【大阪市北区】『大阪北区ジシン本』配布をはじめ独自の工夫が光る大阪市北区の防災対策
北区は大阪の玄関口に位置し、中心部の大ターミナル「大阪」駅周辺はオフィスビル、百貨店、ホテル、飲食店が集まる西日本最大の商業地が形成されています。
地形的には、北は淀川、東は大川、南は土佐堀川と三方を河川に囲まれています。区域の大半は標高3m未満の低地で浸水リスクが大きいことから、大雨などによる水害への備えが北区の防災対策の重要テーマとなっています。
また、大規模マンションなどの建設が活発に行われており、人口が増加傾向にあります。こうした地域では、防災力向上のためのコミュニティづくりも課題の一つです。
このような特徴を持つ北区では、オリジナルのガイドブック発行やマンション防災対策を含め、さまざまな取り組みが行われています。
北区では、地域特性や実情に合わせて「北区防災計画」を策定しています。
その中で、火災、地震・津波、河川氾濫(台風等の豪雨災害)、内水氾濫など想定される災害に対し、事前の備えや災害直後の責務・役割について、特に重要な項目に絞って必要最小限の記述にとどめるなど「わかりやすさ」を重視してまとめています。
また北区では、ガイドブック『大阪北区ジシン本』の作成・配布も行っています。「地震編(前編・後編)」、「水害編」、「マンション編」、「資料編」からなる約250ページの冊子で、地震や水害への備え、マンションでの防災についてイラストを多用してわかりやすく説明されています。防災マップやハザードマップも掲載されています。
この『大阪北区ジシン本』は、北区在住・在勤・在学者を対象にした防災講座の受講者に無料配布されています。
防災講座は10人以上集まるイベントへの出張講座、子連れ参加OKの子育て層向け講座、Zoomを使ったオンライン講座、動画視聴+アンケートのミニ講座などから自分に合うスタイルを選んで受講できます。
また、風水害編として新たに『台風がキタ!』も作成され、2020(令和2)年に全戸配布されました。
これらのガイドブックのPDFデータは北区ホームページからダウンロードも可能なので、区外の人でも閲覧することができます。
「北区防災マップ」では、地震などの際にとりあえず避難する「一時避難場所」、自宅で生活できなくなった人が避難生活を送る「災害時避難所」、大規模火災から避難する「広域避難場所」のほか、医療機関や飲料水用貯水槽などの位置を知ることができます。
北区内の広域避難場所としては、うめきた東側一帯、中之島一帯、淀川リバーサイド地区(毛馬桜之宮公園)が指定されています。
北区のすぐ外側にある靱公園(西区)や下福島公園(福島区)も広域避難場所となっています。
また「水害ハザードマップ」では、「淀川が氾濫した場合」、「高潮が発生した場合」、「内水氾濫した場合」、「南海トラフ巨大地震が発生した場合(津波)」それぞれの想定浸水の最大深がレベルごとに色分けされているとともに、「津波避難ビル」などの位置も知ることができます。
これらのマップは、自宅や通勤・通学先などのリスクを把握するとともに、避難場所や避難ルートなどをシミュレーションしておくのに役立ちます。
大阪府や大阪市では防災に関してさまざまな形で情報公開をしています。
台風・地震・津波などの災害が発生した時にまずチェックしたいのが、「おおさか防災ネット」です。ここでは地震・津波情報、台風情報、気象警報・注意報、避難・避難所情報や緊急情報、交通・道路・ライフライン情報など、タイムリーな情報を入手することができます。
スマートフォンやタブレット端末向け「大阪市防災アプリ」は、防災マップの閲覧やルート表示機能、災害の時間経過に応じた防災情報収集機能、避難計画の作成機能、災害時の家族や知人への安否情報の連絡機能、ブザー・ライト機能に加え、防災ガイド(市民防災マニュアル)やパズルなどの「まなぶ・あそぶ」機能も充実しています。
また、大阪市の行政情報や地域情報を提供する「マップナビおおさか」でも、震度分布予測図や浸水想定区域図、防災関連施設などを検索することができます。
こうした防災関連ツールをいざという時にスムーズに使いこなせるよう、日頃からチェックして備えておきたいものです。
北区では、全世帯のうち約9割がマンションに居住しています。加えて「全世帯の約6割が一人暮らし」、「転出転入が多い(住民の出入りが激しい)」といった特徴があり、近所づきあいや地域とのつながりが薄くなりがちという課題を抱えています。
コミュニティの希薄化が進むと、災害時にはそれが弱点にもなり得ます。そこで北区では、いざという時に助け合える関係を構築するため、消防署などと連携して防災をテーマにした「マンションコミュニティ支援事業」にも積極的に取り組んでいます。
この事業では、支援を希望するマンションに対して、建物特性(規模・立地・築年数など)やコミュニティの現状などそれぞれの実情に合った継続的な活動ができるよう支援しています。
支援のメニューは、防災講座や防災訓練の企画・開催、防災の基本ルールづくり、自主防災組織の設立などさまざまです。
このほか「北区らしい」マンションコミュニティづくりに取り組んでいる人たちを紹介するリーフレットを作成するなど、マンション防災に力を入れています。
北区ではこうしたコミュニティづくりも含め、個人や地域の防災への意識を高めて防災力向上につながるような多角的なアプローチを行っています。
- 掲載日
- 2022/03/22
本記事は、(株)ココロマチ が情報収集し、作成したものです。記事の内容・情報に関しては、調査時点のもので変更の可能性があります。