収益一棟オフィス・マンション市場の状況と今後の予測<本編>

収益一棟オフィスおよび一棟マンションの市場の状況と今後の予測を行うため、当社仲介営業担当者にアンケート(以下「営業アンケート」)を実施し、その結果をまとめました。
仲介を業としているために、売り・買いの両サイドから見た公平な意見の集約が図れております。みなさまの投資の意思決定にお役だていただければ幸いです。

Ⅰ.総括

1年後の収益不動産市場に大幅な変動は予測されていません。
需給が引き締まり、価格の上昇が予測されるアセットタイプが多い状況です。条件に合致する物件があれば、「値下がりを待つのではなく、購入すべき」時期が継続するものと思われます。

※本レポートで取り上げている市場

※アンケート概要
実施月: 2023年9月
対象者: 法人・投資用不動産営業担当職員328名
(当該業務への経験1年未満のものを除く)
回答者数: 247名
(ただし、各々下記Ⅰ~Ⅳ章のうち、1章分だけを回答)
調査分野: 東京23区の収益物件につき、
Ⅰ.中規模オフィスビル 売買金額7~20億円
Ⅱ.中規模一棟マンション 同5~20億円
Ⅲ.小規模オフィスビル 同3~7億円
Ⅳ.小規模一棟マンション 同3~5億円

Ⅱ.まとめ

ⅰ.この1年間の状況

  • 概ね、需要・供給ともに概ね旺盛で、活発な取引が行われたと評価されました。
    ただし、中規模オフィスビルについては、不動産業者の需要がやや少なく、賃料も下落したとされています。
    一方で小規模オフィスビルについては、需給・収益・利回りともに良好で、規模による明暗があったとも回答されています。
  • 一棟マンションは、需要が強く供給が減少した中規模一棟マンションに対して、小規模一棟マンションは需要が横ばいだったと回答されました。

ⅱ.今後について

  • 中規模オフィスビルの需要がやや弱り、小幅ながらも価格の下落が予測されています。
    一方、小規模オフィスビルは、オフィスの大量供給があっても、テナントの質の違いから収益への影響は限定的で、価格も堅調に推移すると回答されています。
  • 中規模一棟マンションは建築費高騰により、供給が減少すると回答される一方で、需要は堅調と予測されています。
  • 小規模一棟マンションは、需要・供給ともに堅調と予測されています。
  • 利回りは中規模オフィスビル3.3%・中規模一棟マンション3.5%・小規模オフィスビル3.5%・小規模一棟マンション3.8%と回答されています。住宅よりは業務用、規模は大きいほど低い利回り(価格は高い)で取引されていると回答されました。

Ⅲ.キーワードから考える ー建築費高騰に関する収益不動産への影響ー

営業アンケートでは、建築費の高騰が大きな不動産市場の変動要因として回答されています。

建築費高騰の影響は、収益オフィスビルやマンションの各価格構成要素に影響を与えています。

まず不動産開発業者のコストアップにより、その業者が希望する売却価格は上昇します
そして価格の高騰で需要が減少すると考える開発業者は、供給を絞るため、需給にも影響します。
さらに売却価格をあげても利回りを一定に保つため、賃料設定を上昇させることがおこなわれています。
高い賃料を実現するための手法として、賃貸仲介業者へのインセンティブ付与がおこなわれています。

これらをまとめると、建築費の高騰により価格や賃料の上昇・供給減がもたらされているといえます。
建築費の動向にもよりますが、今後は収益不動産開発が成り立つエリアが減少したり、需要に対する供給不足の慢性化やさらなる利回りの低下(価格は上昇)が発生する可能性も考えられます。

Ⅳ.各アセットタイプの状況について

ⅰ.中規模オフィスビル 対象:東京23区 売買金額7~20億円

アンケートの回答収集にあたって前提とした事項
不動産市場 概ね売買金額7~20億円を取引価格帯とする東京23区オフィス市場
オフィス物件 東京都 JR神田駅 徒歩5分 基準階賃貸面積70坪 RC5階建 築10年※1
取引態様 一定期間(10年程度)以上保有する 購入者による通常の取引※2
凡例

※1他の条件は標準的
※2「売却前提プロ」と記載された事項を除く

ⅱ.中規模一棟マンション 対象:東京23区 売買金額5~20億円

アンケートの回答収集にあたって前提とした事項
不動産市場 概ね売買金額5~20億円を取引価格帯とする東京23区一棟マンション市場
マンション物件 東京都 三軒茶屋駅 徒歩5分 1R×6戸/階 RC4階建 築5年※1
取引態様 一定期間(10年程度)以上保有する 購入者による通常の取引※2
凡例

※1他の条件は標準的
※2「売却前提プロ」と記載された事項を除く

ⅲ.小規模オフィスビル 対象:東京23区 売買金額3~20億円

アンケートの回答収集にあたって前提とした事項
不動産市場 概ね売買金額3~7億円を取引価格帯とする東京23区オフィス市場
オフィス物件 東京都 JR神田駅 徒歩5分 基準階賃貸面積20坪 RC5階建 築10年※1
取引態様 一定期間(10年程度)以上保有する 購入者による通常の取引※2
凡例

※1他の条件は標準的
※2「売却前提プロ」と記載された事項を除く

ⅳ.小規模一棟マンション 対象:東京23区 売買金額3~5億円

アンケートの回答収集にあたって前提とした事項
不動産市場 概ね売買金額3~5億円を取引価格帯とする東京23区一棟マンション市場
マンション物件 東京都 三軒茶屋駅 徒歩5分 1R×3戸/階 重量S3階建 築5年※1
取引態様 一定期間(10年程度)以上保有する 購入者による通常の取引※2
凡例

※1他の条件は標準的
※2「売却前提プロ」と記載された事項を除く

提供:法人営業本部 リサーチ・コンサルティング部

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