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キャップレートの動向 ~最新の不動産投資家調査(2023年4月)より~
米欧での金融不安がくすぶる中、国内では金融緩和を継続していく姿勢が示されたことを受け、キャップレート(期待利回り)は横ばいもしくは低下傾向を維持した。 5月30日、日本不動産研究所が「第48回 不動産投資家調査」(2023年4月現在)の結果を発表した。キャップレートは、オフィスや商業店舗、物流施設の多くの地区で前回比横ばいとなったほか、賃貸や売買の市況が堅調なファミリータイプの賃貸住宅、ホテル等においては、キャップレートが低下した。
Ⅰ.オフィス(Aクラスビル)のキャップレートは多くの地区で横ばい
オフィス(Aクラスビル)のキャップレートは多くの地区で横ばいとなった。国内における金融政策の緩和維持とそれを踏まえた投資姿勢が影響したとみられる。また一部の政令指定都市ではキャップレートが低下した。賃貸市場や売買市場における需給バランスがキャップレートに反映されたと考えられる。
Ⅱ.賃貸住宅のキャップレートはファミリータイプの多くの地区で低下
東京城南・ワンルームタイプのキャップレートは、調査開始以来最低となった前回をさらに下回り、3.8%となった。またファミリータイプの多くの地区でキャップレートが低下した。ワンルームタイプとの利回り差や、大都市を中心とした好調な賃貸市況が要因と思われる。
Ⅲ.商業店舗のキャップレートは東京銀座で低下
商業店舗のキャップレートは多くの地区で横ばいとなった。なお都心型高級専門店の東京銀座は、行動制限や水際対策の緩和を受けて前回比0.1ポイント低下した。
Ⅳ.物流施設のキャップレートは東京で4%を下回る
物流施設のキャップレート(マルチテナント型・湾岸部)は、名古屋、大阪、福岡は横ばい、東京は前回比0.1ポイント低下し、調査開始以来、初めて4.0%を下回った。
Ⅴ.ホテルのキャップレートは観光需要の回復期待などから低下
ホテルのキャップレートは、行動制限や水際対策の緩和を背景とした観光需要の回復期待などから、札幌、名古屋、大阪、那覇で前回比0.1 ポイント低下した。
※キャップレート(期待利回り)… 投資物件の収益性を評価する際の指標の一つ。通常、対象不動産が生み出す純収益(家賃収入から管理費や固定資産税などの諸経費を差し引いた純粋な収益、NOI)をキャップレートで割ると投資価値となる。
提供:法人営業本部 リサーチ・コンサルティング部
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