マーケット
オフィスマーケットレポート(2025年1月)
【東京都心5区 大規模ビル】
アナリストの視点
吸収需要は新規供給が多い年は伸びやすい傾向にあるが、2024年は供給が比較的低水準に止まったにもかかわらず、約20万坪の大量供給があった2023年に並ぶ強い需要を記録した。新築ビルに移転するテナントの二次空室が想定より発生していないこともあり、需要超過は2014年以来の10万坪越えで、オフィス需要には力強さが見られる。
(基準日:2024年12月31日)
※東京都心5区: | 千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区 |
※大規模ビル: | 1フロア面積200坪以上の賃貸オフィスビル |
※空室率: | 貸付総面積に対する「現空面積」の割合 |
※潜在空室率: | 貸付総面積に対する「募集面積」の割合。既存ビルにおいて、テナント退去前を含む募集床が対象 |
※募集面積: | 各統計日において公開されているテナント募集面積の合計 |
※統計開始: | 1994年1月1日 |
Ⅰ.実質GDP成長率予測
年率1%程度の成長が継続
2024年7-9月期の実質GDP成長率(内閣府)2次速報は1次速報から上方修正された。ニッセイ基礎研究所は今後3年間の実質GDP成長率を2024年度0.4%、2025年度1.1%、2026年度1.2%と予測している。2024年度後半以降は民間消費や設備投資等を中心に年率1%程度の成長が続くと見込んでいる。(図表1)
Ⅱ.失業率
前月から横ばいの2.5%。女性の就業者数は過去最高を更新
11月の完全失業率(労働力調査 総務省)は前月から横ばいの2.5%となった。有効求人倍率(厚生労働省)は前月から横ばいだったが、その先行指標である新規求人倍率は前月から上昇(=改善)している。女性の就業者数(季節調整値)は4ヵ月連続で過去最高を更新している。(図表1)
Ⅲ.空室率・潜在空室率
4ヵ月連続の低下。緩やかな低下傾向
空室率は前月比マイナス0.09ポイントの3.62%となり、前月から小幅に低下した。新築・築浅ビルを中心に空室床の消化が進んでいる。潜在空室率は前月比マイナス0.19ポイントの5.54%となった。空室率・潜在空室率ともに4ヵ月連続で低下しており、緩やかな低下傾向が継続している。
Ⅳ.募集賃料
13ヵ月連続で前月比上昇・横ばい。2021年5月以来の29,000円/坪台
募集賃料は前月から小幅に上昇し、2021年5月以来の29,000円/坪台を回復した。13ヵ月連続で前月から上昇または横ばいとなり、緩やかな上昇傾向が続いている。募集面積は2020年12月以来で50万坪を下回り、エリアによっては品薄感が漂っている。
Ⅴ.ネット・アブソープション(吸収需要)
2024年は需要が新規供給を上回る需要超過
ネット・アブソープション(吸収需要)はオフィス需要の指標であり、一定期間におけるテナント入居面積(稼働面積)の増減を表す。2024年はオフィス需要の拡大傾向と低水準の新規供給を背景に、需要が供給を大幅に上回る需要超過となった。これにより空室率は直近1年間で4.97%から3.62%へと1ポイント以上低下している。
Ⅵ.エリア別募集賃料(円/坪)
※規模 (1フロア面積) |
・大規模(200坪以上) ・大型(100坪以上200坪未満) ・中型(50坪以上100坪未満) ・小型(20坪以上50坪未満) |
※「-」は、調査時点においてテナント募集を行ったビルが少なかったため、適正データが算出できなかったエリアです。
Ⅶ.空室率の推移(6大都市 大規模ビル)
Ⅷ.募集賃料の推移(6大都市 大規模ビル・主要駅前地区)
※募集賃料:共益費込
※外税表示
提供:三幸エステート株式会社
会社HP:https://www.sanko-e.co.jp/
当レポートは情報提供を目的とし、情報の正確性に十分配慮して作成されておりますが、その内容を保証するものではありません。使用にあたっては貴社の責任と判断にてお願い致します。
企業不動産に関するお悩み・ご相談はこちらから