【西宮市】津波対策も含め「みんなが安心して暮らせる安全なまち」を目指す西宮市の防災対策
西宮市は兵庫県の南東部、大阪市と神戸市のほぼ中間に位置する市です。春・夏の全国高校野球大会が開催される「甲子園球場」があることや日本酒「灘の生一本」の生産地として有名です。
市の中央部を六甲山系が東西に横断しており、これが市域を南部地域と北部地域にほぼ二等分しています。南部の平野部には市街地が、北部には山林や農村が広がっており、また市域の南側は大阪湾に面しています。
西宮市は古くから門前町や宿場町として栄え、明治以降は住宅地として発展しました。1995(平成7)年の阪神・淡路大震災で大きな被害を受けましたが、懸命に復興に取り組み、現在は震災前を大きく上回48万人の人口を抱える都市として発展を続けています。
「西宮市地域防災計画」では、総合計画の政策目標の一つである「みんなが安心して暮らせる安全なまち」を防災目標として掲げ、この目標を実現するための災害予防計画、災害応急対策計画、災害復旧・復興計画などをまとめています。
今後西宮市に大きな影響を与える可能性が高い地震としては、南海トラフ地震(M8~9)、山崎断層地震(M8)、上町断層帯地震(M7.5)など複数挙げられています。
西宮市ではその被害の軽減を図るため、県と協力して防潮堤の補強や沈下対策、防潮水門の移設、陸閘(りっこう)の改良などのハード対策を実施しています。また同時に、津波避難ビルの指定や非常食・生活用品などの備蓄の充実、情報提供手段の整備などにも取り組んでいます。
また西宮市では2017(平成29)年度に策定した「西宮市津波避難行動指針」を多くの人に知ってもらえるよう、概要版としてリーフレットを作成しています。南海トラフ地震の発生から、津波が終息するまでの概ね十数時間~一日程度の間における避難行動の考え方が分かりやすく示されており、避難方法を自ら考えるための手助けとなります。
西宮市では市民向けツールとして「西宮市防災マップ」を発行しています。(1)危険を知る(2)情報を入手(3)避難を計画(4)備蓄等の準備という、4ステップに沿って、情報を自分で確認しながら「わが家の避難プラン」として書き込みができるようになっており、各種ハザードマップや避難所一覧など防災に関する重要な情報も集約されています。
避難所については、洪水・土砂災害・高潮といった災害の種類によって開設される避難所が異なるので注意が必要です。さらに地震等の大災害時には、洪水・土砂災害・高潮の時の避難所も含めて市の全ての避難所が開設されることになっています。リストやマップで事前に確認して情報を整理しておくと安心です。
西宮市では「洪水ハザードマップ」、「津波ハザードマップ」、「高潮ハザードマップ」、「土砂災害ハザードマップ」といった各種ハザードマップのほか、内水氾濫による浸水履歴を発生回数に応じて色分け表示した「浸水履歴マップ」や、市が近年取り組んできた主な雨水対策事業を示した「雨水対策事業マップ」も公開しています。
このほか、河川が氾濫する様子を動画表現した「洪水のアニメーション」、浸水した時の様子が分かる市内9地点の「洪水の浸水イメージ写真」、堤防が決壊してから何時間後まで避難を済ませるべきかの目安が分かる「洪水の到達時間マップ」など、洪水被害をメージしやすいマップや画像なども公開しており、一人一人の防災意識の向上を図っています。
西宮市では2021(令和3)年6月より「西宮市防災ポータル」を開設しています。災害時には、避難情報や避難所開設状況、通行止め等の情報、防災スピーカー放送情報、給水場所や炊出し等の生活支援情報、気象情報などをここでいち早く入手することができます。
災害時以外でもハザードマップや防災知識情報の閲覧が可能なので、日頃から利用して慣れておくとよいでしょう。
西宮市防災ポータルからは「にしのみや防災ネット」の登録もできます。事前に「にしのみや防災ネット」に携帯電話のメールアドレスを登録しておくと、災害時に市からの緊急情報(避難情報、避難所開設情報など)が自動で届きます。
大雨警報などの気象情報が発表された場合も、緊急気象情報として自動で配信されます。レジャーなど普段の生活にも役立つものなので、登録しておくと便利でしょう。
西宮市で起こり得る災害、それに対する事前の備え、災害時の行動などについて市民一人一人が知識を持っておけるように、西宮市ではさまざまな取り組みを行っています。
自主防災組織の活動支援もその一つです。地区防災計画作成にあたってアドバイザー派遣やデータの作成補助、計画の印刷支給を行ったり、自主防災組織が地域で防災訓練を行う際は炊出し用鍋など訓練用品の貸し出しや、非常食・防災グッズの提供を行うなど、さまざまな形でバックアップをしています。
「まちかどレクにしのみや」として、職員が地域に出向いて市政出前講座の開催も行っています。市の防災への取り組みを紹介する講座や救急講習の講座なども用意されているほか、お好み講座として希望するテーマでの講座開催にも対応しています。原則として市内在住・在勤・在学の10人以上の団体・グループで申込可能です。
楽しみながら防災を学べる素材として、防災ゲーム・DVD・震災パネル・防災紙芝居などの貸し出しも行っています。災害時の状況を擬似体験し、判断力や行動力を養うことを狙いとしたもので、市内の自主や自治会、学校、その他団体が対象です。
また西宮市では市公式YouTube「にしのみや防災チャンネル」で防配信も行っています。「5分で分かる地震発生から生き延びるコツ」、「魔法の調理法 ポリ袋調理を教えます!」、「防災マップの使い方を市役所の人に聞いてみた」、「防災クイズ」など、数多くのお役立ち動画が配信されており、誰でも気軽に楽しく防災について学ぶことができます。
このように西宮市では、自助・共助の力を高めるさまざまな工夫をはじめ、「みんなが安心して暮らせる安全なまち」の実現に向けて幅広く取り組んでいます。
- 掲載日
- 2022/10/28
本記事は、(株)ココロマチ が情報収集し、作成したものです。記事の内容・情報に関しては、調査時点のもので変更の可能性があります。