東京23区と主な政令指定都市の人口推計に関する検討について(第2回)
東京23区と主な政令指定都市各都市の人口推計

2021年8月に「東京23区と主な政令指定都市の人口推計に関する検討について 第一回 グループ分けした区分による検討」を発行させていただきました。

本レポートはその第二回として東京23区と主な政令指定都市各都市の人口推計についてご報告します。社人研・各自治体が発表する人口について将来推計と実際の人口の推移を比較・検討します。投資物件や今後行う事業への検討にご利用ください。

Ⅱ-Ⅰ.レポートの構成と意義(第一回と共通)

1.将来人口推計の発表と各指標の比較の意義
国勢調査を活用して、数年後には様々な機関から、将来の人口予測推計が発表されます。全国的には、国立社会保障・人口問題研究所(以下「社人研」とします)が推計を発表します。ほかに、各自治体も独自の推計を発表しています。

各自治体の将来推計は、地域の事情を勘案するため、社人研の推計との間には差異が発生します。また実際の人口の推移と将来推計との間にも、差異は発生します。各地域に投資を行うにあたっては、なるべく正確な将来人口推計を基とする方がよいと思われます。次回発表までの数年間の間、これら各指標を比較することで、将来推計の修正が可能となり、より適確な投資の予測ができるものと考えます。

また各区独自の推計を行っていない都市やその推計が大きく実数と異なっている都市があります。そのような都市については、子育て等各種政策が後手になっている可能性もあろうかと考えます。そのため投資にあたっては、その意思決定に関連する政策内容や実効性について改めて確認する必要がありそうです。

2.2回に分けた検討について
東京23区と政令指定都市の人口推計に関する検討を2回に分けて行いました。

まず第一回として23区と政令指定都市を街の性格が似たグループに分け、その傾向を検討しました。

次に第二回として区や都市各々を単位として検討を行っています。データを採用する期間は2015年~2065年とし、各区や都市で該当する年のデータがなければ、その年分は表示されません。

Ⅱ-Ⅱ.各都市の検討

1.まとめ
本レポートは各々の都市について、社人研や自治体の将来推計と実際の人口の比較を目的としています。全体の傾向と想定される理由について記載します。

多くの推計はコーホート法※1を用い、社会的移動についてもこれまでの実績を基に推定を行っています。各自治体の推計は、さらに判明している開発等、把握できる範囲での想定を置いているものもあります。

東京23区については、社人研よりも各自治体の方が人口増となる将来人口推計となっています。また将来推計よりも実際の人口が、さらに上振れしている自治体も多くなっています。

現在東京23区の新築住宅は「作れば売れる」状況で、中古住宅の売買も活発です。住宅が増えれば、人の社会的移動も増加することになります。しかしながら数年後の再開発によらない新規住宅の供給は、自治体も予測しきれないと思われます。そういった場合には、自治体による都市の人口変化の予測の難易度は上昇することになります。したがって社人研・区・実際の人口との差異が発生することになります。

政令指定都市については、東京23区よりは、社人研と市との推計の差異は小さくなっています。

そして将来の人口減少と推計している市がほとんどです。なお調査期間で将来の人口増加を推計しているのは福岡市だけです。札幌市と神戸市の人口減少がとくに大きくなっています。

一方で首都圏では、東京23区同様、実際の人口の推移が将来推計よりも高位になっている傾向があり、市場性の強さを感じさせられます。

なお一部自治体では、低位・中位・高位に分けた将来推計も発表しています。本レポートでは中位を通常の将来推計として、高位将来推計も紹介しています。

外国人についても9の自治体の発表を把握することができました。いずれの自治体も2015年比では、増加を見込んでいます。これら自治体は、他と比較して外国人の増加に対する政策が施されるものと思われます。

将来人口推計は5年に一度程度の発表となっています。発表と発表との間は、将来推計と実際の人口を対照させて「実績を踏まえた将来推計」をその利用者が想定する必要がありそうです。

また全体の人口増加や世帯数が一定ならば、特定地域への人の移動は、それ以外の地域に予想よりも早い人口減少をもたらす可能性があることに留意する必要があります。

※1:社人研はコーホート要因法を採用しています。ある年の男女・年齢別人口を基準として、ここに人口動態率などの仮定値を当てはめて将来人口を計算する方法です。(1)基準人口、(2)将来の生残率、(3)将来の移動率等が必要となります。社人研は過去のデータからこれらの数値を設定しています。

2.各都市の状況(※2015社人研=100とした指数表示)
①「都心3区」:千代田区 中央区 港区

②「副都心等」:新宿区 文京区 台東区 渋谷区 豊島区

③「城南城西等」:江東区 品川区 目黒区 大田区 世田谷区 中野区 杉並区

④「周辺区」:墨田区 北区 荒川区 板橋区 練馬区 足立区 葛飾区 江戸川区

⑤「主な政令指定都市 関東以東」:札幌市 仙台市 さいたま市 川崎市 横浜市

⑥「主な政令指定都市 中部以西」:名古屋市 京都市 大阪市 神戸市 広島市 福岡市

3.外国人
外国人の推計は一部自治体が発表しています。

出所:国立社会保障・人口問題研究所、各自治体HP等より野村不動産ソリューションズ作成

提供:法人営業本部 リサーチ・コンサルティング部

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