあります。

ポイント2.融資期間と金利のバランスを考える

借入の条件には、金利だけではなく融資期間も大きな影響を与えます。例えば、金利が低くても融資期間が短いと、毎月の返済額が高くなり、キャッシュフローが圧迫されることがあります。一方で、融資期間を長くすれば月々の返済額は抑えられますが、トータルの返済額は増加します。

最適なのは「無理のない月々の返済で、かつ収益を圧迫しないライン」です。金融機関との交渉時には、長期的な返済計画も視野に入れて選択しましょう。

ポイント3.キャッシュフローがプラスになるかを確認する

どれだけレバレッジを効かせたとしても、最終的な投資の収支が赤字では意味がありません。ここで重要となってくるのが家賃収入からローン返済、管理費、税金、修繕費などを差し引いた「キャッシュフロー」がプラスになるかどうかです。月々のキャッシュフローがマイナスであると、給料や他の資産からマイナス分を補填する必要が出てきます。この月々の補填分は機会損失となるだけでなく、突発的な費用が発生して補填しきれなくなった場合など、最悪のケースでは物件を売却しても融資の返済ができず多額の借金だけが残る事態も起こりうるのです。

一方、キャッシュフローがプラスなら次の投資や突発的な費用にも対応しやすくなります。そのため、空室や突発的な修繕などの想定外の出費があってもマイナスにならないよう、余裕のある計画が望ましいでしょう。

自分に合ったレバレッジ戦略で不動産投資を成功させよう

不動産投資におけるレバレッジは、資金効率を高めて少ない自己資金でも大きな投資を可能にする一方で、使い方を誤るとリスクも膨らみます。大切なのは「何倍にするか」ではなく、「自分の資金状況に合った投資戦略かどうか」を見極めることです。正しく理解し、計画的に活用すれば、レバレッジは心強い味方になります。
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前田 裕太
前田 裕太

前田 裕太企業役員、不動産投資家、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)

上場企業勤務時代にローンを活用して不動産投資を開始。現在は全国に複数の物件を所有する。不動産投資の知識をつけるため、独学で宅建試験に合格。
現在は不動産投資の傍ら、スタートアップ企業の役員として離島振興に従事。不動産の知識・経験や内装事業部とのシナジーも活用し、空き家問題の解決にも取り組んでいる。
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